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【Bellator】スコット・コーカーに聞く、堀口恭司のベラトール参戦─01─「初戦が世界戦になる可能性も」

【写真】スコット・コーカーと現Bellator世界バンタム級王者セルジオ・ペティス(C)BELLATOR

昨日10日(金)、RIZIN FC事務局/RIZIN FIGHTING FEDERATIONよりBellatorとの今後の協力体制強化と堀口恭司のベラトール定期参戦という発表があった。

その発表によると堀口が生活及び練習の拠点を置く米国での活動を中心とし、ベラトールに参戦。コロナ禍が落ち着き条件が整うことで年に1度、日本=RIZINで試合を行う。その先にはベラトールとRIZINの王者対決、対抗戦、ベラトール日本大会の共同開催などに通じているという。

MMAPLANETではBellatorのスコット・コーカーへの取材を申し込み、ZOOMインタビューを行った。そこではコーカーの堀口への想い、そして日本のファンも蔑ろにしないという姿勢が強く感じられた。


──スコット、日本では昨日RIZINより榊原代表の声明という形で今後のBellatorとの協力体制の強化と、その第一歩として堀口恭司選手がベラトールで定期的に試合をして、条件が整えば日本で年に1度戦うという旨の発表がありました。

「その前に、久しぶりだね。随分と長い間インタビューを受ける機会がなかったよ」

──コロナパンデミックでスコットの来日も途絶えてしまいましたからね。Zoomですが、こうやってスコットと対面できて嬉しい限りです。

「こちらこそ、ありがとう。私はキョージ・ホリグチとRIZINの契約がもうすぐ終わることを知っていた。そして私はホリグチに多大な信頼を置いているんだ。なぜか、それは私が4年前にホリグチと契約をしようと交渉をした際に抱いた、彼の人間性が起因しているんだ」

──4年前というと堀口選手がUFCからRIZINに戦う拠点を移した頃の話ですね。

「そうだよ。彼のベラトールのオファーに対して、『NO』と言った。『ベラトールとはサインはできない。日本に戻る。日本に戻ってRIZINで戦う。日本のMMAの再建をサポートしたいから』と私に言ってきた。でも、私はこう彼に尋ねたよ。

『もっとたくさん、ファイトマネーが欲しくないのかい?』ってね。すると彼は『別にお金は問題じゃない。いくら支払ってくれようが、日本に戻ってRIZINで活躍することで日本で若い才能が生まれる土壌を創る。そうやって日本にMMAが成長し続けるよう戦っていきたい』と言ったんだ」

──……。

「参ったよ(笑)。この男はなんて殊勝な意志を持っているんだって。心から尊敬できる道を彼は選択していた。自分が大金を手にするよりも、日本の格闘技界の役に立ちたいって言うんだからね。そして4年が過ぎた。

彼の現状を顧みて、私は日本のファン、RIZIN、ベラトールにとってベストな選択とは、どういうものかと考えていた。誰にとっても喜ばしい状況は何なのか。全員がWIN WINになるにはどうすれば良いのか。そして10日ほど前、いやもう2週間前になるかな、サカイバラさんがカリフォルニアにやってきた。1週間ほど滞在する間、ヒザを詰めて話をしたよ。毎日、毎晩、ランチや夕食を共にしてね。

そしてキョージがベラトールに所属する数多くの優れたファイターと戦い、世界タイトルを目指し、かつRIZINで戦っていけるという、最高の方法に行き着いたんだ。ホリグチは『フロリダで練習をしていて、隔離措置があるから日本で試合をすることが困難な状況にある』ということを言っていた。RIZINはコロナ禍の隔離措置があり、外国人選手を招聘することができない。ホリグチも然りだ。

例えホリグチが隔離措置をしたうえで日本に戻っても、彼には対戦相手がいない。ならベラトールで戦い、日本で戦える状況が整えばすぐにでも帰国して試合をすれば良い。このディールを結んで、ホリグチもサカキバラさんも、私も──皆がハッピーになれた」

──榊原氏との話し合いの席には堀口選手陣営も同席していたのですか。

「ノー、ただホリグチのマネージャーとは絶えず連絡を取り合っていた。毎日のようにね。ホリグチ・サイドも私がサカキバラさんと話そうと思う方向性には賛同してくれていたよ。それで交渉成立さ!!」

──1度限りでなく、マルチイヤーコントラクトなのですか。

「イエス。ホリグチとは数年間の契約を結んだ」

──堀口選手はベラトール世界バンタム級王座を負傷で返上しました。なら復帰第1戦でセルジオ・ペティスに挑戦しても良いのではないかというが、日本のファンの心情です。

「う~ん。今、私のチームはそのことについて議論を続けているよ。今も話し合いが続けらているけど、初戦が世界戦になる可能性だって十分になる。何だって起こり得る状況だからね。同時に私は心の底から、再びベラトールの日本大会を再び開催したいと思っているんだ。

私のファイターとサカキバラさんのファイターを戦わせたい。コロナ禍が今ほど深刻でなくなったら、私は再びベラトールと共に日本に戻りたいんだよ」

──今は本当に困難ですね。F1でもホンダが最後の年で、日本人ドライバーが7年振りに誕生しても政府はビザを与えず、日本GPは中止になりました。五輪まではオープンな空気がありましたが、終了と共に様子見、慎重になっている感が漂っています。

「う~ん、今は本当に大変な状況だ。実は米国でもそうなんだんよ。各々の週が、各々のルールに則した政策を実施しているから、その調整をするのが本当に困難でね。その一つ一つを解決して、ショーを再開した。でも日本で海外から選手を招聘してイベントを開催することの困難さは、それ以上だからね」

<この項、続く

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