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【ONE Winter Warriors】フー・ヨン戦へ、若松佑弥─02─「現状を最高にするために考える」

【写真】抗うことと、受け入れることの融和に成功したように感じた(C)MMAPLANET

12月3日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Winter Warriorsでフー・ヨンと対戦する若松佑弥インタビュー後編。

タイトル挑戦直前と思いきや、無名のフー・ヨン戦が決まった。それでも若松は「アドリアーノと戦うつもりで調整してきた」と言う。そしてサンフォードMMAでの出稽古を経験して、若松のなかで明白に変化が生じた。人とコミュニケーションを取ることで、自らの環境を良くしていく。

現状をベターに。そしてベストにしていく心境に至った若松は、荒ぶることなく非常に落ち着いた様子が、強さに通じているように感じられた。

<若松佑弥インタビューPart.01はコチラから>


──ONEルールで、あの低い姿勢のテイクダウンを狙う。それは度胸なのか、無謀なのか。

「そういう怖さはありますね。だから、試合はランカーとか関係なく、戦ってみたいと分からない。ファン目線だと、僕が勝って当然かもしれないですけど、フー・ヨンと戦うということはカマリデーモンと戦うわけじゃないし(苦笑)。さすがにそういう選手と戦うなら、試合があっても僕も気が楽ですけど。それでファイトマネーを貰えるなら、ウキウキです。

でもONEと契約している選手と戦う上では、何があるか本当に分からないです。竜光さんがヨッカイカーに負けるなんて、誰も思っていなかったでしょうし。(佐藤)将光さんが、ファブシリオ・アンドラジに負けたとか。だからフー・ヨンとの試合でも、僕はアドリアーノと戦うつもりで創ってきました」

──マクラーレン戦では凌ぐ寝技ではなく、力強く攻める寝技が見られました。あの試合からサンフォードMMAでの練習も経験しましたし、前回の試合から最も成長が感じられるのはどこでしょうか。

「攻める寝技も伸びているし、色々なモノを吸収して頭を柔らかく戦えるようになっていることだと思います。頑固にならず、固定観念を持たない。若い連中からもアドバイスを貰って、強弱に関係なく皆と話をしているし、チームメイトとのコミュニケーションも以前より取るようになっています」

──コミュニケーションを取るというのは、米国で学んだ部分でしょうか。

「そうですね。Bellatorのトップファイターに、ローカルショーで戦っている選手が普通に意見していて。米国って敬語がないから年齢とか上下関係とか取っ払って話しやすいです。どうしても日本だと気を使ってしまう部分が出てくるので。それを取り入れようと思いました」

──敬語を無くしたのですか!!

「いや、それはさすがにしていません(笑)。色んな選手と映像を見て、垣根をなくして話すというか……。今までは個々でやってきたことも、皆でやる。ラントレも一緒に走り、僕が引っ張る。以前は皆が近寄れないくらい強くなる。そういう気持ちでいたので、皆と壁を作っていたように思います」

──日本で突き抜けてやっていると、孤独になるというヤツですね。

「ハイ。そうなるのは自分の責任だと気づきました。後輩も怖くて、僕に思ったことを言っていなかったはずです。そうではなくて……僕は皆と戦うわけじゃないから、皆から全てを吸収しようと思っています。年下からも学ぼう……弱い選手からも学ぼう、初心を忘れずにって」

──その心境に至ったと。

「練習していなくても勝つヤツもいるし、ただ練習しないヤツもいる。一生懸命やっている人間も、そうでない人間とも付き合う。そこは米国で学びました。人の良いところを取り入れようと思って。

戦いって15分間だけじゃないですか。いくら大きなジムで設備が整って、凄く良いスパーリングパートナーがいても、全てが上手くいくことなんてないです。試合前にケガをすることもあるし、風邪をひくこともある。試合中に目をやられるかもしれない……MMAを引退してからも、急に子供が病気になるかもしれない。嫁さんが重い病気になることもある。

そういうことがあっても、何かができない原因を環境のせいにしたくないんです。逆に周囲の環境を巻き込んで自分を高める。それぐらいでないといけないと思います」

──フロリダにステイ中は、このまま家族を連れて移住したいという気持ちもあったのが、今の環境でやっていくことを決めた結果、行き着いた境地でしょうか。

「お金がないとしょうがないです。僕は浪漫とか、理想とか追いがちですけど、嫁さんは現実的で老後のことも考えています。嫁さんが海外で練習することに反対することはないです。でも、どれだけ金が必要なのかは僕も考えるようになりました。それを実現させるには、チャンピオンになって何千万と稼がないといけない。

でも、今はそうじゃない。なら、現状を最高にするために考える。最高をもっと最高にできるよう整備していくことが大切なんじゃないかと思っています」

──キンガト✖アクメトフがあっても、それは録画中継。若松選手はライブ中継で試合が組まれた。これだってポジティブに捉えることができますよね。

「だから圧倒して勝つことをマストとしています。これまでとは違う戦い、寝技で漬けることができるのも良いことだと思いますし」

──絶対に倒すという意識が、力みになることは?

「倒すことは、僕が持って生まれた力です。そのせいで力むんだったら、制御する。そうでないと新しいことにはトライできない。そこが上手くハマる試合を今回はしたいです。『若松、こんなに試合が詰まらなかったっけ?』って言われるような戦いになるかもしれないし、寝技でも躍動する試合ができるかもしれない。

強くなるために組み技と寝技の強化は絶対です。そこにトライすることで、どういう寝技が自分もできるのか。そこは……自分がどこまでいけるのか、楽しみたいです」

■ONE「Winter Warriors」視聴方法(予定)
12月3日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App

■ONE「Winter Warriors」対戦カード

<キック世界ライト級選手権試合/3分5R>
[王者]レギン・アーセル(オランダ)
[挑戦者]イスラム・ムルタザエフ(ロシア)

<女子アトム級(※52.2キロ) ワールドGP決勝/5分5R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
リトゥ・フォーガット(インド)

<キック・フェザー級/3分3R>
チョウ・チェンリャン(中国)
レネ・カタラン(フィリピン)

<キックボクシング・フライ級/3分3R>
秋元皓貴(日本)
ダニエル・プエルタス(スペイン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ザイード・フセイン・アサラナリエフ(トルコ)

<ヘビー級/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
フー・ヨン(中国)
若松佑弥(日本)

■ONE「Winter Warriors 02」視聴方法(予定)
12月17日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App

■ONE「Winter Warriors 02」対戦カード

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ダニー・キンガド(フィリピン)
カイラット・アクメトフ(カザフスタン)

<バンタム級 (※65.8キロ)/3分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
クォン・ウォンイル(韓国)

<95キロ契約/5分3R>
ヴィタリー・ビグダシュ(ロシア)
ファン・ロン(中国)

<ウェルター級(※77.1キロ)/5分3R>
ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン)
ムラッド・ラマザノフ(ロシア)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
スティーブン・ローマン(フィリピン)
ユーサップ・サーデュラエフ(ロシア)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R 5分3R>
ジャンロ・サンジャオ(フィリピン)
ポール・ルミヒ(インドネシア)

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