【UFC276】完全無欠、慌てず騒がず。アデサニャが健闘キャノニアを下し、ポアタンを逆挑発
<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
イスラエル・アデサニャ(ニュージーランド)
Def.3-0:50-45.49-46.49-46
ジャレッド・キャノニア(米国)
両者、拳が届くのよりやや外の距離で蹴りを見せる。キャノニアが右オーバーハンドを見せ、左右のローを蹴る。アデサニャも左を伸ばし、左ミドルハイを繰り出す。間合いの測り合いのなかで、両者の右が交錯しロングアッパー気味のアデサニャの右が届く。右ジャブから左の蹴りを繰り出すチャンピオン、なかなか踏み込めないキャノニアが前に出ると細かいパンチを纏められる。そしてカーフを蹴るチャンピオンが、まずはペースを握った。ハイキックはキャノニアの頭の上を越えたが、右ストレートを入れたアデサニャが初回をリードした。
2R、右ハイ、左ミドルを繰り出したキャノニア。キャノニアはカーフを蹴るが、ここも踏み込んでいけない。アデサニャはカーフから左ジャブを当て、左エルボーを繰り出す。ローに右を合わせたキャノニア、やや距離が近づいたか。キャノニアは右ハイを蹴り、カーフと右に距離を取り直す。ワンツーを2つ見せたアデサニャ、攻撃が増えるとそこにキャノニアも手を出していく。王者の右ボディフックに、キャノニアが右を合わせていく。
自ら距離を詰めることが少ないキャノニアに対し、アデサニャが制空権からの迎撃だけでなく相手の領域に侵攻していく。キャノニアがアイポークの中断を求め、ドクターのチェックを固辞して試合がリスタートされる。アデサニャが左ジャブから右を振るい時間となった。
3R、ジャブ、リードフックを伸ばし、カーフを蹴るアデサニャに対し、キャノニアがこの試合初めてシングルレッグを仕掛ける。深追いはせず、足を抜かれ打撃の間合いに戻ると挑戦者はボディを殴る。その後もスピニングバックフィストを見せるなど、仕掛けていこうとするキャノニアに対し、チャンピオンが足を使って回りハイを狙う。
残り30秒、組んだキャノニアがケージにアデサニャを押し込む。最後の最後に回って首相撲からヒザをキャノニアが見せてラウンド終了に。
4R、鋭いカーフから素早い左ジャブを突き刺すチャンピオン。この動きを見せられなお、キャノニアが左ボディショットを放つ。ならばとミドルキックから、右を伸ばすアデサニャに対し、キャノニアがワンツーを振って前に出る。やられる覚悟がないと、詰めることはできないアデサニャ戦で、キャノニアが前に出て両ワキを差す。汗が多くなった終盤、簡単に離れたチャンピオンはジャブ&右ボディを繰り出す。
さらに右ストレートをヒットし、キャノニアの間合いに留まらないアデサニャはさすがの難攻不落ぶりを見せつける。キャノニアはここもクリンチに持ち込み、右エルボーを打ちこむ。首相撲で離れようとしたチャンピオンについていったキャノニアが、エルボーを入れたタイミングでアデサニャが離れる。この攻撃を序盤に見たかったチャレンジャーだ。
最終回、キャノニアが右ミドルを蹴る。相当に覚悟をもった攻撃をしているのだが、アデサニャを驚かせるには至らない。両手を合わせた状態で、アデサニャが右エルボーを入れる。リスクをおかす必要がなく勝てる状況の王者は、キャノニアのクリンチにもケージを背にして時間を使う。
残り80秒でシングルに移行したキャノニアだが、アデサニャは首を抱えてテイクダウン防御。左ジャブを当てたキャノニアが、右に続く左を顔面にヒットさせる。組みを選択したチャレンジャー。首相撲から回った離れたアデサニャがジャブを伸ばす。ここから大きな動きはなく、アデサニャが最終回以外は攻められる場面もなく=面白味の掛ける試合で王座防衛に成功した。
慌てる場面がなく、リスクをおかす必要もないアデサニャは、ケージサイドのポアタンを逆に挑発──。アレックス・ペレイラはキック時代と同様に絶対王者にとって脅威となるのか、あの抜けた打撃に期待したい。