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【LFA117】LFA初陣、孤高過ぎる田中路教─01─「動きが2カ月前と比較しても、どんどん良くなっている」

【写真】角刈り返上。試合モードになってきた(C)MMAPLANET

5日(金・現地時間)、カリフォルニア州ヴァイセイリアのヴァイセイリア・コンベンションセンターで開催されるLFA117「Dias vs Tanaka」。イベント名にあるようについに田中路教が、LFA初陣に臨む。

対戦相手のヒカルド・ディアスはKINGS MMA所属のブラジリアン、キャリア10勝4敗ながらLFAでは連勝中で5月のジョージ・ガルシア戦ではヒザ蹴りでKO勝ちを収めている。

UFCで再び戦うことだけを考え、それでいて自分のスタイルをコンテンダーシリーズ的ファイトに寄せることが決してない田中に、この試合に向けての調整方法や対策について尋ねた。


──5日後にLFAデビュー戦が控えています。今はどのような心境でしょうか。

「いつものことなんですが、あまり実感がないというか。そこまで張り詰めた感じはしていないです」

──2019年3月以来、2年8カ月振りの実戦です。その前の試合が2017年10月だったと考えると、この4年で3試合目、異常ともいえる実戦の少なさと言わざるをえない状態です。

「そうですね。何年に戦ったか、僕もちょっと覚えていないです(笑)。ただ不安はないです。僕のキャリアを振り返ると、コンスタントに戦えた年ってないんですよね。PXCで戦っていた時(2012年11月から2013年10月までに4試合)と修斗の新人王トーナメント(2011年4月から同年12月8日までに3試合)ぐらいじゃないですか」

──その2年でキャリアの半分の試合をしていることになります……。

「それでも新人王トーナメントの時も1回戦がキャンセルになったりしていますからね。あの時は20歳だったんで、もう11年も前です(笑)」

──このブランクはやはり気になります。前回のウラジミール・レオンティプ戦でも思ったような試合ができなかったですし。

「あの試合のコンディションが悪かったのは、ブランクのせいではなかったです。それは今になって本当に痛感しています。それでも、次の試合で試合勘というものが関係してくるかもしれないですが、気にしてもしょうがないですから。とにかく集中するだけです」

──6週間の練習、1週間の休息というルーチンを確立している田中選手ですが、試合が決まってからもこの周期は変更ないのでしょうか。

「ちょうど試合のオファーが来たのが6週間前の休息期間中だったんです。次の週から試合のため練習を始めて、ここで6週間なので凄く良いタイミングで試合ができます。仕上がりに関しても問題ないと思います。良い感じで来ています。ただ……」

──ただ?

「自分の動きが2カ月前と比較しても全然良くなっているので、そこを纏めることに関しては少し戸惑いはありました。良い方に変わってきたのですが、打撃にしても成長している分だけ使えるコンビネーションとかが違ってくるので。そこをアジャストさせるのは、結構難しかったですね」

──2カ月で違いが実感できるほど、変わるものなのですね。

「ハイ、距離感とかどんどん変わってきています。良い時の感覚に、ファイトキャンプ中に戻ってきましたね。その距離感を今の自分の技に馴染ませるのに少し手間取ったというのはありますが、手応えは凄く感じています」

──普段は午前中のプロ練習だけで、午後はジムに行かないという生活スタイルになっていましたが、ファイトキャンプ期間もジムでの練習は午前中だけだったのですか。

「試合が決まってユライア(フェイバー)から、『今週中に2人で話そう』ということになってミーティングを行いました。ユライアがファイトキャンプのスケジュールを立てようということで、今回は2人で話して練習スケジュールを創りました。

1週間の細かい練習スケジュールを決めたのですが、ユライアから午後も練習をしろということはまず言われました。プロ練習は全て出て、午後からもミット打ち、ムエタイのクラス、ユライアとのプライベートレッスンという感じで練習してきました」

──田中選手は疲労の蓄積を嫌っていましたが。

「ユライアの考え方として、ファイトキャンプ中は疲労が溜まるもの。そういう揺らぎない考え方だったから、僕も徹底して追い込んできました」

──ユライアはUFCでもLFAでも、コンテンダーシリーズでも必ずと言って良いほどアルファメールの選手のセコンドに就いていますが、どの選手とも田中選手と同じような距離感で、試合まで創っているのですか。

