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【POUNDSTORM01】修斗1位山本健斗デリカット戦へ 河名マスト─01─「想像していたものが出せるように」

【写真】まさに組み伏せる──スタイルを確立しつつある河名マスト(C)MMAPLANET

24日(日)、東京都墨田区の両国国技館で開催されるPOUNDSTORM01で、河名マストが修斗世界フェザー級1位の山本健斗デリカットと対戦する。
Text by SHOJIRO KAMEIKE

レスリングではグレコローマンでU-23世界選手権を制し、MMAに転向した河名。MMA初戦こそ星を落としたものの、以降は4連勝でPOUNDSTORM出場に至った。なかでも今年2月の狩野優戦は、まさに河名が本領を発揮した試合だったといえる。5分3R、ノンストップで組みのプレッシャーをかけながら、組めばコントロールし続けた。幼少期から染みついたレスリングと、現在のMMAがいかにして結び付いたのか。山本戦を控える河名に、現在の成長を訊いた。


――EXFIGHT04の狩野優戦は、まさに河名選手の本領発揮といえる試合内容でした。

「ありがとうございます。あの試合までやってきたレスリングの強み、レスリングをぶつけること。特に国内のランカー選手を相手に、どこまでできるのかを試す試合でもありました。それをやり切ることができたというのは、一つステップを上がることができたのではないかなと認識できた試合です」

――ご自身にとって、レスリングという競技ではなくMMAにおけるレスリングの強さは、どんなところだと思っていましたか。

「やはりテイクダウンから抑え込みですね。相手を立たせない、打撃の間合いにしないことを考えて試合をしていました。

ケージに押し込んで自分が差している状態であれば、すぐ何かしないといけない。MMAを始めたばかりの頃は、そう思っていて……自分で自分を追い込んでいました。でも今は、自分がケージに押し込んでいるなら、時間を使って相手をテイクダウンする。そう考えられるようになりました」

――レスリングの基準であれば、ケージ際で動きを止めていたら反則を取られるかもしれないですね。

「そうなんです。レスリングではとにかく前に出続けないとパッシーブを取られ、寝技で相手が有利な状態(パーテールポジション)から試合を始められてしまうので。そのために組んだらすぐにポイントを取りに行く。スタンドでポイントを取っている選手が有利になるルールですから」

――その動きが染みついていると、ケージ際でクラッチしたらすぐに体が動いてしまうのでしょうか。

「いえ、体が動くというよりは……もともとレスリングというのは壁のない状態で、いかに相手の重心を崩せるかという競技なんです。前に出て相手が押し返して来たら、自分は力を抜くとか。右に体重をかけて相手が左に動いたら、自分も左に体重をかけるとか。そういう動きがケージ際でもできるようになってきたと思います」

――なるほど。

「自分が先に動いて、相手のアクションを見ながら対応する。相手がこう動いてきたら、自分はこう動くということができるようになってきたのかな、と。ずっと、そういう動きができるようになったら良いなと思っていました。でもEXFIGHTの前後から、そうやって頭の中で想像していたものが出せるようになってきています」

――自分の頭の中で考えていることと、実際の動きが合致し始めたキッカケは何かあったのでしょうか。

「いきなり合致したのではなく、本当に少しずつですね。組んでからバックに回る動きだけではなく、あえて正面で両差しを狙ったりとか。一つの動きに固執しなくなりました。こう動いてみたら相手はどう動くんだろう? そうやって試しながら試合できるようになったと思います」

――固執していた一つの動きというのは……。

「とにかくワキを差し上げて、ケージに押し込む。今もやっている形自体は変わらないんですけど(苦笑)。そこからの形が一つしかなかったんです。とにかくバックに回らなきゃ、という。でも、とにかくどんな形でも倒せればいい。グラウンドに持ち込んで、自分の形で抑え込むことができればいいという考えになりました」

――その組んでからテイクダウン、抑え込むまでの動きの中に、打撃という要素はどれくらい入っているのでしょうか。

「打撃で倒すという意識は、まだ全然ないです。でもテイクダウンだけとなると相手にとって怖い選手ではないと思うので、テイクダウンに繋がる打撃を使っていかないといけないですよね。打撃の間合いで相手の射線を切りながら動くようにはしています」

――EXFIGHTの試合では、狩野選手の打撃の間合いを組んで潰していました。

「僕は最終的に組めればいい。たとえば相手の蹴りはキャッチして、掴みさえすれば組みの展開に持っていけますよね。反対に相手が、それが嫌だろうなと考えてくれれば、僕に心理的な余裕が出て来るようになったんです。まず僕が組みのプレッシャーをかけていく形で」

――しかもそれが5分3R、ノンストップで動き続けるという。

「アハハハ、そうですね。僕にとっては、もうやることが決まっています。レスリングの時から、とにかくスタンドは動きを止めない。最後に勝てればいい、という考えでやってきているので。それが今も生きていると思います」

――レスリング時代から、全く止まらないスタイルだったのですね。

「そうですね。僕自身、すごくパワーがあるというタイプではないので。レスリングでは3分2R、マラソンを走る気持ちでした。そこで相手が隙を見せてくれたら、そこを叩く。相手が弱みを見せるところを見逃さないようにしています。そうやってレスリングでやっていたことが、ようやくMMAでも繋がってきたのかなって思いますね。やっぱり組んでいる時が、自分も一番安心できるので」

<この項、続く>

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