【Grachan54】原口伸が植田豊と暫定ライト級王座決定戦へ。超ルーキーは足し算を間違えないMMAが必要
【写真】2021年デビュー組、初の王座戴冠となるか。それとも植田が意地を見せるか(C)MMAPLANET
1日(金)、GRACHANより5月15日(日)に東京都港区の品川インターシティホールでGRACHAN54が開催され、メインで植田豊✖原口伸の暫定ライト級王座決定戦が組まれることが発表された。
この日は昼夜2興行制となり、Grachan54が昼の部、Grachan55が夜の部として実施され本日のプレスリリースでは昼の部のカードが明らかとなった。
2019年フリースタイルレスリング70キロ級全日本王者、昨年9月のMMAデビューから2勝1NC、原口が4戦目で王座挑戦の機会を得た。
J-MMA界の未来──2021年デビュー組は、中村倫也&宇佐美正パトリック、鶴屋怜、河名マスト、岩本健汰、原口の同門である野村瞬太とレスリング、ボクシング、空手、グラップリングの全日本クラスがズラリと揃っており、デビューイヤーからキャリアで上回る相手を引きずり下ろし、急激に存在感を増している。
そんななか早くも、原口がタイトル挑戦の機会を得ることになった。対する植田は過去にグラチャンだけでなくGladiatorでもライト級王座挑戦経験があるベテランだ。
前回の大宮優戦を見る限り、原口はがぶってのパンチや首相撲からのヒザ蹴り、勝負を決めた最後の接近戦でのフックの連打とMMAへの対応力はつきつつある。
その一方で打撃を使おうとするあまり、パンチを被弾する数も決して少なくない。特にまだコンビネーションは見えておらず、右でステップインしてきた大宮の左フックを浴びてダウンを経験している。
ここから大宮がマウントに移行し、スクランブルに持ち込んだことで、レスリング力でピンチから脱したものの、老獪な植田とその頭脳=山崎剛Me,We代表であれば優勢のままスタンド戦に戻るという選択をしていたかもしれない。
世界レベルのレスリングがベースだけにテイクダウン&スクランブルの強さはある原口だが、パンチを被弾して組まれることも少なくなかった。気になったのは組みの攻防のなかで、フィジカルに任せた強引な小手投げを見せていた点だ。金網の位置を考慮しないあの手の荒い攻撃を植田相手に繰り出すと、バックを許し致命傷となる可能性もある。
サウスポー、リーチのある植田は抑え、極めの強さは10勝8敗という戦績以上のモノがある。今回の対戦の肝は、組む前の間──だ。3月のままの原口だとサウスポーの植田のジャブをより多く被弾する可能性も十分にある。
と同時に、組んでからの打撃の強さを前段階で原口が使えるようになっていれば、一方的な展開になる可能性すらある。それは最後に打ち勝ったパンチではなく、対戦相手の大宮が見せていた組むためのパンチが使えるかどうかに掛かって来る。
同様に削り合いになった時に、原口が5分✖3Rの戦い方ができるか否か。この暫定王座決定戦、原口がMMAをやり過ぎれば勝機は植田に。レスリング時々パンチという打撃を駆使できるようになっていれば原口……という見方もできる。
そのポテンシャルの高さを十分に理解した上で、足し算を間違えることがないMMAが原口には必要となってくるだろう。
また今大会のセミではEXFIGHTで地に落ちた自信をグラチャンで取り戻しつつある長野将大が、加マーク納に挑む。柔道ベースの組み力の強さを持つ加マーク納に対し、長野はスピードと手数の多さで切り崩すことがデキるのか。
王者がRIZINに戦場を求めているライト級とフライ級にあって、暫定王座の制定はもちろん、波風を起こす興味深い2つのマッチアップだ。