【UFN182】UFC初陣へ、村田夏南子─01─「感染して試合ができなくなってしまうのが、一番怖いです」
【写真】ベガスで村田に合流した山崎剛氏が撮影し、送ってくれた写真 (C)TAKESHI YAMAZAKI
14日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN ESPN+40, UFN182「Felder vs Dos Anjos」で村田夏南子がUFCデビュー戦をランダ・マルコスと戦う。
コロナ禍でついに新たな日本人選手がUFCと契約を果たし、日本から渡米する形で世界最高峰に挑戦する。
この一戦を控え、3週間前に渡米しカリフォルニア州ダブリンのコンバットスポーツ・アカデミーで調整していた村田。ベカス入り3日前にインタビューした。1日に10万人がコロナに感染し、泥沼の大統領選挙が行われていた時、その場に居合わせた村田が初オクタゴン前の渡米した心境を話してくれた。
──試合が1週間後に迫ってきました。既に米国入りしているということですが、いつ頃に渡米したのですか。
「3週間ぐらい前からベイエリアのコンバットスポーツ・アカデミーでファイトキャンプをしてきました」
──佐藤天選手、魅津希選手は米国に拠点をおいてUFCで他戦っており、村田選手はコロナ禍で初めて日本から米国に入って試合を行う選手です。パンデミックが起こる以前に米国に入国していた時と色々と事情が違うと思うのですが、いかがでしたか。
「カリフォルニアは隔離政策が取られていなくて、これは週によって違うようです。私はPCR検査もせずに来ることができたのですが、火曜日にセコンドに就くために来てくれる山崎(剛)さんは飛行機に乗る48時間前にPCR検査をして英語の診断書を提出する必要があるようです。3週間でまた変わったようで。
私たちも火曜日にラスベガスに入るのですが、ホテルですぐにPCR検査があって次の日の朝に検査結果がでるまでは、選手1人に1つ用意されたトレーニングルームしか移動ができないようです」
──そもそも検査数が違いますが、それでも日本と米国では感染者の数が2桁違います。そこで米国に先入りして練習することに怖さはなかったでしょうか。
「怖さ……。こっちにきて、移動手段も自転車で人との接触はジムだけという状態でした。ただステイ先はシャワー、キッチン、トイレが共同で、これだけの人が感染しているので、最悪なことを言ってしまえば罹患するのは仕方ないのかなという気持ちはありました」
──もう社会現象なのに罹患して、後ろ指さされる。そういう風なことが残っている日本よりも、米国の方が割り切ることができるのかもしれないですね。
「ただ感染してしまうと、試合ができなくなってしまうので。それが一番怖いです。ジムも一般会員さんのクラスもサンドバッグだけで、組み合うのはプロだけなんですが。
でも日本だと米国ではマスクをしていないという風に伝わっていますけど、全然そんなことはなくて。スーパーとかでも皆、マスクをしています」
──カリフォルニアは民主党のバイデン候補が強い州ですね。彼はマクスをしようという立場を採っています。日本で今回の大統領選の報道を見ていると、とんでもないことに米国はなっているようなのですが、実際にベイエリアにいて何か感じることはありますか。
「ジムと家の往復だけで余り分からないですけど、ジムの人のSNSを見ていると『バイデン、ガンバレ』的なことを書いています(笑)」
──選挙戦はともかく、コロナ禍でも最後は米国で調整したかったということですね。
「そうですね。キリアン(フィッツギボンズ)コーチにもセコンドに就いてもらうので、コミュニケーションが取りたかったというのはあります」
──渡米する前はリバーサルジム新宿Me,Weで調整していたのですか。
「ハイ。それとシルバーウルフでキックボクシングの練習をさせてもらい、IGLOOの岩本(健汰)さんと米倉(大貴)さんがジムに来て指導をしてくれていました」
──岩本選手と米倉選手と!! 下からの足関節などではなく、MMAに生かすためのグラップリングの指導を受けていたのでしょうか。
「教えてもらうことは日によって違うのですが、上からの圧力の掛け方もそうだし、足関節も教えてもらったりしてきました」
──上からというのはでれば、岩本選手の方がそういう技術は多くないですか。
「ハイ。多いです。凄く面白いです。足関節も凄いですけど」
──しかしIGLOO勢との顔合わせは意外です。
「山崎さんの繋がりです(笑)。コロナ禍が騒がれ始めた頃に日本に戻ってきて、緊急事態宣言期間中とかジムが休みになってから、指導を受けています」
──村田選手のMMAに生きるのはどういう部分でしょうか。
「やはり上になることが多いので、そこからの圧力の掛け方やその後の対処の仕方は参考になりました。レスリングだと背中をつけたら終わりなんですが、グラップリングは続くので全然違うと思いました」
──レスリングのコントロールとグラップリングのコントロールは違うと思いますが、岩本選手はかなりカレッジスタイルを研究している選手です。スクランブルに関しても、岩本選手から指導を受けてきたのでしょうか。
「自分が入られてからスイッチだとか、足を取られて切り返してタックルにいくとか。そういう技術を習ってきました」
──現行のフリースタイルだと、あまりスイッチを使った攻防などは村田選手はすることはなかった?
「そうですね。スイッチはあるのはあるのですが、フリーだとバックで2点なので。そこを取られても挽回するのではなく諦めて守り、ブレイクを待つような形でした。フォークスタイルのように上を取り返そうというのはなかったですね」
<この項、続く>