「他の選手とどういう付き合いかは、正直分からないです。他の選手との関係は見ていないのですが、僕にはそういう風に接してくれています」

──いやぁ、本当にアルファメールにいることには拘っているのに、そこでの人間関係の構築に関しては本当に希薄ですよね(苦笑)。NYでの生活に戻った嶋田裕太選手とプライベートのやり取りをしている時に、「田中選手からセコンドのお願いをされたのですが、自分も翌週に試合があるから、カリフォルニアまで行くことはできなくて……どうしようか」という話を聞いて、アルファメールにセコンドを頼める人間もいないのかと愕然としました。

「アハハハハ。そんな大げさなモノじゃないですよ。1人、ジムの人間に頼もうと思ったら、用事があって試合当日しか来られないってことだったので、『あっ、嶋田君がNYにいるなぁ』と思って連絡したんです(笑)。でも試合があるからと言われて、それならしょうがないって。ユライアも試合当日に来てくれるのですが、やっぱり現地にいる3日間ぐらいって気を使わないですむ人といたいじゃないですか」

──こんなこと書いても良いのか、嶋田選手は「本当に大切な試合で、僕の力が必要ならここは力にならないといけない」とかって言いだしたので、「いや、嶋田選手は自分のためにNYに行っているのに」という会話になって……。

「いやぁ、それは嶋田君に申し訳なかったです。そんなに深刻にお願いしたわけでもなかったのに……(苦笑)。そりゃあ、トーナメントに出るならそこに集中してほしいですから。軽いつもりでお願いしてしまったから、本当に申し訳なかったです……。嶋田君に連絡をしたのは、やっぱり居心地の良い人間と一緒にいたいなって。確かに僕は友達がいないから……」

──友達がいない……。

「アハハハ。でも、皆そんなもんじゃないんですか」

──で、セコンドのほうは?

「結局、ユライアが勧めてくれた人が就いてくれることになりました。でも、考えたら車で3時間半ほど移動しないとダメだから、車で一緒に行ってくれる人が必要だったんですよね(笑)」

──嶋田選手に頼んでいたら基本的な抜けがあったと(笑)。それにしても、そのような人間関係で、対策練習などは問題なく消化できたのですか。

「本来はユライアとのマンツーマンの練習で、他から対策練習用のパートナーを呼ぼうかという話もあったのですが、ユライアの考えていた選手の都合がつかなくて。結果、ユライアが対戦相手の研究をして、こういう動きがあるから、こんな動きの練習をやろうという感じで練習してきました。

それでも僕はパートナーを決めて対策練習をしたかったので、2週間ぐらい前からですけど、(川原)波輝君にお願いして対策練習をマンツーでやってもらっています」

──ついに川原選手と!! そのような関係になっていると聞いてホッとしています。

「ついに?(笑)」

──さきほどのセコンドの話もそうですが、田中選手は孤高の人感が際限極まりなくて……。

「波輝君が日本に戻っていたし、この間にまた戻って来ると思っていなかったんですよ。でも、本当に波輝君は良くしてくれます。人間として、人のために動くっていうことを無理なくできるというか……本当に他人に優しいです」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
11月6日(土・日本時間)
午前11時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~ABEMA格闘チャンネル

■LFA117対戦カード

<バンタム級/5分5R>
ヒカルド・ディアス(ブラジル)
田中路教(日本)

<フライ級/5分3R>
堀内佑馬(日本)
マーク・クライマコ(米国)

<160パウンド契約/5分3R>
エミリオ・ウィリアムス(米国)
バットスムベレル・ダグワドルジ(モンゴル)

<150ポンド契約/5分3R>
ハイダー・アミル(米国)
ホブソン・ジュニオール(ブラジル)

<175ポンド契約/5分3R>
クリスチャン・アヴァロス(米国)
ジェフリー・クレイグ(米国)

<175ポンド契約/5分3R>
アルバート・ゴンザレス(米国)
ドミニク・サマー(米国)

<フェザー級/5分3R>
ブロック・ディアス(米国)
カーロス・フィゲロア(米国)

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