【RIZIN TRIGGER02】加藤ケンジと対戦、倉本一真─01─「がぶるのが得意なので、無敵のルール」
【写真】がぶってヒザ、考えただけでも恐ろしい……(C)SHOJIRO KAMEIKE
23日(水・祝)、静岡県袋井市のエコパアリーナで行われるRIZIN TRIGGER02で、倉本一真が加藤ケンジと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
修斗を経て現在はRIZINを主戦場としている倉本にとって、今年1月に出場したIREは久しぶりとなるケージを使用した試合だった。掌底による衝撃のKO勝利を収めたIRE、そしてMMAとケージについて語り始めた時、倉本のファイターとしての強さが垣間見えた。
――倉本選手は2018年に修斗でプロデビューし、2020年大晦日からRIZINに出場しています。修斗とは試合場もルールも異なるRIZINで2試合を経験して、感想はいかがですか。
「RIZINでは、まだ自分は面白い試合ができていないと思うんです。RIZINでは、何だかんだ言って面白い試合をしなればいけない、という気持ちもあって」
――その面白い試合とは、どういった内容を指すのでしょうか。
「たとえば踏みつけやサッカーボールキックだったり、掌底もRIZINでは認められているじゃないですか。RIZINの試合をする時は、RIZINでしかできないことをやる。それは常に考えています」
――つまり、まだRIZINのルールを生かした試合ができていないということですね。
「はい、まだRIZINではやりたいことができていないんです。あとは4点ヒザですね。僕はがぶるのが得意なので、無敵のルールだと思うんですよ。今はまだその体勢になったことがないんですけど……」
――倉本選手を相手にテイクダウンを仕掛けると、がぶられるか投げられる可能性があるので、相手も仕掛けづらいでしょう。
「そうですね。今まで僕にテイクダウンを狙いに来た選手は、いないかもしれないです。そうなるとスタンド勝負になってしまうのが現状ですね。まだまだ、これからですけど」
――掌底といえば、今年1月にはIREに出場し、寒河江寿泰選手に掌底でTKO勝ちを収めました。
「はい。IREのために掌底を意識した練習をやってきて、掌底が認められているRIZINルールでも生きると思います」
――IREでは、スタンド状態での掌底が禁止されています。一方で、グラウンド状態となるヒザ着きで掌底を当てた時、手応えはありましたか。
「手応えはありました。ルール上は、足の裏以外のどこかがマットに着いていたらグラウンド状態だと言われていて。だから僕は計量の時も、試合当日もレフェリーに確認したんですよ。本当に良いんですよね? ヒザを着けば掌底を出していいんですね、って」
――結果、そのヒザ着き掌底を受けて寒河江選手は顔面を負傷しました。
「あれは試合でやろうと、何回も練習していた技でした。それが完全にハマりましたね。僕が上のポジションで、相手がガードポジションになっても、僕はガードの中に入るつもりはなかったです。相手は一流のグラップラーでしたから、その土俵に入るようなことはしたくなかったので」
――勝負なのに寒河江選手を相手に、足関勝負をする必要はないですしね。
「寒河江さんは足関のスペシャリストですからね。でも実は僕、足関は結構得意なんですよ」
――えっ、そうなのですか。
「Me,Weで山﨑(剛、リバーサルジム新宿Me,We代表)さんから足関を習っていて。僕もMMAを始めてから、最初は足関をやるつもりはなかったんです。でも練習しているうちに、コレはいけるなと(笑)」
――そうであれば、倉本選手の足関節技も見たかったですね。
「アハハハ、寒河江さんを相手に、自分から足関を仕掛けることはないです。でも、その体勢になれば本気で足関をやるつもりでしたし、極めることができる自信もありました」
――今後はMMAでそんな展開が見られるか、とても楽しみです。
「IREは、僕の中ではMMAをするつもりでした。グラップリングではなく、MMAをやろうと」
――IREでMMAをする……同じMMAと呼ばれていても、プロ―モーションごとに細かくルールは異なります。倉本選手の中では修斗でもRIINでも、あるいは北米のプロモーションであっても、全て同じMMAとして戦えるのですか。
「リングとケージでは違いもありますけど、僕はそこまで意識していないです。RIZINは一番ルールが違いますけど、僕にとっては全てMMAです」
――では今までリングで戦ってきたRIZIN本戦と、今回はケージを使用するRIZIN TRIGGERの違いは意識しますか。
「そこまでは意識しないですけど、ケージで戦うのは好きです。僕はケージで育ってきました。修斗からケージでやっていて、IREでは久しぶりにケージで戦って……テンションが上がりますよね」
――ケージで戦うとテンションが上がるというのは、日本のMMAでケージが普及していくなかで、初期はよく言われていましたね。ケージが閉まるガシャンという音で、気持ちが変わると。
「それは分かります。あぁ、このケージの中で殺し合うんだなって」
――今、グッとファイターの顔になりましたね。
「RIZINのリングも、テンションは上がるんです。ケージほど閉鎖的ではないけど、お客さんから丸見えで、普段は聞こえないような声援があって。ただ、ケージはまた別のテンションになります」
――殺し合うという言葉が適切かどうかは分かりませんが、倉本選手にとってMMAとは、そうした気持ちを持って戦うスポーツなのですか。
「殺し合いです! まぁ言い方は良くないかもしれないですけど。でも、それぐらいの気持ちを持って戦うほうがいいと思っています。ちょっとでも優しい気持ちを持っていたら勝てない。ここ最近の試合で、そう感じました」
<この項、続く>