【ADWP】アブダビプロ軽量4階級:サトシが2年振りに王座奪還!!
17日(木・現地時間)から19日(土・同)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・スポーツシティ内のFBGアリーナにて、アブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術チャンピオンシップ2014が開催された。賞金を目指して世界の強豪が集まるこの大会。まずは黒帯アダルト階級別(優勝賞金8000ドル)、軽量4階級の模様をお送りしたい。
【64キロ以下級】
当初は誰もがミヤオ兄弟のワンツーフィニッシュを予想したこの階級だが、兄弟二人は準決勝で当たる組み合わせに。さらに、その準決勝での兄弟対決すら実現しないという波乱が起きる――。
【準々決勝】
チアゴ・マルケス(チェッキマット)
Def. レフェリー判定
パウロ・ミヤオ(シセロ・コスタ)
いつものように引き込んで何度もベリンボロを仕掛けていったパウロだが、自らも座ってダブルガードに持ち込んだマルケスはパウロと同方向に回転することでことごとく防御。まるでかつてのUWFプロレスにおける足関節の攻防の如く、両者が横回転する展開が延々と続くことに。
終盤になったところで、それまで防御に徹していたマルケスがパウロのベリンボロに合わせてアンクル狙い。パウロは未然に防いで試合終了したが、これが好印象を残したのかレフェリー判定はマルケスに。仕掛け続けていたパウロにとっては気の毒な判定となってしまったが、ベリンボロの防御法が発達浸透していること、それだけを繰り出し続けていれば勝てるわけではないことを示したという点で、モダン柔術のさらなる進化を促す試合だったといえるかもしれない。
【準決勝】
ジョアオ・ミヤオ(シセロ・コスタ)
Def. レフェリー判定
チアゴ・マルケス(チェッキマット)
兄パウロの雪辱戦ともいえるこのカードで、ジョアオは兄同様に引き込んでベリンボロ等を仕掛けて行くが、マルケスはパウロ戦と同じ要領で対応して点を許さない。対するジョアオは、ベリンボロに50/50での攻撃も織り交ぜて攻撃を続けてアドバンテージポイントを先取。
後半試合がスタンドに戻ると、座り込んだマルケスに対してジョアオはダブルガードを取らずにあえて上から対処することを選択。マルケスの下からの仕掛けを防いで勝利した。
【決勝】
ジョアオ・ミヤオ(シセロ・コスタ)
Def. 4-0
チアゴ・ブラボー(UAE柔術)
いつものように引き込んだジョアオに対して、ブラボーは両足担ぎを仕掛けて行く。それを防いだジョアオはベリンボロで回転。今回は一度でバックを奪ってみせた。チョーク狙いに入ったところで万事休すかと思われたが、ブラボーは体をずらして防いでディープハーフの体勢に。上からバランスを取ったジョアオは、やがてマルケスの脇をすくうことに成功し腕十字へ。ほとんど極まったかに見えたがブラボーがなんとか逃げ、ならばとジョアオがアンクル狙いに移行したところで試合が終了した。
下からの攻撃で知られるミヤオ兄弟。しかし今回、弟パウロは闘いの幅を広げたことを見せつけての優勝を果たした。
【70キロ以下級】
大本命と見られたタンキーニョことアウグスト・メンデス(ソウルファイターズ)は、現地入りしたものの体調不良で欠場。本命不在のなかで注目された若手のジャンニ・グリッポ(アリアンシ)も、準決勝でレオナルド・サギオロ(BTT)にアドバンテージ1差で敗退してしまう。結局決勝戦は、グリッポを倒したサギオロと、ポーランド出身のヤコブ・ルスカ(UAE柔術)の間で争われた。
【決勝】
レオナルド・サギオロ(BTT)
Def. 6-2
ヤコブ・ルスカ(UAE柔術)
引き込んだサギオロがルスカの体勢を崩して上を奪うと、逆にルスカもスイープのお返し。その後サギオロは再び下からルスカの体勢を崩し、バックに回ることに成功。これが決勝点となり優勝を果たした。
【76キロ以下級】
日本期待のホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ)は、同ブロック最大のライバルと見られたマイケル・ランギ(アリアンシ)が膝の負傷により欠場したこともあり、順調に決勝戦に進出。2年振りの優勝を賭けてセルジオ・ベニーニ(バッハ)と激突した。
【決勝】
ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ)
Def. 送り襟絞め
セルジオ・ベニーニ(バッハ)
サトシは試合開始早々、低い姿勢からのテイクダウンで2点を先制。その後も担ぎを狙うなど積極的にパスを仕掛けて行く。一度試合がスタンドに戻った後、ベニーニは改めて引き込んでオモプラッタ狙いに。それをうまくまたいで潰す。その後再び両足担ぎの要領でベニーニの下半身を浮かせたサトシは、両足のズボンを捌いて素早く横に回ってパスに成功。
なんとか体勢を戻そうとベニーニがうつ伏せになったところでバックに回ったサトシは、そのまま送り襟絞めへ。これががっちりと入ってベニーニがタップ。常にキレのある動きで攻め続けたサトシが、再び世界メジャー大会を制することとなった。
【82キロ以下級】
【決勝】
レアンドロ・ロ(シセロ・コスタ)
Def. レフェリー判定 : P4-4 アドバンテージ1-1
ヴィクトー・エスティマ(バッハ)
強豪の集まったこの階級の決勝は、先日のパン選手権でも戦ったロとエスティマの再戦となった。雪辱を果たしたいエスティマは、試合開始後すぐにガードに引き込むと、ロの裾を引き出して掴んで、そこに足を当てる兄譲りのギャラクシーガードの体勢に。裾を掴んだままインバーテッド・ガードのような形で煽るなど、積極的にロを煽ってその体勢を崩して行くが、ロも優れたバランス感覚でスイープを許さない。
やがて両者が場外際にもつれてブレイクがかかると、エスティマは掴んだロの裾を離さずに握ったままマット中央に移動。内回りからのスイープを仕掛けて行くエスティマに、アンクルで対抗するロ。やがてエスティマが立ち上がって上を奪取して先制。すかさずオープンガードを取ったロはXガードの要領でエスティマの足を抱えて崩してスイープ、同点に。その後再びエスティマが立ち上がって上を取ると、ロも動きを止めずにテイクダウンを仕掛けてエスティマを倒し切り、追い付いたところで試合が終了した。
どちらに転んでもおかしくない判定はロに! 前回のパン選手権ほどの神がかった強さは見せられなかったロだが、大会二連覇達成。しかも去年の76キロ以下級から1階級上げての連続優勝。ロの快進撃は未だに止まらない。
■アブダビプロ2014 軽量4階級の結果
【64キロ以下級】
優勝 ジョアオ・ミヤオ(シセロ・コスタ)
準優勝 チアゴ・ブラボー(UAE柔術)
3位 サミール・シャントレ(カイオ・テハ)
【70キロ以下級】
優勝 レオナルド・サギオロ(BTT)
準優勝 ヤコブ・ロスカ(UAE柔術)
3位 ジャンニ・グリッポ(アリアンシ)
【76キロ以下級】
優勝 ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ)
準優勝 セルジオ・ベニーニ(バッハ)
3位 ミシェル・マイア(UAE柔術)
【82キロ以下級】
優勝 レアンドロ・ロ(シセロ・コスタ)
準優勝 ヴィクトー・エスティマ(バッハ)
3位 クラウディオ・カラザンス(アトス)