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【POUNDSTORM01】山本健斗デリカット戦へ 河名マスト─02─「倫也と同じ興行に出られるチャンスが」

【写真】17日の会見で。LDH martial arts出現後、修斗ランカーはキャリアの少ないMMAルーキーにことごとく食われているが、健斗デリカットは意地を見せることができるか(C)MMAPLANET

24日(日)、東京都墨田区の両国国技館で開催されるPOUNDSTORM01で、山本健斗デリカットと対戦する河名マストのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

前編に続き、狩野戦を通じてバックボーンであるレスリングと現在のMMAが繋がってきた点を語ってくれた河名。その末にたどり着いたPOUNDSTORM――レスリング時代からの盟友、中村倫也と同じ舞台に立つ。その舞台でも河名が見せる試合は、ただ一つだ。

<河名マスト・インタビューPart.01はコチラから>


――狩野戦について、グラウンドでの勝負はいかがでしたか。下からサブミッションを仕掛けられていましたが……。

「怖さはありました。もともと狩野選手は極めが強いことは分かっていましたし、自分が完璧にコントロールできるポジションにはいさせてくれなかったので。おそらく皆さんが思っているよりも、僕自身は余裕がなかったです(笑)」

――そうだったのですね。グラウンドでも何かしら相手の体の一部を抑えていたので、サブミッションを仕掛けられても、安心して凌いでいたのかと思いました。

「いえ、1Rの腕十字とかは、自分の中で極められる未来が一瞬見えてしまいました(苦笑)。とにかく取られたくないなと思って、必死に守りました」

――テイクダウンして抑え込めば……というお話でしたが、そのグラウンドコントロールについても、これまでの試合と比べていかがでしたか。

「試合をこなしてきたなかで、どのポジションにいたら自分が危ないのか分かってきたんです。そのおかげで、常に自分から先に動けるようになりました。スタンドでは自分が先に動いてテイクダウンする。同じように、グラウンドでは自分がピンチにならないように先に動くことができるようになったと思います」

――狩野戦では相手が首相撲を仕掛けてきました。対して河名選手も以前、自身のバックボーンであるグレコローマン・レスリングを生かすために首相撲を取り入れたい、といったことを仰っていました。その点についてはいかがですか。

「動きでいうと、レスリングは基本的に前に出ながら腕を差したり、足を取ってテイクダウン狙います。でも首相撲をやって思うのは、レスリングとは逆で相手を引き込んで、出て来るところにヒジやヒザを合わせる動きになりますよね。首元に腕を掛けて、相手が出て来たら自分の攻撃を出す。やっていることは同じなんですけど、それを前に出ながらやるのか、後ろに下がりながらやるか、という違いがあります。ただ、壁レスになれば、そこは同じだと思うので」

――となれば、今はMMAをやるうえで、まずケージ際に持ち込みたいと。

「そうですね」

――ではケージ際に持ち込めば、誰が相手でも戦える自信がついてきたわけですね。

「同じ階級の選手であれば、ほとんどの相手と勝負できるんじゃないかと思っています」

――スタンドでは河名選手が組みのプレッシャーを強めていたためか、狩野選手も打撃戦ではなく組んでバックを狙う展開を選択していました。

「自分の中でひとつ成長を感じたのは、そのバックに回られた時の対応でした。ちゃんと落ち着いて、足を切って元の位置に戻ることができたので。これまでの試合であれば、あのまま一本を取られていたなと思いました」

――何より興味深かったのは、これまでご説明いただいた内容を5分3R、やり続けられるという……。

「そうですね。それをフルラウンドやり続ける覚悟があります。それをやるしかないので」

――一方で、3R後半にパンチで打ち合ったのは意外でした。

「もう打撃の攻防の中で、狩野選手の体力がなくなっているのは感じていました。一発もらっただけでは自分が倒れることはないな、と。1、2Rは取っていると思ったので、あそこは致命的なパンチをもらわないことだけ注意して、打撃戦のまま凌ごうと考えていました。
今は自分のやるべきことが、一つひとつ明確になってきたと思います。デビュー当初は、まず選択肢を増やさなければいけない状態でした。最近は自分の中で、吸収したことを整理して。さらに一つひとつ要素をレベルアップさせているところですね」

――狩野戦はEXFIGHTのプロマッチとして行われました。その前にPOUNDSTROMの開催が発表されていましたが、河名選手にとってEXFIGHT出場は、POUNDSTORM参戦を見据えたものだったのでしょうか。

「そういう気持ちはありました。まず勝てば次の試合のオファーが来る、そのために勝つ。その考えは変わりません。ただ、その中でこんなに早く、倫也と同じ興行に出られるチャンスが来るとは――それが叶うならPOUNDSTORMに出たいと思いました。そのために、試合に勝つことはもちろん、POUNDSTORMに出られるような試合をしないといけない。そういうプレッシャーを自分に対して掛けていました。

もともと倫也から、彼がPOUNDSTORMに出ると決まった時に、大会に関する話は聞いていました。でも自分が出るとは思っていなかったです。当時の自分では、POUNDSTORMに出るのは現実的ではなかったですよね。でも勝ってきて、EXFIGHTで勝てばPOUNDSTORMに出られるんじゃないか。そこで初めて、自分の中でも現実的なものになりました」

――そう考えると、何か運命的なものを感じますよね。対戦相手の山本健斗デリカット選手の印象を教えてください。

「狩野戦と同じ気持ちなんですけど、修斗のランキング1位の選手を相手に今の自分がどれだけできるのか、試すことができるのは嬉しいです。山本選手はストライカーですよね。打撃の距離感で来られたら自分がやられるし、近づいて組みつけば自分に勝機がある。お互いにやりやすくて、やりにくい試合だと思います。いかに自分の形にハメられるか」

――その山本選手を相手に、どのような試合をしたいですか。

「いやぁ、もう作戦はないです。自分はそんなにカードを持っていないので(笑)。カードは1枚――とにかく組んで15分間マラソンをする。勝つために」

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