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【UFC259】ケニーを完全解析。ドミニク・クルーズ─02─「穴がなくなっている。判断力がカギを握る」

【写真】この雄姿、あと何度目にデキるか分からない。全ての瞬間を目に焼き付けたい (C)Zuffa/UFC

6日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC259「Blachowicz vs Adesanya」。

トリプルクラウンが実現する今大会は、プレリミメインにドミニク・クルーズが出場し、ケイシー・ケニーと対戦する贅沢このうえないイベントとなっている。

今やドミニクは世界最高のファイターだけでなく、史上最強の名解説者としての地位を確立している。MMAの進化に伴った──ファンの目を養い、MMAをリードする立場となったドミニクらの努力の結晶こそ、対戦相手ケニーのような実力ある若い選手が大いなる台頭といえる。

そんなドミニクが、自らの試合を解析してくれた──MMAマニア垂涎のインタビュー後編を楽しんでほしい。

<ドミニク・クルーズ・インタビューPart.01はコチラから>


──ドミニクとDCのやり取りを耳にしていると、『あぁ2つのMMAの見方を解説してもらっている』と思えるようになったんです。

「それこそが、今のMMAが以前とは違うという点に尋ねられた回答になるんだ。このスポーツも10年、20年と歴史を重ね、ファイターの技術力も進化した。その進化と選手たちの努力を人々に理解してもらう解説が必要になってくる。ファンのMMAを見る目を養いたい。

それができるのが、僕やDC、ポール・フェルダーという選手たちの声だと思っている。選手たちが何をして、どう考えているのかを伝えることができるのは」

──そういう声を聞いて、MMAを始めたいと思う米国の子供たちは既に耳と頭でMMAを理解し始めて、実際に体を動かすので、それこそ成長のスピードが違うということですね。

「その通りだよ」

──そのようにMMAをリードする立場にあるドミニクですが、現役としてケイシー・ケニー戦について尋ねさせてください。彼の実力をどのように思っていますか。

「君はどう思う?」

──う~ん、一つ言えることはLFAの時などは柔道とレスリングをミックスしたテイクダウンとコントロールが強い選手だと思っていましたが、UFCでは圧倒的に打撃の強さを見せています。

「まさにその通りだよ、相当なウェルラウンダーだ(笑)。強力なグラップリングのバックグランドを持ち、打撃が強くなっている。

本当に若いニューカマーたちは、MMAで必要なことを何でも備えているんだ。スイッチして、レスリングと打撃を融合させ、相手のパンチを受けないスタイルを僕はクリエイトした。でも、今やそれが世界標準だ(笑)。誰もが、そんな戦いをしている。本当にMMAの進化は急激だよ。だからこそ、挑戦し甲斐があると思っている」

──ドミニクの戦い方を皆が理解しているということは、それだけドミニクにとっては攻略が難しくなっていることにならないでしょうか。

「オクタゴンに入れば、僕のアドバンテージは明らかになるよ。僕の戦いの理屈を皆は理解したとしても、僕と同じ動きはできない。今でも人とは違う戦い方ができる。と同時に対戦相手から穴がなくっているのも事実だよ。だからこそ、しっかりと観察する必要があるんだ。でも、そういう頭を使ったチェスマッチこそ、僕の得意とするところだからね。

キャリア16勝2敗1分。LFAで2階級制覇、暫定バンタム級王座を獲得した8日後の試合でUFCデビュー(C)Zuffa/UFC

ケイシー・ケニーはタフだ。

自分にパワーがあることを分かって戦いを組み立てている。それにさっきも言ったけど、グラップリングの技術力は相当高く、しかも成長過程にある。

打撃も同じように、見るたびに良くなっている。ただし、この階級でベストといえる領域には達していない。ケイシー・ケニーはどの局面でも強さを発揮できるタフなウェルラウンダーだからこそ、僕にとってこの試合を難しいものにする。それとサウスポーの時は、より警戒が必要だよ。

でも僕にはスピード、コンディションの良さ、そして判断力がある。ゲームプランに則して戦い、互いに動き続ける時、勝敗の行方を分けるのは正しい判断ができるかどうかだ。スマートさを争うチェスマッチになることは間違いない。つまり──この判断力という点がカギを握ることになるだろう」

──いやぁ……さすがのドミニク・クルーズです。素晴らしいアナライズに感謝します(笑)。ところでドミニクがケニーと戦う土曜日の夜は、バンタム級の世界戦があります。もし良かったら、勝利者予想をしてもらえないでしょうか。

「アルジャメイン・ステーリングはグラップリングのスペシャリストで、打撃力をつけてきている。ステーリングはテイクダウンをするためでなく、テイクダウンを止められた時にどのような打撃を繰り出すことができるのか。ピョートル・ヤンに勝てるかどうかは、そこの想像力の有無に掛かっているだろうね」

──いやぁドミニクの試合を見ることができるのは、最高にハッピーなのですが、UFC世界バンタム級選手権試合はドミニクの解説が聞きたかったです。

「アハハハハ。これからも、ずっと解説はできるから。でも、試合に出続けることはできない。だから、この簡単ではない試合で自分を試したい。テストできることを、楽しみたいんだ。

僕のコメンテイターとしての仕事は、この試合が終わってからまた楽しんでもらって、土曜日の夜はファイターとしての僕を楽しんでほしい」

──了解しました。今日はインタビューを受けていただき、本当にありがとうございました。

「こちらこそ、ありがとう。日本のMMAに関わる人達とファンの知識と広い心をリスペクトしている。そんな風にMMAを見てくれて、本当に感謝しているよ。サンキュー・ソー・マッチ」

■視聴方法(予定)
3月7日(日・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
正午~PPV
正午~WOWOライブ

■UFC259対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ヤン・ブラボヴィッチ(ポーランド)
[挑戦者]イスラエル・アデサニャ(ニュージーランド)

<UFC世界女子フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者] アマンダ・ヌネス(米国)
[挑戦者]ミーガン・アンダーソン(豪州)

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ピョートル・ヤン(ロシア)
[挑戦者]アルジャメイン・ステーリング(米国)

<ライト級/5分3R>
イスラム・マカチェフ(米国)
ドリュー・ドパー(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
チアゴ・マヘタ(ブラジル)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<バンタム級/5分3R>
ドミニク・クルーズ(米国)
ケイシー・ケニー(米国)

<バンタム級/5分3R>
カイラー・フィリップス(米国)
ソン・ヤードン(中国)

<フライ級/5分3R>
ジョセフ・ベナビデス(米国)
アスカル・アスカロフ(ロシア)

<フライ級/5分3R>
カイ・カラフランス(ニュージーランド)
ホジェリオ・ボントリン(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット(米国)
ジョーダン・エスピノーサ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)
ケネディ・ンゼチェクウ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ショーン・ブレイディ(米国)
ジェイク・マシューズ(豪州)

<女子ストロー級/5分3R>
リヴィア・ヘナタ・ソーサ(ブラジル)
アマンダ・レモス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ウロス・メディッチ(セルビア)
アーロン・クルーズ(米国)

<バンタム級/5分3R>
トレヴィン・ジョーンズ(グアム)
マリオ・バウティスタ(米国)

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