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【PJJC2022】ミドル級優勝は因縁のヒメネスに完勝、タイナン・ダウブラ。ムンジで✖ミカの実現に超期待!!

【写真】パン柔術はステータスが世界に2番目に高く、かつムンジアルの最高の予告編になっている(C)IBJJF

6日(水・現地時間)から10日(日・同)まで、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナにて、パン柔術選手権が行われた。
Text Isamu Horiuchi

レビュー第3回は、ミドル級の戦いの模様を、快進撃を続ける若き昨年度世界王者タイナン・ダウプラの戦いを中心に紹介したい。


<ミドル級2回戦/10分1R>
タイナン・ダウプラ(ブラジル)
Def. 2分00秒by 三角絞め
ロベルト・ヒメネス(米国)

ノーギシーンでルオトロ兄弟を連破する等、大いに活躍するヒメネスと、ギあり柔術で昨年の世界制覇等、快進撃を続けるダウプラ。今回ヒメネスが初戦を突破したことで、関係者・ファン注目の若手対決が実現した。ちなみに両者は色帯時代にも対戦経験があり、紫帯時代にはヒメネスがチョークでダウプラから一本勝ちを収めた後、尻に付けた「完全ナチュラル、ステロイドなし柔術」のバッジをアピールする行為をしたことで物議を醸したこともあった。

試合開始後前進するダウプラだが、そこにヒメネスがカウンターでダブルレッグ。ダウプラはあまり抵抗せずに下になり、まずヒメネスが2点を先制した。

ダウプラがクローズドガードを取ると、ヒメネスはすぐにその体をリフトしながら立ち上がる。ダウプラはガードを解きながら着地すると同時にヒメネスの右足にデラヒーバで絡み、すぐに後ろに倒して上に。一瞬の早技で上を取り返してみせた。

さらにダウプラはヒメネスの右足を押さえながら、右に回ってのパス。ヒメネスがそれを嫌がって背を向けると、素早くバックへ。だがヒメネスはそれを許さず体をずらして上になってみせた。ここまででスコアは2-2。アドバンテージはダウプラが2つリード。重厚な戦いで相手を圧倒することが目立つダウプラが、まるでヒメネスに付き合うかのように動きのある攻防を展開している。

さらに下から動くダウプラは、体をずらしてヒメネスの左足に絡んでトーホールドを仕掛ける。これをヒメネスが回転して逃れると、ダウプラは上を取りにゆくが、ヒメネスはスクランブルで上に。

しかしダウプラはそこにアームドラッグでカウンター。ヒメネスは動きに逆らわずに前転するとガードを取り、そしてすぐに立ち上がってみせた。WNOのノーギグラップリングマッチが道着着用ルールに出現したかのような攻防だ。

ダウプラはガードに引き込むと、ヒメネスの右足に絡んで煽る。百発百中のスイープ狙いかと思いきや、ヒメネスの体勢が崩れた瞬間、ダウプラはあっという間に三角絞めをロックオン。そのまま強靭な脚力で締め上げるとヒメネスはタップ、開始からわずか2分少々のことだった。

普段は堅実な戦いで盤石の強さを見せるダウプラが、ヒメネスの領域であるダイナミックな攻防にあえて踏み込むような戦いを見せた上で、圧巻の極めの強さを見せつけて完勝。大会前から注目されていたこの対決だが、ダウプラが道着着用における現役世界王者の力を見せつけた。

翌日、ダウプラは準々決勝のエドゥアウド・カウバーリョ戦も2分少々で襟絞めで圧勝。準決勝において、昨年の世界大会の雪辱を期すホナウド・ジュニオールとの再戦を迎えた。

<ミドル級準決勝/10分1R>
タイナン・ダウプラ(ブラジル)
Def. by 2-0
ホナウド・ジュニオール(ブラジル)

引き込んだジュニオールがクローズドガードを取ると、ダウプラはすぐにリフトして立つ。スパイダーに切り替えるジュニオールに対し、ダウプラはその足を捌いて右にパス攻撃。ジュニオールは右足をダウプラのラペルに引っ掛けて守るが、無類の重心とプレッシャーを誇るダウプラは意に介さず低く右への侵攻を続ける。

右のラペルスパイダーに加えて、左は通常のスパイダーを作ってなんとか距離を保って耐えるジュニオール。対するダウプラは全くバランスを崩さず、右に低くプレッシャーをかけ続ける展開が続いた。

試合時間が半分近く経過したところで、苦しくなったかジュニオールはついにスパイダーを解除してスクランブルへ。すかさず反応したダウプラはバック狙いへ。ジュニオールは体を翻して正対し、ガードを取って立ち上がるが、この攻防でダウプラに2つ目のアドバンテージが与えられた。

