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【Special】PFL2023#08、K-1からMMAに戻った石井慧への想い──by 中村拓己

【写真】石井慧は240.2ポンド(108.95キロ)で計量をパス。プレーオフ準決勝2試合を含め、4試合が組まれたヘビー級出場選手で最軽量だ(C)PFL

18日(金・現地時間)にニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデン内ザ・シアターでPFL2023#08が開催される。
Text by Takumi Nakamura

石井慧が約1年7カ月ぶりにMMAの試合を行う。対戦相手はダニーロ・マルケス、舞台はBellator買収のうわさで話題を集めるPFLだ。

7月17日にK-1プロデューサーを退任し、8月1日からフリーライターとして活動を再開する際、最初に記事を書きたいと思った選手が石井慧だった。


周知のように石井は2021年9月から2023年3月まで約1年半、K-1を主戦場に試合を重ねてきた。その間に石井のマッチメイク担当として、本人と試合のやりとりをしていたのが自分だった。K-1プロデューサー就任前の記者時代に何度か取材したことはあったが、石井と連絡を取り合ったのは、この時が初めてだ。

K-1参戦に向けて石井とミーティングした際、2つだけ石井からリクエストがあった。それは「MMAに活かすために期間を決めてK-1ルールに挑戦したい」、「最終的に京太郎と戦いたい」という極めてシンプルなものだ。

その言葉通り、石井はK-1デビュー戦となった愛鷹亮戦を皮切りに、3大会連続でK-1のリングに上がった。対戦相手の交渉に時間がかかることはなく、MMAやグラップリングの試合オファーもあるなかで、K-1での試合を優先し、K-1以外では「サトシ・イシイ」のリングネームでプロボクシングにも挑戦した。

石井はK-1で3戦3勝(1KO)、ボクシングで2戦1勝1分の成績を残し、今年3月「K’FESTA.6」で京太郎戦を実現させた。京太郎には敗れたものの、この試合を最後にK-1卒業とMMA復帰を表明した。

K-1参戦時のインタビューで石井はこんな言葉を残している。

「K-1ルールは逃げ場所がない。僕が最も得意としているテイクダウンやグラウンドがなく、純粋に打撃だけで戦うルールなので、一番打撃技術の向上に近付けるし、向上するスピードも速い。K-1ルールで学んだことがたくさんあります」

「エキビションマッチではなく勝敗がつく公式戦をやることで、何が使えるのか使えないのか。MMAの試合に出た場合は何が有利なのか不利なのかも分かった」

石井のK-1挑戦を間近で見て感じたことは、石井のMMAへの探求心、そして自分が定めたゴールへ向かう貪欲さだ。

MMAにおいて打撃の技術を覚えたいなら、打撃の練習量を増やしてMMAの試合で試せばいい。試合の感覚を味わうだけなら、勝敗のリスクを背負って公式戦をやる必要もないだろう。

しかし、それをやってしまうのが石井慧なのだ。

MMAファイターとして自分が成長するためには何が必要なのか。

その目標にたどり着くための最短距離はどこなのか。

石井はそれを追い求めてK-1での戦いを選び、駆け抜けた。

今回、石井が対戦するマルケスはMMAの通算戦績が14勝5敗。2020年~2022年にはUFCに参戦して2勝2敗、PFLでは2勝1敗の成績を残している。トップ・オブ・トップではないが、北米MMAの最前線で戦う一人だ。石井にとってはMMAファイターとしての現在地が分かる相手と言っていい。

これから石井がMMAで出す結果と試合でのパフォーマンス、それこそ石井がK-1ルールに挑戦したことの答え合わせだと思う。

だからこそK-1プロデューサーから格闘技ライターに戻った今、誰よりも石井慧のMMAに注目している。

なお17日(木・同)に行われた計量結果は以下の通り。ライト級で組まれていたクリス・ミクサン×エディ・ジョージは前者のライセンスが下りずにキャンセルに。

女子フェザー級準決勝でラリッサ・パチェコと対戦するオレナ・コレスニクが147.8ポンドと計量失敗し、ファイトマネーの20パーセントの譲渡とペナルティ1Pを受けたうえでキャッチウェイト戦を戦うこととなった。

またオープニングバウトのヘビー級マッチ=ルイ・サザーランドとダイクワン・バックリーの試合は、バックリーがヘビー級のリミットよりも7.4ポンド重い272.4ポンドとなり、同様にファイトマネーの20パーセントをサザーランドに支払ったうえで、この一戦はスーパーヘビー級戦として実施される。

■視聴方法(予定)
8月19 日(土・日本時間)
午前8 時00分~DAZN

■ PFL2023#08計量結果

<ヘビー級準決勝/5分3R>
ヒーナン・フェヘイラ: 259.6ポンド(117.75キロ)
モーリス・グリーン: 261.8ポンド(118.75キロ)

<女子フェザー級準決勝/5分3R>
ラリッサ・パチェコ: 146ポンド(66.22キロ)
オレナ・コレスニク: 147.8ポンド(67.04キロ)

<ヘビー級準決勝/5分3R>
デニス・ゴルソフ: 243ポンド(110.22キロ)
ジョーダン・ヘイダーマン: 247.2ポンド(112.12キロ)

<女子フェザー級準決勝/5分3R>
マリーナ・モフナトキナ: 145ポンド(65.77キロ)
アンバー・レイブロック: 145.8ポンド(66.13キロ)

<フェザー級/5分3R>
ネイト・ケリー: 145.4ポンド(65.95キロ)
デイモン・ネルソン: 145.8ポンド(66.13キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ダニーロ・マルケス: 248ポンド(112.49キロ)
石井慧: 240.2ポンド(108.95キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ケイトリン・ニール(米国)
マイラ・マザール(ブラジル)

<スーパーヘビー級/5分3R>
ルイ・サザーランド: 250.6ポンド(113.67キロ)
ダイクワン・バックリー: 272.4ポンド(123.55キロ)

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