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【Pancrase330】12・25を読む パンクラス初参戦、伊藤盛一郎─01─「ZSTは僕のアナザースカイ」

【写真】もう29歳、すっかり大人の男──男性になっている伊藤盛一郎 (C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE330に元ZSTフライ級王者の伊藤盛一郎がパンクラス初参戦。上田将竜と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

ZSTのSWAT!トーナメントから、VTJのオープニングファイトを経てプロデビューした伊藤は、その後もZSTを中心に活動してきた。2015年2月にZSTフライ級王座を獲得し、GRANDSLAMでは内藤頌貴を下して2019年よりRIZINへ。2021年10月にRIZINで行われた橋本薫太戦から1年――伊藤がパンクラスに参戦することとなった経緯を訊いた。パンクラスの2022年フィナーレ、横浜武道館大会――12・25を読む。第4弾は伊藤盛一郎インタビュー前編をお届けしたい。


――まずは1年ぶりの試合が決まったことに関する率直な気持ちをお願いします。

「今年に入って、ずっと試合ができる状態にありました。というのも、RIZINは毎年春や秋に横浜大会があったので、いつでも出られる状態にしていたんです。でも横浜大会自体がなく……。もちろん7月には、さいたま大会があったのでずっと良い調子でいたのですが、それも試合は決まりませんでした」

――それは前回の試合後に負傷などがあったのでしょうか。

「いえ。いつも僕は試合で怪我や負傷することがあるのですが、今回はそれも全くなくて。だからずっと調子は良いし、試合間隔が1年空いてしまったことも気にならないですね」

――ということは、いつでも試合に出られる状態のまま1年間も……。

「そうなんです(苦笑)。ずっと試合が決まってほしいと思っていました。急なオファーがあっても、いつでも出られるように体重もキープしていて。しかもずっと体がカツカツな状態ではなく、自然と試合に出られる体重をキープできていたんですよね。2週間前のオファーでも出られましたよ。アハハハ」

――その間、国内ではDEEPやパンクラスでフライ級戦線が盛り上がりを見せていました。ご自身が試合に出ていない時、同じフライ級の動きをどのように見ていましたか。

「DEEPフライ級GPは、もともとRIZINでやるという噂もあったじゃないですか。だから僕も、RIZINのフライ級GPに出たいと考えていました。それがDEEPで行われることが決まり、出場メンバーを見たら――DEEPの主要メンバーという感じでしたよね。みんな強い選手ばかりだけど、もし僕がその中に加わったらと考えても、自分としては燃えなかったです。
結局、RIZINではそこまでフライ級が重要視されていないのだろうと思いました。このままだと、ただ待っているだけでは試合がない。チャンスは巡ってこない。そんななかで、パンクラスの横浜武道館大会が発表されたんですよね。

自分は今年ずっと良い調子で来ているのに、1試合もせずに終わるのはもったいなくて。すると勝村(周一朗リバーサルジム横浜グランドスラム代表)先生から『パンクラス横浜大会に出るか?』と声をかけていただいて。僕も『出ます!』と答えて、勝村先生からプロモーターサイドにお話ししていただきました」

――ということはパンクラスのフライ級の動きも、そこまで把握はしていなかったということですね。

「はい。そもそも自分がパンクラスに出ることになるとは思っていなかったです。ずっとZSTに出ていて、ZSTからRIZINに出て――僕の中にはZSTファイターという誇りがありましたから。でもZSTが活動休止になり、RIZINで試合も決まらず。ここでパンクラスに出させていただくという選択をしました。このまま試合をしていないと、みんなから存在を忘れられちゃうんじゃないかと思って(笑)」

――確かにここで伊藤選手がパンクラスに出場するというのは、横浜大会最大のサプライズの一つだったように思います。一方、フライ級では修斗王者の平良達郎選手がUFCで2連勝し、DEEP王者の神龍誠選手は米国CFFCでベルトを獲得しています。そういった海外参戦組の動向は気にならなかったでしょうか。

「海外プロモーションと契約する日本人選手が増えていたり、そこで活躍しているのは嬉しいです。でも、それぐらいですね」

――やはり今もZSTが活動していれば、RIZIN以外の舞台ではZSTで試合をしたかったですか。

「もちろんです。ずっとZSTで戦っていたら、ZSTの中では相手もいなくなるし、そのためにRIZINで他プロモーションの王者と戦ったりしていました。あるいは、ZSTへ他のチャンピオンに来てもらったり――ZST以外に出ることは考えていなかったです」

――伊藤選手にとって、ZSTとはどのような存在だったのでしょうか。

「ここが僕のアナザースカイ、みたいな」

――……何を仰っているのですか(笑)。

「アハハハ。グランドスラムと同じように、僕が育ってきたホームです。だから王座は返上していましたけど、ZSTの代表としてRIZINでマネル・ケイプと神龍君に連敗した時は、ZSTの株を落としてしまったなと思いました。特に神龍君はDEEP王者で、DEEPとZSTのチャンピオン対決で負けてしまいましたから」

――これまでZSTから他プロモーションに参戦している選手に何人もインタビューしてきましたが、皆さんZSTへの愛が強いです。

「みんなZSTが大好きなんですよ。今は他の大会に出ている選手も、ZSTが再開されたらすぐに集まると思います。今もZSTファイターが他の大会で試合をする時、『頑張ってね』とかメッセージを送り合ったりしているんです。僕がパンクラスに出ることが決まった時は、上原さん(元ZST代表の上原譲氏)からもメールを頂きました。『盛ちゃんなら絶対にやれるから頑張って』と」

――とても熱い関係性ですね。

「修斗、DEEP、パンクラスと比べたら、どうしてもZSTって下に見られていたじゃないですか。それが僕だけじゃなく、みんな悔しかったです。だから、みんなでZSTを大きくしていこうと思っていました。

今回パンクラスに出させていただきます。試合を組んでもらったからには、スポット参戦ではなく継続して参戦していきたいと考えています。ただ、自分がZSTファイターであることの誇りは忘れていません。パンクラスにとって僕はZSTから来た、リバーサルジム横浜グランドスラムの伊藤盛一郎です」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
12月25日
午後2時30分~U-NEXT
午後2時30分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

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