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【UFC ESPN18】9勝0敗のバエサと戦う、佐藤天─01─「結局はレベルの高い選手が集まっているので」

【写真】今大会ではセコンドに就かないヘンリー・フーフトTシャツ、なかなかの洒落がきいたタイミングで着用している(C)ON THE ROAD MANAGMENT

28日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC ESPN18「Blaydes vs Lewis」に佐藤天が出場し、キャリア9戦全勝のミゲール・バエサと対戦する。

ヘンリー・フーフト&グレッグ・ジョーンズの両コーチが、Bellatorで隔離措置間に選手と練習を行ったことで、3カ月のセコンド活動を禁じられるという状況下で、佐藤はUFC4戦目を迎えることになった。

アマ時代を含めバエサは14連勝中、プロでの勝ち星は7試合がKO勝ち──左右のフック、ヒザ蹴り、カーフックキック、そしてパウンドアウトと多彩な攻撃を持つ。どう考えても強くないわけがないバエサ戦を前にして、佐藤は非常に落ち着いた様子で「そういうところは、もう気にならない」と言い切った。


──今週末にミゲール・バエサ戦が控えていますが、ニューノーマルのファイトウィークも慣れましたか。

「まぁ、そうっスね。検査以外に特にやることはなくて、検査結果がでるまで隔離ですけど」

──そのようななか、ヘンリー・フーフトとグレッグ・ジョーンズの両コーチがベラトールで隔離措置のルールを無視してジェイソン・ジャクソンとトレーニングを行い、3カ月のセコンド禁止処分が出たと聞いています。

「アハハハ。そうなんですよね。ただヘンリーはもともと、この時期に手術をする予定があって、今回の試合ではセコンドを就くことはなかったんです。1カ月前から、それは決まっていて。ただグレッグは来る予定だったので……ショーン・ソリアーノだけが、サンフォードMMAから来てくれます。

グレッグもヘンリーと同じように12月の試合でセコンドに就くと、2月ぐらいまではジムの指導を中心に、スキル強化に力を入れるということをミーティングで言っていたんです。そうしたら、こんなことになって。まぁタイミング的には、これで困るということでもなかったかと思います」

──慣れってありますよね。

「ハイ、。慣れですかね(笑)。もう何十回と検査していますしね」

──精神的な支柱がコーナーにいないことで、試合に影響はでないでしょうか。

「いやぁ、特にないです(笑)。ショーンにもミットを持ってもらっているので。それに日本からニックさん、NYからシュウさんも来てくれていますし。作戦はヘンリーが立ててくれていて……それに試合中にセコンドの指示だけを聞いて、動くような感じでもないですし」

──アハハハハ。それをいっちゃぁ……。

「アハハハ。ヘンリーとグレッグが来てくれた方が心強いですけど、ショーンも交えて、皆が意思の疎通はとれていますしね。何よりも戦うのは自分なので、大丈夫です。逆に一緒に練習できなかったら問題ですけど、カミも含め皆に指導してもらって、もう準備はできているので」

──バエサはウェルラウンダーで穴がない選手のように見受けられます。

「そうですか? ウェルラウンダーですけど、パンチをもらってダウンもしているので穴はあると思います」

──おお、力強い言葉です。

「確かに何でもできる選手です。でもUFCで戦っていると、常に強い選手との試合になりますし。そういうところでは、もう気にならないです。まぁ、キレーに戦う選手ですよね」

──キレーに戦うけど、貰う。被弾するけど、当てて倒す。そんな部分もあります。

「良い選手だと思います。キレーにこなすので、それだけ穴は少ないようには見えますね。でもそういう選手や何か一つ跳びぬけた選手もいるし、結局はレベルが高い選手が集まっているので、対戦相手としてこの選手がどうこうというのはないです」

──強い選手、良い選手。と同時に、佐藤選手が言われたようにキレーに戦うので、それだけ圧力がないというか。レスリングがべらぼうに強く、打撃を振りまわしてくる選手の方が佐藤選手からすれば嫌ではないかとも思いました。

