【DEEP97】牛久絢太郎に敗れ、ベルトを失った弥益ドミネーター聡志「100%の自分が跳ね返された結果」
【写真】2R、完全にヒザを効かせた弥益だったが、牛久のここからの粘りが試合の流れを決めた?! (C)KEISUKE TAKAZAWA
20日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで行われたDEEP97 IMPACTのメインで、弥益聡志は牛久絢太郎に敗れDEEPフェザー級のベルトを手放すこととなった。
気迫と体力の勝負で、牛久が上回った。精魂尽き果てた好勝負で敗れた弥益は「何を喋らすんですか……」──と、笑顔を浮かべ、試合後の共同取材に応じた。
SNSでの彼とは違う、仲間への想いで声を詰まらせる──素の弥益聡志がそこには、いた。
※要約
──試合を終えて、今の心境を教えてください。
「まぁちょっと……なんか、自分で自分を客観的に見て、格好悪い試合をした。そんな感じですね(苦笑)」
──心身ともに削り合う試合だったと思います。
「最終的に精神的なスタミナと身体的なスタミナの両方で牛久選手に上回られた試合です。特に2Rはヒザを当てて、牛久選手は完全に目が飛んでいたのですが、そこから全力でしがみついてきて。あのしがみつきに自分がビビッて、一回折れてしまいました……そこが敗因だと思います」
──1-4の判定負けですが、試合が終わった時に裁定結果はどうなると思っていましたか。
「恥ずかしながら3Rの終わりは自分の心が折れてしまっていたので、全面的に自分の負けだと思っていました」
──ケージを下りたときにセコンドの梅田恒介さんとジェイク・ムラタ選手に頭を下げていました。
「……。梅田さんとかは……茨城に住んでいるのに毎週、東京に出てきてくれて……自分に稽古をつけてくれて、一緒に強くなってくれた人なので……。勝って『ありがとうございました』と言いたかったのですが……。ダメでした。情けないです」
──今後は?
「SNSで色々と言ってきたので、色んなことを思われるはずですが……自分なりの格闘技を今後も続けていって、また少しでも見てくれる人がいれば、それはそれで……そのために格闘技をやるわけではないのですが、嬉しいので。気が向いたら、また見て欲しいです」
──初回からいつものようにケージ全体を使えず、真正面に立つ場面が多かったような気がします。何か考えがあっての立ち位置だったのでしょうか。
「そうなってしまいました。打撃の交錯という形ではなく、牛久選手がガードを固めて足を使わず、振り抜いてくるという感じだったので。自分もそこで止まってしまいました。ガードしてくれるのなら、打ち抜こうという気持ちになってしまいました」
──フェイクを見せても、牛久選手は惑わされることがなかったです。
「そうですね。自分を貫き通したのが牛久選手で、そこに合わされてしまいました」
──このご時世で格闘技を向き合うことに影響を受ける人生の選択をしています。コロナ禍が影響したとは?
「いえ、それは影響はないです。そういう立ち位置で、プロファイターと戦わせていただいているのが、僅かながらの自分の誇りと思っています。そこは何のマイナスもないですし、100パーセントの自分が牛久選手に跳ね返された結果です」
──ダメージを与えた時にバックに回って絞めなどという手段ではなく、サッカーボールでフィニッシュを狙う。一足飛びの勝ち方を狙っているように思えました。
「結果論になってしまいますが、純粋なグラップリング勝負になると逆に自分の方が削られてしまう。短い時間で削られてしまう可能性があるので、そこは普段の練習ではなかなか出せないところで勝負をして、自分の消耗を抑えようという気持ちでした」
──それが相手の練習を無駄にするという試合前の言葉だったのですね。ただヒザ蹴りを入れたあとなど、ポジションを取ってさらに削る、あるいはフィニッシュということも狙える場面のようにも思えました。
「仰る通りです。そこで自信をもっていきたいのですが、まだ自信を持てるほど創れていないです。そこを練習しているのですが、咄嗟の場面で自信をもっていけなかったです。でも、いつもありがとうございます。また取材していただけるよう頑張ります」
──すっかり素のキャラになってしまいますね(笑)。
「あっ……そうですね、アイツ、グローブ掴みやがって……とか呟くようにします(笑)」