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【Pancrase326】猿飛流を相手に2度目の防衛戦、小川徹―02―「しぶとい相手を降参させたい」

【写真】笑顔あふれるトークとは一転、ベルトを持ってスイッチが入るとこの表情……これぞベルトを獲った者の顔だ (C)MMAPLANET

21日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE326で、猿飛流を相手にベルトの防衛戦を行う、フライ級キング・オブ・パンクラシストの小川徹インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

空手→自衛隊→デザイン会社経営というキャリアを経ながら、たどり着いたMMAの世界。しかし、MMAファイターとしてのキャリアは、決して順風満帆なものではなかった。上田将竜に喫した2敗、ライリー・ドュトロ戦のKO負け――敗戦を経験し、いかにして小川はパンクラスのベルトを巻いたのか。そして次の猿飛流では、どんな小川徹を見せてくれるのか?

<小川徹インタビューPart.01はコチラから>


――自衛隊を離れたあと、すぐにTRIBEへ入ったのですか。

「RJWの高田浩也さんの紹介で別のジムに入ったんですけど、そのジムも活動休止になってTRIBEに入りました。それが8年前ですね」

――なぜTRIBEに?

「当時はパンクラスのアマチュアに出ていて、僕はスーパーフライ級だったんですよ。プロではその階級のチャンピオンが清水(清隆)さんで、漆谷(康宏)さんも練習していたりと、本当に日本の軽量級のトップ選手がいたので。トップの人と練習すれば、一番早くトップへ行けるのかなと思いました。ただ、皆さん強すぎて何をどうしていいのか分からなかったです。どうすれば、ここまで強くなれるんだろう? でも、やるしかない。そう思って、ひたすら練習についていく毎日でした」

――その中で、MMAファイターとしての手応えを感じ始めたのは、いつ頃なのでしょうか。

「手応え……2015年にネオブラッド・トーナメントのスーパーフライ級で優勝した時ですかね。その頃に自分のスタイルとか、やりたいことが見えてきたんです。もともと空手がベースなんですけど、それまでは打撃もちゃんと使えていなくて。空手とMMAでは距離も違うじゃないですか。自分の中で、そこまで落としきれていませんでした。ずっと『ハマらない、ハマらない』と思いながら、かといって寝技も全然できずに」

――ベルトを獲得する前の試合では、2019年5月のマモル戦が印象に残っています。相手が仕掛けてくる前に小川選手がローで先手を取り、自分のペースに持ち込んでいました。

「マモルさんに勝てたのは自分にとって大きかったです。それまでは勢いで試合している感じだったんですよ。何だかんだで自分が競り勝つことができる、っていう気持ちで試合をしていました(苦笑)。でもマモルさんとの試合では、そういう勝負をしても勝てないですし、とにかく自分がやるべきことを徹底して。自分で試合をつくることができたというのが大きかったですね」

――なるほど。

「あの試合では、自分のマインド、感情を制御できるようになったかなと思います。2回目の上田戦は、自分の中で『行かないと、行かないと』と思って行ったら、ハイキックで負けてしまったんです。マモル戦の次――ライリー・ドゥトロ戦も、自分が行こうと思った時にパンチをもらってしまって。
行こうと思った時に行ける、それがトップファイターだとは思っています。でも一方で、試合の中でしっかり正しい判断ができることも必要なんですよね。行ける時には行ける、行かないほうが良い時には行かない、という」

――その判断は、上田選手との3度目の試合で実践できたのではないですか。フルラウンドに渡って、小川選手がコントロールしていました。

「この間の試合は僕がコントロールしたというか、セコンドの青木(真也)さんにコントロールしてもらっていたんですよね……」

――青木選手にコントロールしてもらった……というのは、どういうことでしょうか。

「青木さんから試合中はずっと、『行くな! 行かなくていい!!』と言われていました。僕が1、2Rを取ったあと、青木さんからは『相手は3R目から絶対に出て来るから、絶対に出て行かずに待て』と言われていて。それで僕は3、4R目も行かなかったんです。でも5R目も相手が来なかった時に、僕が少しイラッとしてしまったんですよ。こんな試合は面白くないと思って。そうしたら青木さんから『行くな!』と……。あぁ、ここで行ったらダメなんだと思いました(苦笑)」

――小川選手陣営では、そのようなやり取りがあったのですね。昨年秋は修斗で平良達郎選手がVTJに出場し、DEEPでも藤田大和×伊藤裕樹、神龍誠×福田龍彌といったフライ級の注目カードが続いていました。現在の国内フライ級の状況について、どのように思っていますか。

「神龍君は一緒に練習させてもらっているんですけど、やっぱり強いですよね。その中で自分は、まだ国内でトップ選手だとは言えないかなと思っています。でもパンクラスのベルトを獲ってから、トップに行ける自信はついてきています。そこで胸を張って、パンクラスのフライ級が一番強い、と言えるようになりたいですね」

――そんななか、2度目の防衛戦を迎えます。

「猿飛流選手は本当なら、トーナメントの決勝で対戦するはずでした。でも決勝が中止になって、僕がベルトを巻いて……もう心の中で引っかかるものしかなかったです。やっぱり試合で勝ってベルトを巻きたかったですよね。だから長南(亮TRIBE代表)にも、上田選手との防衛戦で勝って、みんなの前でベルトを巻かせてくださいと言っていました」

――猿飛流選手の印象を教えてください。

「寝技もスクランブルも強くて、根性もあるし、しぶといなっていう印象があります。仮に僕が上田戦のように、何もやらせないように封じ込んでいたとしても、絶対に突破口を開いてスクランブルに持ち込んでくると思うんです。そこでもう降参させる試合をしたいですね。組んでも打撃でもお手上げ、みたいな」

――最後に、小川選手にとって今後の目標を教えていただけますか。

「正直、どこに出たいというのはないです。まず目の前の強い選手に勝ちたい、それが一番ですね。今回のオファーを受けたのも、試合で自分のMMAをやりたいと思ったからなので」

――自分のMMAとは、どんなものなのでしょうか。

「……自分の中ではまだ、その答えは出ていないです。だから今回は、その答えを出すための試合じゃないかな、って思っています」

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