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【Bellator254】動かざること山のごとし。挑戦者でも横綱相撲、ヴェラスケスが新女子フライ級世界王者に

<Bellator世界女子フライ級選手権試合/5分5R>
ジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)
Def.3-0:49-46.48-47.48-47
イリマレイ・マクファーレン(米国)

サウスポーのヴェラスケスに軽く右ローをマクファーレンが繰り出す。右を振るって前に出る王者、ヴェラスケスは左に回ってかわす。マクファーレンは右を当て、スっと距離を取りなおす。フィジカルが明らかに上のヴェラスケスは、じっくりと構えマクファーレンのステップイン&パンチに距離と角度を取る。シングルのフェイクからチャンピオンが右を当てるが、続くシングルレッグはヴェラスケスが察知して足を抜く。

ドンと構えているチャレンジャーが左ストレートを伸ばす。マクファーレンの右ローに、前蹴りを入れたヴェラスケスは左を伸ばし、マクファーレンの左に右を合わせようとしたところでタイムアップに。優劣をつけるのが困難な5分だった。

2R、ヴェラスケスが距離を詰めて左を見せる。マクファーレンは打ち終わりに右ショートフックを受けるなど、フィジカルの強さとリーチの差を目の当たりにして攻めあぐねているか。ヴェラスケスは左ストレートを届かせると、クリンチに来たマクファーレンを逆にケージに押し込む。ヒザを入れ合った両者、マクファーレンが体を入れ替えてテイクダウン狙いも、ヴェラスケスが体重を浴びせてトップへ。マクファーレンは腰を切ろうとするが、ヴェラスケスは正対して対応──挑戦者のラウンドとなった。

3R、ワンツーで前に出る王者。挑戦者は受けに強く、圧をかけてストレートを伸ばす。マクファーレンは遠い位置からのテイクダウン狙いを潰され悪い流れに。それでもシングルで飛び込んだマクファーレンが、殴られながらテイクダウンを狙う。足が抜け、尻もちをついたヴェラスケスに飛び込んでいったチャンピオンはケージに顔から突っ込み、右目の上をカットし流血。

ヴェラスケスは右ジャブ、マクファーレンが飛び込んで右をヒットさせる。基本、見る姿勢のヴェラスケスは圧力は高く、マクファーレンの前進に見フックを合わせる。最後の最後に跳びヒザを見せた挑戦者が、この回も圧で取った。

4R、手数の少ないスタンド戦=ヴェラスケスのペースで試合が続き、マクファーレンの前進にアッパーを合わせる。ジャブで鼻血を流すようになったマクファーレンが、組んで良い形で寝技に持ち込めない限り、このままジリ貧となるか。

と、ワンツーで組みつき小外掛けてテイクダウンを奪ったチャンピオンは、ケージを使って立ち上がろうとするヴェラスケスの右足を両足で束ね、ボディを殴る。左手で殴り、右手を引き寄せたいが届かないマクファーレンは、ケージにヴェラスケスを押し込んで左のパンチを続ける。最後まで背中をマットにつけなかった挑戦者だったが、この回は初めてマクファーレンのラウンドとなった。

5R、ラウンドの早い段階でテイクダウンを決めたいチャンピオン。右を当てたマクファーレンが組みついてケージにヴェラスケスを押し込む。ウィザーでテイクダウンを許さないヴェラスケスは、時間を使うことに成功する。ついには引き込み返しを選択したマクファーレンだが、上を取れずハーフバタフライを取る。

ヴェラスケスはトップでも動きは少なく、圧力は強い姿勢を貫くと残り90秒で立ち上がる。すぐに組んだマクファーレンは内股を小手で潰され、ケージに押し込んだ状態で時間だけが過ぎていく。

チャレンジャーながら横綱相撲を続けたヴェラスケスは最後に払い腰を決めて、試合を締めた。結果、3-0で判定勝ちを収め新Bellator女子フライ級王者に輝いたヴェラスケスは涙を流し、「チャンピオンになって本当に嬉しい。チーム、家族に感謝している。特に弟に……。柔道では取れなかったけど、これが私にとってゴールド。パンデミックの間にポジティブな言葉で支えてくれた友人に感謝している」と話した。


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