「そうなんです。ガチャガチャしている選手より、やることを決めていてキレーに戦う選手だと思うので、そういう面ではガチャガチャした選手のような怖さはないです。全体的にポテンシャルは高い選手ですけど、向き合って怖いというのは感じないと思います」

──そういうバエサのどの攻撃に気を付けないといけないでしょうか。

「リーチが長くて、倒すパンチを持っている。そこは当然、警戒しないといけないです。右でも左のフックでも倒しているし、柔術も黒帯を持っていてグラウンドもしっかりできます。試合を組み立てることができる選手ですね。

マイアミのMMAマスターズ所属の選手は、よくカーフを蹴るのですが、そういうジムの色も持っていますね」

──カーフ、そしてアナコンダもMMAマスターズの特徴的な技かと思われます。ただカーフに限っては佐藤選手はサウスポーですし、距離が遠くなるかと。

「ハイ。カウンターも受けやすくなるでしょうし、以前にサウスポーの選手と戦った試合では、極端に下は蹴らなくなっていました」

──顔面パンチのないフルコン空手だと、喧嘩四つで右のローを蹴る場合は斜めに走り抜くような角度で動くこともありますが、その後の顔面パンチを考えるとああいう下段はMMAでは蹴りにくいですよね。

「ハイ。だからサウスポーの時はミドルとか近づいた距離で蹴っていますね」

──そのなかで殴り合いになった時には、キレーさから一転して頭は下げているのに振りまわして当てるパンチがあり、あれが嫌かと思ったのですが。

「結構、そこで当てていますね。ただ自分は高木(健太)選手との初戦(※2015年8月)で、効かせてから出たときにカウンターをもらって負けたという経験がありますから(苦笑)。

そこは練習の時から常に頭に入れて準備してきました。過去に失敗しているところなので、同じミスは犯さないです。そこは行きたくなっても、ブレーキを踏めるように練習してきました」

──そこまで意識して練習をしているのですね。

「試合が決まってから、そういうことを考えるのではなくて、普段の練習から意識しているようにします」

──いやぁ頼もしいです。自分など記者ですから、理想的なことを求めますが、やはり選手は勝つために視野が狭くなることもあるではないですか。得手、不得手もあるでしょうし。でも、佐藤選手はそういう部分を超越した感がありますね。

「試合はとにかく勝つことが大切ですが、やはり普段の練習では理想を追い求める必要もあると思います。MMAを始めたころに『MMAはやることが多くて、全てを追い求めるのは大変だ』ということを耳にしました。でも、自分はそういう言葉には違和感はあったんです。

全部やらないと勝てない、そう思っていました。指導をしてくれた方たちからも、全部できないと上に行けないと言われてきましたし、そこは今も妥協せずにやっています。

そういう風に練習することで年々、視野も広がってきたと思います。結果、できることも増えます。できることが増えると選択肢も増え、かつ迷わずに戦うことができるようになってきたんじゃないかと……。だから、一応そういうことは考えながらやってきました」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
11月29日(日・日本時間)
午前9時30分~UFC FIGHT PASS

■UFC ESPN18対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
カーティス・ブレイズ(米国)
デリック・ルイス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
デビン・クラーク(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジョシュ・パリジャン(米国)
パーカー・ポーター(米国)

<フライ級/5分3R>
アミール・アルバジ(スウェーデン)
ザルガス・ズマグロフ(カザフスタン)

<ウェルター級/5分3R>
ミゲール・バエザ(米国)
佐藤天(日本)

<フェザー級/5分3R>
ビル・アレジオ(米国)
スパイク・カーライル(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アシュリー・エヴァンズスミス(米国)
ノルマ・ドゥモント(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マーチン・デイ(米国)
アンデウソン・ドスサントス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
レイチェル・オストビッチ(米国)
ジナ・マザニー(米国)

<フェザー級/5分3R>
カイ・カマカ3世(米国)
ジョナサン・ペース(米国)

<フライ級/5分3R>
スムダーチー(中国)
マルコム・ゴードン(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
ネイサン・マネス(米国)
ルーク・サンダース(米国)

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