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【FNC06】ベアナックルボクサーと対戦。K-1とダナハーの指導を経て─石井慧「培ってきたことを出す」

【写真】本当に貪欲で、真っすぐだ。ただし試合では狡猾に!!(C)MMAPLANET

17日(金・現地時間)、クロアチアはカーロヴァクのドゥボラナ・ムラドストで開催されるFNC(Fight Nation Championship)に石井慧が出場し、コメインでチャーリー・ミルナーと対戦する。

K-1での活躍後、5月のHEAT参戦が流れた石井は予定されていたとおり、テキサス州オースチンのダナハー・デス・スクワッドでジョン・ダナハーの師事を仰ぎ、ゴードン・ライアンらとグラップリングの特訓及び今回の試合に備えてきた。

打撃、組み技と充実した練習で得た成果を試合で試したい。そんな石井の前に立ち塞がるミルナーはベアナックルファイトも経験しているストライカーだ。大会を翌日に控えた石井の声を訊いた。


──HEATでのダン・スポーン戦が流れた石井選手ですが、クロアチアでの試合が決まりました。いつのタイミングでのオファーだったのでしょうか。

「ちょうど試合がキャンセルになった日に、たまたまオファーを貰いました。開催地に住んでいる友達が今回の大会を手伝っていて、僕の試合がキャンセルになったことを知らずに連絡がありました(笑)」

──凄いタイミングですね!!  

「このオファーがあったので、すぐに頭と気持ちを切り替えることができました」

──今回出場するFNCはクロアチアでどのようなポジションにある大会なのでしょうか。

「クロアチアのなかでは一番大きな大会ですね。最初は小さなイベントでしたけど、最近は規模が大きくなっています。次の大会は9月にプーラという街のアンフィシアター・ウ・プーリ(プーラ円形闘技場)で開催されるので、凄く話題になっています」

──HEAT出場前にテキサスのダナハー・デス・スクワッド(DDS)でグラップリングの練習をすると言われていましたが、試合が決まっても出稽古は敢行したのでしょうか。

「ハイ、航空券も買ってあったので予定通りオースチンでダナハーたちと1カ月間練習してきました」

──MMAの試合があってなお、対策ではなくて底上げの練習をしていたのですか。

「DDSは午前中と夕方にグラップリングの練習が2時間ほどあるのですが、その合間の昼の時間にMMAの指導をジョン・ダハナー先生がしてくれて。だいたい90分ぐらいMMAの練習もしていました。ローリー・マクドナルドやティム・ケネディとかもいて、あとはTUFでロイ・ネルソンと戦ったジャスティン・レンというヘビー級の選手とも練習してきました」

──MMAの練習もダナハーが指揮しているのですか。

「ハイ、そうです。主にケージレスリングで柔道の技とレスリングのテイクダウンのコンビネーションを徹底して教えてもらえました。僕はリーチが短いので、そういう体形の選手に合うテイクダウンを教えてもらって。レスリング技と〇〇〇〇や〇〇〇〇〇の融合や、ノーギの柔道が研ぎ澄まされたように思います」

──おお、それは楽しみです。最近はシングルやダブルが多く、以前使っていた大外刈りと大内刈りも単独技としてノーギ柔道スローで完結していた感があったので。

「ダブルレッグ自体も成長したと思います。それに〇〇〇〇や〇〇〇とか柔道技もレパートリーが増えましたね」

──いやぁ、それは楽しみです。

「夢中になっていたのですが、もう本当に練習が厳しくて……試合がなくなったこと、次の試合のこととか考えられないほどしんどかったです」

──練習が厳しい……ひょっとして石井選手は朝夕のグラップリングと昼のMMAと3部練をしていたということですか。

「そうですね(苦笑)。MMAファイターでグラップリングの練習に毎回顔を出す選手は一人もいなかったです(笑)。土日も休みなく練習があるので、本当にきつかったです(苦笑)」

──試合前にそこまで純粋グラップリングの練習に費やすというのは異例ではないでしょうか。

「やはり試合もありますけど、そこと関係ない部分で積み上げようと思ってテキサスに行ったので。グラップリングの部分の練習を疎かにするわけにはいかないです」

──DDSのグラップリング練習はどのような流れで進むのですか。

「まず打ち込みをしっかりとやってからマウント、亀、クローズド、ハーフ、50/50なんかのシチュエーションスパーリングですね。時間はダナハー先生の匙加減で、10分間だったり8分間だったり(苦笑)。そしてラウンド間の休憩がないんです」

──うげぇ……ですね。

「最後に20分のADCCルールのスパーリングがあって」

──20分ですか!!!!

