【ADCC2022】99キロ超級 ハイサムかく戦いけり、ADCC&ノーギワールズ優勝サイボーグから一本勝ち
【写真】昨年のWNOチャンピオンシップに続き、ハイサム・リダの名前は確実にワールドクラスになっている(C)SATOSHI NARITA
9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi
ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第16 回は最重量級=99キロ超級に出場したハイサム・リダの戦いを振り返りたい。
<+99キロ級1回戦/10分1R>
ハイサム・リダ(ガーナ)
Def. 1分15秒by 腕十字
ホベルト・アブレウ(ブラジル)
グラップリング最高峰の舞台であるADCC世界大会に初出場を果たしたハイサムの初戦の相手は、サイボーグことホベルト・アブレウ。13年に無差別級王座に輝いたのをはじめとして99キロ超級で銅メダルを2度、銀メダルと1度獲得するなど表彰台の常連になっている。昨年も含めノーギ・ワールズを7度も制するなど世界のトップで活躍する超大物だ。
ハイサムとしては2019年のカイナン・デュアルチ戦、昨年のヴィニシウス・フェレイラ戦に続く世界の重量級トップへのチャレンジとなる。首を取り合う両者。やがてハイサムがアームドラッグを狙うと、サイボーグはそれを横にスピンして切りながらダブルレッグでシュートイン。
が、ハイサムは一瞬で反応して右でサイボーグの左ワキを差して潰すと、そのまま左ワキをすくって電光石火の腕十字へ。
大歓声が沸き上がるなか、ハイサムはすぐにサイボーグのグリップを切りその太い腕を伸ばし切る──と同時にサイボーグがタップ。わずか1分15秒の出来事だった。
レジェンド、まさかの秒殺一本負け──そして最重量級とは思えないほどスピーディーかつダイナミックなフィニッシュに会場は爆発。興奮状態のハイサムは立ち上がって勝利をアピールし、一方のサイボーグは脱帽といった風情でマットに正座し、勝者に拍手を送った。
こうしてハイサムは、本人もおそらく一生涯忘れることがないほどの最高の形でADCC初戦を勝利した。
<99キロ級超級2回戦/10分1R・延長5分>
ルーズベルト・ソウザ(ブラジル)
本戦 2-0
ハイサム・リダ(ガーナ)
鮮烈な一本勝ちで一回戦を突破したハイサムの次戦の相手は、ルーズベルト・ソウザ。
初戦ではジョアオ・ガブリエル・ホシャと対戦し、投げられて下になりながらもその流れで足を取り、一瞬で強烈なヒザ十字を極めて見事な一本勝ち──ハイサム同様、レジェンドから見事な一本勝ちを果たしての2回戦進出だ。
試合開始後、スタンドの攻防を展開する両者。ソウザは両ワキを差そうと試みるが、ハイサムは差し返して距離を取る。
3分経過時、右手でソウザの頭を抱えたハイサムは、長い左腕を伸ばしてニータップを仕掛ける。ソウザの巨体を崩してみせたが、ソウザはすぐに立ち上がった。
加点開始まで残り45秒のところで、ソウザが座る。シッティングから足を絡めてハイサムの右足を狙うが、ハイサムも素早く反応し、ソウザの体を大きくまたぐようにして距離を取る。加点まで残り20秒の時点でソウザは立ち上がった。
やがて試合は加点時間帯に入り、しばらくスタンドでの攻防が続く。
残り3分半の時点にて、ソウザが突進。ボディロックを組むと場外際でハイサムを浴びせたおすことに成功する。ハイサムは倒れながらもバタフライでソウザを浮かせるが、重心の低いソウザはバランスをキープし、そのままハーフの体勢で背中をマットにつけさせ、ヘッド&アームコントロールを取ってポジションを固定。テイクダウンの2点を先制した。
下から上体を起こしてのリバーサルを仕掛けるハイサムだが、ソウザはバランスを保つ。するとハイサムはガードを閉じて足を四の字に組んだ。残り3分。動きを作りたいハイサムだが、ソウザの強固なベースは崩れない。
やがてハイサムがガードを開けたところでソウザが立ち上がると、同時にハイサムもスタンドに戻った。残り時間が少なくなるなか、ハイサムは右足を飛ばして小外や小内を仕掛けるが、ディフェンスモードに入り下がり気味のソウザを崩せない。結局ソウザがそのままリードを守り切り時間に。
2回戦で敗れてしまったとはいえ、初戦で超大物アブレウから今大会最高ともいえるハイライトリール・サブミッションフィニッシュ。ADCCデビュー戦にてその名を世界に轟かせたハイサムは、翌日の無差別級へのエントリーも決めた。