スタンドに戻ると、今度はダウプラの方が引き込み。デラヒーバやシッティングから仕掛けにかかるダウプラと、立った状態でそれを捌いてパスを狙うジュニオール。やがてジュニオールの足首を持ち股間に潜り込んだダウプラは、後転するような形でジュニオールを前に崩した。

お互いうつ伏せの状態から、フットロックを掛け合う両者。ここからダウプラがスクランブルで上を取り、2点獲得。こういう場面ではダウプラの鍛え上げた強靭な身体がものを言う。さらに足を捌いて左右に鋭いパスをダウプラだが、ここはジュニオールが凌いだ。

ブレイクを経て残り2分。ジュニオールは引き込んでから内回りを狙うが、ダウプラは、すかさず背中とマットの間に飛び込んでバック狙い。メンデス兄弟を師とダウプラだけに、この辺の反応は見事だ。凌いで立ち上がったジュニオールは再び引き込み、今度はシッティングガードから膝裏からラペルを捕獲。ここからダウプラを前に崩したジュニオールは、背中に回ることに成功。

さらにグラウンドに持ち込んで逆転の両足フックを狙うが、スクランブルで無類の強さを持つダウプラは体を翻して立ち上がる。この攻防でジュニオールにアドバンテージが1つ与えられた。

残り20秒、前進して組むと激しく足を飛ばすジュニオールだが、ここでダウプラの指が目に当たってブレイクに。再開後、ダウプラはすかさずクローズドガードに引き込み、残り時間をやり過ごして終了。スイープの2点を守り切ったダウプラが、雪辱を期すジュニオールを返り討ちにした。が、ジュニオールもダウプラの無類の圧力に耐えてパスを許さず、最後はシッティングからダウプラの体勢を崩してみせる等、確実に爪痕は残したのだった。

<ミドル級決勝/10分1R>
タイナン・ダウプラ(ブラジル)
Def. by 3-0
ジェフェルソン・グアレシ(ブラジル)

ダウプラの決勝の相手は、ジェファーソン・グアレシ。ユニティ柔術の同門にして優勝候補のリーヴァイ・ジョーンズレアリーが対戦を棄権したこともあり、決勝進出。昨年の世界選手権でダウプラに一本負けを喫しており、今回雪辱を期してこの舞台に臨んだ。

引き込んだグアレシは、ラッソーガードを作る。強固なベースをキープするダウプラは、グアレシの足をさばきながら左右にパスのプレッシャーをかけてゆく。グアレシも足を効かせて守るが、ダウプラは攻撃の手を休めない。

やがてグアレシの右足を押さえつけたダウプラは、右に動いて体重をかけてサイドに付きかける。グアレシが左足を差し込んで守ると、その左足をドラッグ。これで背中を見せることを余儀なくされたグアレシが前転するその瞬間、ダウプラは飛び込んでバック狙いへ。

グアレシはスクランブルを試みるが、ダウプラはその右脇をフロントネルソンの形で前からすくい、そのままグアレシの体をひっくり返して背中を付けさせて押さえ込む。かろうじて右足にハーフで絡んだグアレシだが、ダウプラは脇を差し首をコントロールしてグアレシの上体を完全に殺すと、右足を抜いてパスを決めた。6分過ぎのことだった。

強烈な押さえ込みの前にしばし動けなかったグアレシだが、やがてスクランブルしてうつ伏せに。ここでダウプラはバックを取りにゆくが、グアレシはそれを前に落とすことに成功。が、下になっても安定感のあるダウプラ、その後はすかさず強固なオープン&クローズドを駆使して試合終了まで堅実に守り切り、試合終了。

昨年度世界王者のダウプラが、下馬評通りの強さを見せつけて優勝。特に初戦のヒメネス戦の立体的な動きと強烈な極めは、すでにその強さを熟知している者たちの予想すら超えるものと言えた。6月の世界大会の大本命であるこの若者を止める可能性があるのは、今回返り討ちに遭ったものの、唯一その牙城に迫ったホナウド・ジュニオールか、昨年の決勝を争ったイザッキ・バイエンセか、今回対戦が実現しなかったリーヴァイ・ジョーンズレアリーか。

あるいは昨年、驚愕の大激闘の末に黒帯としてダウプラに唯一の黒星を付けた「柔術の神の子」ミカ・ガルバォンか──?

【ミドル級リザルト】
優勝 タイナン・ダウプラ(ブラジル)
準優勝 ジェフェルソン・グアレシ(ブラジル)
3位 ホナウド・ジュニオール(ブラジル)、マチアス・ルナ(ブラジル)

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