「もう死ぬかと思いました。ただ最初から力でやると練習が続けられないから、技術が伸びるのかと思いました。結果的に最後のスパーリングはスタミナと根性勝負になって。グラップリングの練習でスタミナが完全に強化されましたね。ダナハー先生も『最後の勝敗の行方を別けるのは技術でなく、スタミナと練習量だ。練習したヤツが勝てる』という風に常に言っていました」

──そこまでの練習量なのですね。

「それが1日に2度で、土日も続ける。それでも新しい技術を色々と教えてもらいましたし」

──加えて石井選手はMMAの練習もしていて。

「ダナハー先生にも『よく練習するな』って褒められました(笑)」

──それはさすがのダナハーも脱帽だったのではないでしょうか。

「でも彼らはADCCに向けて、さらにスケジュールが厳しくなるようです」

──なんとも……そこまでの練習量が彼らの強さの源になっていることが分かりました。ところでグラップリングでの主な練習相手は誰でしたか。

「ゴードン・ライアンやダニエル・マナソイウですね。ダニエルは20歳で2m&140キロぐらいあるのにメチャクチャ動きが柔らかい最初の2週間ぐらいゴードンは、何かを尋ねると教えてくれるという感じで、打ち解けた関係ではなかったです。でも、僕は限られた時間しかDDSにいることができないので、可能な限り多くのスパーリングをゴードン・ライアンとやっていると、後半は付きっ切りで教えてくれるようになりました」

──ゴードン・ライアンも認めざるを得ない練習への向き合い方だったのですね。K-1で試合をするために立ち技を強化し、ここでグラップリングも徹底してやりこんだ。いやぁ、次の試合が本当に楽しみです。

「僕も楽しみです。練習をしていてMMAが面白くて。当然、勝敗は大切です。それ以上に、自分が蓄積してきたモノを試合に出したいという気持ちが大きいです。グラップリングに特化したポジションの練習をすることでも、MMAに役立つと思います。ファイトIQが上がり、とにかくディフェンス面が強化できるので。

打撃もミルコに『打撃の選手とそうでない選手の違いは、リミットが分かるかどうか』と言われたことが昔にあったんです。打撃を見た時に『これを貰うと終わる』ということが分かるのと、分からないのでは違いが大きいと。ミルコは打ち返すことができるパンチ、被弾すると危ないパンチを分かって戦っていて。そういう風に言われていたことが、最近は少し分かってきました。ここで貰うと危ないけど、この距離では大丈夫と分かってきたんです」

──今回の相手はMMAではテイクダウンも仕掛けていますが、ベアナックルファイトも戦うボクサーのようです。

「パンチでもいけると思っています。でも、打撃に固執せずに総合力で勝負したいです。どの局面でも、やってきたことを出して大きくまとまった戦いを見せたいですね」

──ここからUFCを目指すという方向は変わらないですか。

「変わりないです。DDSでも1人ひとりが目標を打ち明けるというミーティングがあって、『UFCで戦いたい』と話しました。そのために必要になる技術を6つ書くようにダナハー先生に言われて、その6つを習得できるようDDSでの練習期間を終えても集中してやっています」

──UFCに行くために、どのようなステップアップ方法を考えていますか。

「今、チェコのオクタゴンMMAからオファーを貰っていて。最近は元UFCファイターも出ているし、ヨーロッパの中でも大きな規模でやっている大会です。良い相手と戦えそうなので次はそこになると思います」

──なるほどぉ、では最後に人知れずクロアチアで戦う石井選手から日本のファンへ一言お願いします。

「明日、自分の培ってきたことを出して納得のいく勝ち方ができるように頑張ります」

■視聴方法(予定)
6月18日(土・日本時間)
午前3時00分~FNC.TV

■FNC06対戦カード

<FNCヘビー級王座決定戦/5分3R>
イヴァン・ヴィタソヴィッチ(クロアチア)
オリ・トンプソン(英国)

<ヘビー級/5分3R>
石井慧(クロアチア)
チャーリー・ミルナー(英国)

<ウェルター級/5分3R>
ヴァソ・バコチェヴィッチ(モンテネグロ)
キリル・メドヴェドフスキー(イスラエル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴラド・ネフェラノヴィッチ(クロアチア)
ウラディミール・フィリポヴィッチ(セルビア)

<ウェルター級/5分3R>
スタニスラフ・クロファク(クロアチア)
パトリック・チェリッチ(クロアチア)

<ライト級/5分3R>
イヴァン・シッチア(クロアチア)
マテオ・ボルファン(クロアチア)

<ミドル級/5分3R>
マリン・ミクリッチ(クロアチア)
イリア・ブルカン(クロアチア)

<女子フライ級/5分3R>
キャスリン・ホテンブルギ(ブラジル)
アドリアナ・ヴコヴィッチ(クロアチア)

<ミドル級/5分3R>
ミレンコ・スタマトヴィッチ(セルビア)
マティヤ・ヴコヴィッチ(クロアチア)

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