【ACA108】北の鉄人=ヴィニェル・ガリエフ、アダエフに判定負けも──最後まで攻撃を止めず
<ライト級/5分3R>
アミルカン・アダエフ(ロシア)
Def.Unanimous decision
ヴィニェル・ガリエフ(ロシア)
エドゥアルド・ヴァルタニャンに敗れて以来、5年に渡り国際戦が続いたアダエフ(※7勝1敗)が、同朋=北の鉄人=45歳のガリエフと戦う。15歳若いアダエフに対し、ガリエフが右ハイをいきなり蹴っていく。サウスポーのアダエフは左ロー、ガリエフの左に右フックを合わせる。ガリエフのスピニングバックフィスト、右ハイをしっかりとガードするアダエフだが、シングル→ダブルレッグからバックに回られる。そのまま抱え上げられ、テイクダウンを許したアダエフは蹴り上げを見せて、すぐにスタンドに戻る。
ボディにパンチを入れ、右を伸ばしたガリエフはここでカウンターの右を被弾する。序盤から飛ばすガリエフは、左ハイを受けそうになるが、左フックを逆にヒットさせる。テイクダウン狙いをがぶってアナコンダのガリエフ、アダエフは体を持っていかれることなくクラッチを解く。スクランブルからスタンドに戻ると、ガリエフの呼吸が荒くなっており、支えつり込み足も潰される。それでもワンツーを当てたガリエフは、バタエフのダブルレッグにも腹ばいになりスクランブルに持ち込む。ラウンド終了間際の接近戦で再びアナコンダチョークを狙い、頭を抜かれてサイドで抑えられたガリエフ──スタミナが心配だ。
2R、右ジャブを伸ばすアダエフ。ガリエフも右を伸ばし、前蹴りを繰り出す。疲れは感じさせるが、パンチを連打し真っ向勝負のガリエフが左ミドルを蹴られる。組んでからのダブルを切られたガリエフはシングルも決まらず、パンチを振るうと姿勢が乱れるなかで、スピニングバックエルボーにより、アダエフをプッシュするような形でダウンを奪う。
さらにワンツーを入れ、シングルレッグでテイクダウンを奪ったガリエフだったが、アダエフに立ち上がられると、いよいよ動きが遅くなる。ローでバランスを崩したガリエフをがぶってヒザを突き上げたアダエフが左フックを打ち込む。クリンチから左エルボーを打たれてなお、アダエフは左ジャブを入れ、右フックをヒットさせる。
ハイやミドルを動きがいよいよ落ち、体ごとぶつかるような右を見せたガリエフが、直後にシングルレッグを決める。俵返しでひっくり返し、スクランブルからスタンドに戻ったアダエフだが、スタミナの消耗は別としてダウンを喫し、テイクダウンも許しており、決してポイント的には楽観視できる状況ではないラウンドとなった。
3R、両手を合わせ、ハグでスタートした最終回。間合いを取るガリエフはワンツー、前蹴りを受けた直後に右オーバーハンドからシングルレッグを決めるも、アダエフは即立ち上がる。続くシングルレッグを切ったアダエフがダブルレッグへ。ガリエフを引き抜くように倒すと、バックに回る。顔に力が感じられないガリエフは、立ち上がった時には掌を自らのヒザにおいており、疲れを隠そうともしない。
その後も腕をダラリとさせながら、一瞬だけ力を入れて巻き込みにいくガリエフ。下にならずバックをキープしたアダエフが、臀部や大腿にヒザを続ける。残り100秒で胸を合わせたガリエフは投げを狙い切られると、距離を取る。アダエフもここでダブルレッグを選択するが、ガリエフはスプロール。ここからは文字通り棒立ち状態に陥ったガリエフはパンチ、蹴りを受け、ローで姿勢を乱す。
ところがガリエフは直後にシングルレッグでテイクダウンを奪う。倒した後はコントロールする力が残っておらず、アダエフも倒されて立ち上がるという戦いでスタミナのキープを図っているか。最後はふらつきながら前腕が当たるパンチを見せたガリエフは、試合終了の合図後も、疲労困憊の様子だった。疲れから動きを止めたことで、見た目の印象こそ悪いが、攻撃をしたという部分ではテイクダウンではアダエフを上回っていたガリエフだったが、結果はアダエフがユナニマス・デシジョンで判定勝ちした。
それにしても、あそこまでスタミナをロスし、防御で力を使わず攻撃だけに力を込めて戦ったガリエフ──恐ろしい精神力の持ち主だった。