【Road to ONE05】タオル一枚、青木真也──裸の告白「一番やっちゃダメなヤツ。良いアルバイトは」
【写真】シャワーを浴び、心が落ち着くかと思いきや…… (C)MMAPLANET
5日(火)に東京都渋谷区のTSUTAYA O –Eastで開催されたRoad to ONE05「Sexyama Edition」。同大会でグラップリングマッチに出場しキャプテン☆アフリカとドローとなった青木真也が試合後に、解説席にいる秋山成勲に嚙みついた。
マイクで秋山に対し、12月のONE10周年記念興行における両者の対戦オファーを断ったことに関して、青木は怒りの言葉を投げかけた。秋山は筋断絶が原因で試合を受けることができなかったと場内と中継内で事情を説明するも、青木の怒りはおさまらない。
いや、控室に戻りタオル1枚で話す青木は、過去に見せたことがないような表情を浮かべていた……。
──いやぁ、交渉がまとまらなかったことを公にして怒りのアピール。アレは本気の怒りだったのですか。
──その表情が、最高に意地悪になっていますよ。
「4週間待たせて断って……時系列で詰めて、『お前は悪いヤツだろう』と(笑)」
──そこに至るまでのグラップリングマッチ、結果的にはまたしてもドローでした。
「緊張感がない……グラップリングは緊張感がないです。全然違うし。世界のグラップリングの潮流を見ても、この10分スタイルではほぼフィニッシュしないじゃん? もう緊張間がないですよね。
よく試合したなって自分で思っちゃいます。4週間、秋山に持たれた。こっちはオファーの瞬間に『やります』って答えて。4週間持たれて『やりません』という返答で、あと2カ月もあるのに。さすがに今日の試合は何のためにやるのか。意味があるのかってなりました。
今の世の中で、全部の世の中で起こっていることと一緒で……正直者がバカを見ますよね。一生懸命やっているヤツがバカを見る。38歳にもなって年間3試合欲しいと思って……そのためには良いコンディションをキープして、いつだってオファーを受けられるようにしている。
その3試合だって……3球あって良い球、悪い球、悪い球という感じじゃないですか。でも今の38歳ぐらいの選手って、良い球だけ1年に1回打っているだけで。悪い球を打たないですよ。3球、打とうという取り組みをしている人間からすれば……まぁねぇって感じですね」
──トーマス・ハーンズか、シュガーレイ・レナードか──ですね。
「ハイ。レナードは良いコンディションの時、負けても傷つかない試合をする。コンディションを整えて、自分がオイシイところだけ戦う。注目されるところだけ戦うんです。オイシクナイとこはやらないスタイルの人、僕らの年齢になると多いですよ」
──いや、決してベテラン選手だけじゃないですよ。日本のトップ5とかに入っていない選手でも、RIZNに1度出るとずっとRIZINのオファーを待っている選手が増えたと思います。「あなたぐらいの選手が、年に1回、2回の試合で良い。それは何を目指しているのですか」と尋ねたくなる選手が増えたと思います。契約が独占なのかもしれないですが、タニマチが喜ぶために試合をして、強くなること諦めているだろうって。
「確かに若い子も、オイシイことだけしたがっていますよね。ずっと待っています。いや、お前らRIZIN以外で無双したのか?って。そればっかりになっちゃって。皆が利己的になっていっているような気がします。
『格闘技界のために』とか口にしても、皆で創っているという感覚がないんですよ。だから、それを想うと僕は人を信じているし、人に期待している。希望を持っている。人を信じてきたけど、そこがないなら『俺もオイシイ思いだけしてやっていれば良いじゃん』って思いますよね。
だから虚無感でしかないです。『お疲れ様でした』って。一番やっちゃダメなヤツですよ。良いアルバイトっていうのは」
──確かにオイシイだけのバイトで、コツコツと働くことを放棄しては業界も社会も回らなくなります。あと、言うと繋ぎのグラップリングに関しても過渡期というか、このやり方は厳しいと感じました。
「どういうことですか?」
──サブオンリーも、今ではジャッジ裁定が普通に入ります。時間切れはドローというルールが、今日のような展開を生む要因になるように感じました。
「動かないですよね。腕なんてゆるゆるで、上は力入れなかったですよ。そうやって誘っても、まるで動かない」
──ジャッジ判定でも、ポイントでも劣性な選手は負けます。でも、時間切れ=ドローでは北岡選手がまさに客席から叫んでいた「極められなかったら、良し」という選択を選手はするものだと思います。そうすると、青木選手も負けの危険もないし、緊迫感は生まれないです。
「ハイ、緊張感なかった。動きはないし。これはキャプテン☆アフリカをくさすわけじゃなくて、こういうモンになるってことなんです」
──でも、世羅選手と青木選手の試合は緊張感がありましたよ。
「世羅はイデオロギーを持っているから」
──あの試合で青木選手はひっくり返されることもなく。足関節にいくこともなかった。
「足関節は、何か動きを創らないといけないと思いましたからね。
取るんだったら、ああいうモノで創るしかない」
──そこですよね。世羅戦では負けない試合をした。そこがリアルでした。でも、今日の青木選手は取りに行く、MMAでは見せない動きで創ろうとしました。
「だから良いアルバイトはしちゃいけない。一番いけないことなんです」
──ポイント制なら足関節を仕掛けられると、抜くだけでなく立ち上がるとリバーサルポイントになる。一本負けさえしなければ負けにならない試合より、ひっくり返されると負けになる。その方が緊張感も生まれるかと。
「ノーポイント、サブオンリーはそういう意味でももう効力がないです。取られないことだけになる。もう……しょうがない。虚無感しかないです……。秋山戦がフィックスされていれば、また創れたんだろうけど……」
──繋ぎの試合とはいえ、両者のグラップリングを楽しみにしていたファンもいます。ファンのために戦うのも、仕事ですよね。
「ハイ……もう僕がグラップリングではテンションが上がらないのか……。せめて、向うが勝ちに来てくれれば……こっちも負けるかってなりますけど、あのルールだと守りますからね。う~ん、手詰まりですね。手詰まり」
──ケガの具合というのは、何も言えない部分はあります。が、『やる』という返答はありした。
「12月の試合を断っておいて、それは何だよって。あと2カ月もあるのに。ふざけんじゃねぇよ、この野郎。なんでお前が『やってやる』みたいな言い方をするんだって」
──12月5日、オク・レユン……はあるとしたらダイレクトリマッチですかね。ではジャン・リーポン戦というようなオファーがあれば?
「他の選手でオファーがあるのか。とにかく、どうせやるならちゃんとやりたいというのはあります。どうせやるなら……。今日は絶望感が凄いです」