【IMMAF & Pancrase330】アマパン王者・岡田にザッツMMAで快勝。山口怜臣「総合力を上げて」
【写真】唯一無二、山口怜臣の来年32月のIMMAF世界大会、そして3月以降の動向も要注目だ (C)MMAPLANET
25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されたPANCRASE330。そのオープニングマッチ第1試合のアマMMAバンタム級戦で山口怜臣が岡田嵐を判定3-0で下した。
IMMAF制覇からプロを目指し、タイのプーケットを拠点するJ-MMA界唯一無二の存在といえる山口が、WTFITFテコンドーのジュニア部門で日本代表のキャプテンを務め、今年のアマチュアパンクラス・バンタム級全日本王者=岡田と対戦した。
<アマMMAバンタム級/3分3R>
山口怜臣(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
岡田嵐士(日本)
IMMAF制覇からプロを目指し、タイのプーケットを拠点するJ-MMA界唯一無二の存在山口が、WTFテコンドーのジュニア部門で日本代表のキャプテンを務め、今年のアマチュアパンクラス・バンタム級全日本王者=岡田と対戦。序盤の打撃戦では左ストレートを被弾する場面も見られた。
山口は組んで、岡田をケージに押し込むと払い腰で投げてからはしっかりとパウンドで削り初回をリードした。
2Rも山口は、初回と同じように払い腰でテイクダウンを決め、立たれても倒し直してリードを広げた。
最終回は、山口も自分の距離で戦いお左ストレート右フックから右ハイという攻撃を見せるも、山口はここもケージに押し込んでテイクダウン&パウンドで3-0の判定勝ちを収めた。
しっかりと勝つ、総合力で勝負して文句なしの勝利を収めた山口の試合直後の声をお伝えしたい。
──日本でのファイトはいつ以来になりますか。
「5年振りです(笑)。今回はタイガームエタイとALIVEで試合の準備はさせていただいて、鈴木(陽一)社長にマンツーだけでなく、ALIVEの仲間も協力してくれて凄く良いキャンプが日本でもできました」
──そのパンクラスでのアマMMAマッチ、なぜこのタイミングで日本で試合をしようと。
「11月に行われたIMMAFのアジア大会は自分のコーチが時期的な問題があって、行くことがデキなく出場を辞退せざるをえなかったです。そういった時にパンクラスの代表でありJMMAFの福井(幸和)代表に『今年のアマチュア・パンクラスの全日本チャンピオンと試合をさせてください』と提案させていただき、このような舞台で戦わせてもらった形です」
──では、この試合のために帰国したということですか。
「ハイ。これがなければ帰国していないです」
──なるほどっ! では、今日の試合のデキに関してはどのように自己評価していますか。
「プランとしては自分もボクシングに自信があったので、パンチで前に出て当てていくというモノでした。ただ岡田選手のバックステップ、距離の取り方が凄く上手で、思うように近い距離で戦うことができなかったです。蹴りとパンチを散らされて、パンチも被弾しましたし。そこでプランB、多少距離が合わなくても誤魔化して組んでいこうと作戦を変えました。組んだ時の感覚で投げることができると思ったし、そこからテイクダウンしてトップゲームで戦いました」
──試合中にアジャストしたのですね。素晴しいです。IMMAFでは1日1試合、多くて2試合が3日や4日ほど続くというトーナメント戦です。今日のようにワンマッチだと、戦い方もアジャストしたのでしょうか。
「ハイ、IMMAFはワンマッチでないので、自分のスタイルも完璧に仕留めきるというよりも、取りこぼさず勝つという戦い方をしてしまいます。見方によっては塩試合に映ってしまうからもしれないですが、ここは下の選手が動かないとリスクを冒してフィニッシュにいく気は正直なかったです」
──アマチュアのIMMAFで勝ち抜くために、見ている人を喜ばすという考えは必要ないと思います。勝負に徹し切れば。と同時にプロになると、大舞台へ行く選手のキャリアの序盤は抜群にフィニッシュ率が高い。それも事実です。
「良く言えば今日の試合でも、勝ちに徹したと言えます。反面、自分のなかでは打撃にしても極めにしても、フルコンタクト空手という競技からMMAに転じた影響なのか『勝てるな』と思えば、その戦いを続けるという部分は確かにあります。そこには自分がフィニッシュする力、技量がない。現時点では、そこは足りていない部分です」
──来年2月12日の週にセルビアのベオグラードで2022 IMMAFの世界大会が開催されます。コロナ以降、その年の年末まで世界大会が開けずスライドして翌年にという形が続いていますが、怜臣選手も勿論ターゲットはそこに?
「ハイ。そうですね。今日の試合ではフィニッシュはできなかったとはいえ、相手のスタイルに合わせて封じこめ完勝できたと思っています。これがIMMAFの場合だと、今日はレスラー、明日はストライカーということが普通にあります。だからこそ、総合力を上げて5試合をしっかり勝ち抜くということを意識して、タイガームエタイで練習していきたいと思います」
──怜臣選手以外に、世界大会に挑戦する日本人選手は出て来そうですか。
「それが僕も余り分かっていなくて……。だから、こういう風にインタビューをして頂いたり、パンクラスで試合をすることで露出する機会も増えたので、IMMAFの認知度が少しでも日本で上がれば嬉しいです。そういう人が増えれば、もっと盛り上がりますし、レベルの底上げになると思います」
──では世界大会以降も含めて、2023年の目標を教えてください。
「世界大会の金メダルは絶対です。それが終わった後にプロに行くと宣言している通り、まだ確定事項ではないですが、自分のなかで候補もあります。そこも公にデキる日を楽しみにしてほしいです」
──かつて世界大会ジュニアの部で覇権を争ったムハメド・モカエフ選手が、すでにUFCで3連勝です。刺激されるのではないですか。
「コロナ禍で選んだ選択肢として、僕はアマチュアを続けることでした。彼はプロとして強い選手と戦っていくことを選びました。かつてのライバルと言われることもありますが、この2年で彼がやってきたこと──しっかりとした相手と戦ってUFCと契約し、UFCでも負け無しです。ここに関しては、素直に今の僕は言及できるレベルにないと思っています」