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【ONE】1年7カ月振りの実戦=中央アジアの未知強エミルベク戦へ。中原由貴「腹が決まっています」

【写真】MMAとの向き合い方が見つかった中原。キャリアアップはここからだ(C)MMAPLANET

5日(金・現地時間)に中継されるONE117 02 「Fists of Furry02」で、中原由貴✖ラスラン・エミルベクが放送される。

2019年5月にゲイリー・トノンに敗れて以来の実戦復帰となる中原をABEMA TVにTHE WONDERが追った。

未知の中央アジアからの無敗の対戦相手との試合を前に──どのような心境でいるのか。生活環境も変わり、試合に向かうスタンスも変化があった中原の心境とは。


──キャリアを積み、結果を残すことで未来が広がるという想いが大きかった時代から、その立場になった時になかなか思ったように試合機会が巡って来ない。そんなジレンマに陥ることが多くなったと思います(※同取材は昨年12月8日に行われた)。

「そうですね。昔のONEは日本人選手が放置されている状況がありました。でも、ONEは変わったという声も多く聞かれ、実際に僕より先に契約した選手も試合機会がコンスタントに与えられていました。

でも……僕はそうじゃなかった。ただ、前回の試合で負けているし、だから試合間隔が空いてしまうと言われるとそれまでです。勝っていてそうなると、こちらからアクションを起こせますけど、とにかく負けているので何も言えないですよね」

──そんななか、実に1年7カ月振りの試合が決まりました。対戦相手の名前を聞いても、「ラスラン・エミルベク? 誰それ?」と。するとレコードが12勝0敗で、国籍はキルギス……これは、ちょっと嫌な相手ではないのかと。

「ハイ(苦笑)。12勝0敗、映像をいくつか見たのですが、参考にならないんですよね。対戦相手のレベルだったり、最後の試合が1年も前なので。ただ、MMAに必要なことはできますよね。それと……デカい」

──確かに映像を見ると、上半身もそうだし大きいというのが最初の印象でした。

「180センチあって、リーチが183センチ。きっとじれったい時間が長くなると思います。そこで我慢できるのか、行っちゃうのか」

──威力や迫力のあるパンチには見えなかったのですが、あのリーチがあるのにゴチャゴチャしているというのは、やり辛いかと。そのゴチャゴチャからダブルレッグはタイミングのタイミングが良いかと思いました。

「いきなりレベルチェンジしてきますよね。まぁ、切れるのであれば切りたいのですが、今回の試合は試したいことも多いので、そこはちょっと都合が良いかとなというのはあります。

基本的にテイクダウンは防ぐことはできます。だから、入られてからの対処を考えています。なのでダブルレッグは意識していないです。入りたいなら、入れば──みたいな(笑)」

──試したいことというのは?

「背中をつけて戦っても、どこからでも取れる。実際に練習でも初見殺しですけど、初めての人には取れるので。NYのヘンゾ・グレイシーのところで学んだことを出そうかと思っています」

──おお、非常に楽しみです。

「エミルベクがテンパるようだと、取れるんじゃないかと思っています。ただ、極め切れなくても次の展開も考えていますし、しっかりと捕まえてから仕掛けるということは心掛けています。

僕の方がテンパったり、逆に深追いするとジリ貧になってしまうので……そういう意味でもMMAは難しいです」

──どのような技なのか、楽しみしています。

「ここで見せるのか、先に取っておくのか。まぁ、先に取っておくなんて甘い試合はONEにはないと思っているので、出すべきタイミングがくれば躊躇なく仕掛けます。

ただ、そっちよりも打たせずに打つ。距離を設定して、打ったら回る。一方的に打撃を入れたいですね。ただ相手のレンジに入るということは、僕の方がリーチがないのでパンチをもらう状況になります。

エミリオ・ウルティアと戦った時、ちょっと浮かれていて──あのフルスイングに驚いてしまったんです。で、試合中にも関わらず『あぁ、俺、覚悟が足らなかったな』って思いながら戦っていました」

──つまりは、今回は覚悟ができていると。

「腹が決まっています。我慢するところは我慢して、やり過ぎずに、でもしっかりと殴ります」

──ところで今回の試合後の話になりますが、2021年の目標というのはありますか。

「何試合組まれるのか分からないですけど、タイトルコンテンダーの列には並びたいですね。ダメージなくていけば、いけると思います。ちょっと試合間隔が空き過ぎたので、この試合を戦ってみないと分からないですけど、今はそんなにコンスタントに試合がなくても良いのかなっていう気持ちもあります」

──そういう風になるものなのですね。

「それは僕がフルタイム・ファイターでなくて、生活が安定しているから言えることだと思います。フルタイム・ファイターの人は試合がないと食っていけないし、家族も支えることもできない。それは彼らの長所であり、短所でもある。

僕の場合は今回が1年半以上の試合、それでしっかりと動けるのであれば、次からは準備期間があるオファーを受けたいです。今回も時間は短かったけど、年内に戦わないと気持ちもだれると思って受けました。そうしたら如何せん、減量がきついです(笑)。今はチートデーも設けず、シンガポールに入ってからのことも考えて、落としています。

現地では部屋から出られないので、普段の睡眠時間が少ないから、たくさん寝ようと思います。それに何を言っても、相手もこっちと同じ状況ですしね」

──そのように、気持ちを吹っ切っていく感じですか。

「まぁ結果が出なければ出ないで、その時はその時です。これまで、勝たないといけないっていうプレッシャーが凄かったので。負けたら何もかも失うって思い込んでいて。

でも、ゲイリー・トノンに負けても若干評価が下がっただけで、生活が悪くなるということもなかったですし。ファイターである以上、戦っていくしかない。負けたら、負けた時に考えようというスタンスになれました」

──やはり吹っ切れていますね。

「回りの環境が、そうさせてくれました。以前はフルタイム・ファイターで格闘家を名乗りたくてやっていましたけど、今は正社員として生計を立てているので。ハングリーさが減ったと言われれば減ったかもしれないですけど、それ以上に良いメンタルで試合に臨めるようになったと思います。

生活を削って良い結果が出るかといえば、試合はコイントスのようなものなので。だから、日頃から切り詰めて──そのコイントスのために生活するのか。俺にはできなかったです。できる人もいると思うけど、自分は違いました。でも、生活面のことで安定したことで、MMAを辞めなくて済んだわけですし。

この長いブランクのなかで、何のために練習をしているのかも分からなくなった時期もありました。好きで練習をしているんだから、試合がなくても構わないと思うこともあったし。でも結局は、コレが好きだから辞められなかった。なら普段から切り詰めるんじゃなくて、普段は楽しさの延長線上でやる。でも試合になれば負けず嫌いだから頑張れる。そういう風にバランスが取れるようになりました。だから、心機一転みたいな感じで今回の試合に臨めます」

■視聴方法(予定)
3月5日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App

■ONE117 02 「Fists of Furry02」対戦カード

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
アミール・アリアックバリ(イラン)
カン・ジウォン(韓国)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
アナトリー・マリューヒン(ロシア)
アレッシャンドリ・マシャド(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
高橋遼伍(日本)
タン・カイ(中国)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>※
中原由貴(日本)
ラスラン・エミルベク(キルギス)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>※
ロシャン・マイナン(インド)
アジス・カリム(インドネシア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
マーク・アベラルド(ニュージーランド)
エミリオ・ウルティア(米国)

※昨年12月18日に行われた試合。それ以外の試合は2月26日に実施され、録画中継される。

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