【Special】月刊、青木真也のこの一番:番外編─ONE、修斗、矛盾「自分で自分の首を絞めている」
過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。
ここでは番外編として、本題から外れ──最近のONEと修斗に見られる矛盾を話題に──MMAを愉しみたい。
──ONEではアンジェラ・リーの妊娠にともないベルト返上という手段を取らず、妊娠を女子選手のキャリアを脅かすモノとしませんでした。私は素晴らしいことだと思いましたが、男女間の違いはない。人種間での違いもない。なのでブラジル人同士の世界戦があっても然りではないでしょうか。
「国籍とか人種で差別がないという理屈は分かります。ただしマーケットの有利不利はどこにも存在しますよね」
──では、年齢はどうでしょうか。UFCに通じるのですが、年を重ねていても実績を残す選手がいます。例えば修斗で女子スーパーアトム級王座が創られ、黒部三奈選手が初代チャンピオンになりました。でも、彼女の契約はなっていません。
「そこに関しては年齢が増しても、勝てば上にいけるのは平等だと思います。黒部の話で語ると、『勝てば契約』の条件を修斗とONEが互いに握っていなかった。日本側のマネージメントの弱さも、ONEが年齢云々で契約するのかどうだかという以前に感じちゃいますね。
プロモーション側としては、年齢って客観的に見て上がり目があるかないか──だし。ビジネスでも実力的にも。それでいうと斎藤裕だったそうじゃないですか」
──斎藤選手の場合はONEとの取り決めがなって以降、防衛戦がなかったのでシステム的には契約しなくても構わない状況だったのでしょうが、パンクラスとの王者対決もなく、結果的にRIZINでブレイクをしたのでONEと修斗のパートナーシップって実情はどうなのかってなりますね。
「そうなるとパンクラスとのパートナーシップはどうなったのかって(笑)。もう、こうなると憲法○条の解釈みたいな話に近いですよね。それぞれがそれぞれの言い分があるって感じで、外から見てよくわからない」
──キレーごとをいうなら、臭いモノに蓋をすると矛盾が生じます。『僕、家族が大好きで』って言って他でネェちゃんと遊んでいたら矛盾だろうがって(笑)。
「アハハハ。そこで修斗の暫定王座ですよ。180日以内に正規王者と試合が組まれなければ、自動的に暫定王者が正規王者になるとかっていう規定があるって……岡田が言っていたけど。そんな規定作って、何を自分で自分の首を絞めているんだって思いますよ(笑)。自分たちでルールを決めて苦しくなるなら、作らなければ良いのに」
──王座というものは、興行の売りですからね。暫定王者があっても、暫定五輪とかないわけで。
「そうです、そうです。商売です。商売っていえば良いのに。俺たちはキレーだって言っていて商売をするのは、なんか嫌ですね。だって商売ですからね。
キレーごとがあるから大塚が戦いたいと言って、暫定チャンピオンの岡田がやるよっていえばおかしくなっちゃう。ルール上、岡田は正規チャンピオンの佐藤将光としか戦えないわけだから(※取材後、佐藤が修斗世界バンタム級王座を返上し、岡田が正規王者になった)。
で岡田は解説席で困った顔をしている(笑)。だいたい安藤と大塚を環太平洋王座を賭けずに組んだことで、ストーリーがメチャクチャになっていますよね」
──そこを実況の河内さんが、なんとなくまとめようとしたら青木選手が突っ込んで(笑)。
「でもアレっておかしいし、岡田が可哀そうじゃないですか」
──ただ実況中って何か意見の相違があっても、そこを突っ込むと会話がぎくしゃくするので、なんとなしに流すことが多いのが従来の流れで。
「いや、なんか僕──思ったんです。ランキング、ランキングって言っているけど、高野さん(SARAMI)が杉本さんに勝っても誰もいないじゃんって(笑)」
──解説って大会を盛り上げるもので、実況に水を差さないですよね(笑)。
「だって修斗のやっていること、おかしいし(笑)。困っている岡田を見ていると可哀そうになっちゃって。言われっぱなしだと損ですよ。自分たちでルールを決めて何やってるんだろうなって(笑)」