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【Shooto2020#05】環太平洋バンタム級王座へ、田丸匠─02─「安藤も岡田もクソジジイですよ」

【写真】田丸の発言は自信でも、意地でもなく──仲間との信頼感からくるように感じられる (C)MMAPLANET

8月1日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2020#05で安藤達也と修斗環太平洋バンタム級王座を賭けて対戦する田丸匠インタビュー後編。

MMAを戦うようになった時には、既に目の前に現代MMAという戦い方が存在していた。世界の頂点への計り知れない道程を考え、とにかく強い選手と触れる必要があると考える田丸は、安藤には勝って当然のような歯に衣着せぬ物言いだった。

田丸のMMAワールド、有言実行できるか。

<田丸匠インタビューPart.01はコチラから>


──MMAで戦ううえで、最初からその考え方だったのですか。同じような考えの選手は周囲にいましたか。

「いないと思います(笑)。ただし、ウチの道場では最初からもらうなっていう風に教わってきたんです。ボクシングを見ても、ムエタイでも上にいく選手は貰っていないからって。ディフェンスが上手くなってダメージを負わない選手がチャンピオンになるし、長い間防衛するって言われてきました。

それとMMAを戦う上で苦手を作るなと。ただし、相手の苦手なところで戦え。そのために苦手な部分を作らない。寝技が十分じゃないと思えば、キックボクシングをやれば良いという風で。ずっと指導してもらってきた、さかもとひろしトレーナーもそういう考えだし、ドミニク・クルーズが好きでずっと見てきたので。

殴り合うことが男らしく戦うというのであれば、僕のなかで男らしく戦うということはないです。良い試合はしたいです。でも、それは殴り合うことではないです」

──そんな殴られないスタイルで、安藤選手との戦いを制圧していくと。

「でも軸を保つ練習はしてきました(笑)。見た目が悪くないように戦おうと、ちょっとだけ(笑)。とはいっても、これまでやってきたことをそこまで崩すことはないですし、大丈夫だと思います。相手が弱いとか強いということでなく、相手の攻撃は受けない。それができて、自由度が高いのが僕の武器だと思っています」

──それこそMMAだと?

「それがMMAの面白いところじゃんっていうのは思っています。殴ってテイクダウンしてというという強い人の戦いだけじゃMMAは面白くないです」

──まさに安藤選手はボックス&レスリング、強さの象徴MMAスタイルです。

「まぁ、相手の強いところで戦うつもりはないです。でも……う~ん……」

──どうしましたか。

「安藤選手の強いところがパンチだったとしても、パンチで勝負してもやられる気はしないですし。テイクダウンされても、だから何って気がします。テイクダウンされても僕には寝技があるし。下からスイープしちゃえば良いぐらいの気持ちでいます。リスクは……最初にパンチを被弾することだけ。

本当のところを言うと、僕のスタイルには絶対的な欠点があるんです。ただし、その欠点をつけるだけのモノが安藤選手にはないです。例えばUFCの選手を見ていると、今の僕じゃ全く戦えない。だから、そういう部分を強くしていく作業が今の僕には必要で」

──バンタム級ではUFCは諦めてというような発言がゴング格闘技のインタビューでありましたね。

「えっ、そんなこと言っちゃっていましたか(苦笑)。いや、でもUFCで戦いたいです。今は全く敵わないから、力をつけて……。UFCでチャンピオンになりたいという気持ちでいないと、到達点は低くなると思うんです。UFCは他とは全く違います。そのためには、これで生活できるようにならないと難しいですし。これからのことは本当に分からないですけど、30歳ぐらいまでにUFCで戦えるようになるためにも、今は自分の力量を測りたいです。

安藤選手にまず勝ってからですけど、これからどうなるのかは……」

──暫定王者の岡田遼選手も同じような悩みを持っているようですね。でも、スタイルは違うといえども5教科7科目の男とMMA論については似ているような気もしますが。

「岡田選手に挑戦できるなら、早くやらせてほしいです。とにかくチャンピオンになりたいのと、時間が掛かるなら他団体で強いヤツに触れたいということなので。

でも岡田遼には『クソガキ』って言われましたからね(笑)。僕ってクソガキって言われがちなんです。夜叉坊さんのことが好きでインスタグラムとか見させてもらっているんですけど、『安藤、ガンバレ。あのクソガキ、潰してこい』って書いてあって……。またクソガキって言われたわぁって(笑)。

まぁ、でも僕からすると夜叉坊さんはともかく──安藤も岡田も30歳なんですよ。なら24歳のクソガキからすると、安藤も岡田もクソジジイですよ」

──なるほど、以前東京で一緒に練習した田中路教選手も30歳になるので伝えておきます(笑)。

「あっ、いや田中さんは違います……。田中さんは意識が日本の選手と別です。田中選手は日本の選手のなかでは特別だから、そんな風には言えないです。井上魅津希選手とか、佐藤天選手とかこの状況で米国にいることを選択できる。そういう選手は絶対に意識が違うんです。

だから田中選手は違うとしても、30歳にクソガキって言われるなら、僕からすればあの人たちはクソジジイですよ」

──もう、こちらが言わせているような感じですが……クソジジイいただきます(笑)。そして安藤選手との試合、田丸匠のMMAを堪能させてもらいたいと思っています。

「ありがとうございます。本当はどっちもデキた方が良いことは分かっています。真っ向勝負も上手く戦うのも。何よりも、一つ一つの基礎ステータスを上げていくことも欠かせません。でも、僕は今の自分の環境を顧みて、自分に適した戦いをするだけです」

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