【UFC ESPN14】待ち受けるティルに、フェイント多用のウィティカー。科学的ファイトは後者に軍配
<ミドル級/5分5R>
ロバート・ウィティカー(豪州)
Def.3-0:48-47.48-47.48-47
ダレン・ティル(英国)
いきなり前に出ようとしたティルに、ウィティカーが左ジャブをヒット。間合いをはかる両者、ウィティカーが前に出るとティルが左エルボーを入れてダウンを奪う。すぐにシングルを仕掛けて立ち上がったウィティカーが、距離を取り直す。パンチが大振りになったウィティカーに対し、ティルが左ストレートを入れ、ハイからパンチをまとめる。組みでヒザを蹴り合い、ウィティカーの首投げを防いだティルが離れる。
ここからティルが左をまたも当て、ウィティカーは左ローを入れて右ハイへ。スウェイでかわしたティルのショートのコンビは届かず、ウィティカーが右を打っていく。ティルはウィティカーのジャブはよけるものの右を貰うシーンがラウンド終盤になって出てきた。
2R、パンチ、蹴りの応酬から接近戦でウィティカーの左がヒット。離れて間合を取り直した両者、スッと踏み込みつつ右オーバーハンドを打ち込んだウィティカーがダウンを奪う。ガードの中で鋭いエルボーを落とし、足を一本抜いたウィティカーがさらに左エルボーを打ちつける。ティルは左エルボーを連続で受け、スクランブル狙いもバックを許す。
胸を合わせたティル、ウィティカーが離れて打撃の間合いに。互いに遠めの距離を取り、ステップインとステップバック、ステップインにカウンター狙いという黙視戦が続く。ティルの左ハイをガードしたウィティカーが右ハイを返し、着地と同時に後ろ回し蹴りを見せラウンド終了、ウィティカーが取り返した。
3R、左アッパーをヒットしたティルに対し、ウィティカーが頭の高さを変えたフェイクから前へ。ティルが左エルボーをここでも狙う。右をより警戒するようになったティルだが、こうなるとウィティカーの左が当たるように。互いに相手の蹴りをスウェイでかわし、続くコンタクトでウィティカーの右がヒット。続いて左ジャブを当てたウィティカーが、エルボーで近づいたティルがバックに回るがすぐに離れる。ティルはヒザ蹴りをカウンターで合わせ、ハイをスウェイでよけ両手を挙げてアピール。
と、ウィティカーがシングルレッグへ。ここを切ったティルに、左フックを振るう。これもかわしたティルは、右オーバーハンドもよけて左ハイを狙う。距離を取りエルボーで待ち受けるティルだが、ウィティカーはニータップでケージまで押し込む。すぐにリリースし、今度はテイクダウンの踏み込みで左フックを見せるウィティカーだったが、ティルはしっかりと見てタイムとなった。
4R、ワンツーで左を入れたティル。ここから間の取り合いとなり、両者揃って手数が減る。フェイントを多用するのはウィティカーで、待つのがティル。と、ウィティカーのステップインに左エルボーを再び当てたティルが、アッパーで追い打ちをかける。間合いを外したウィティカー、続くステップインで両者の頭が当たる。
顔面直接殴打有りの伝統空手のようなタイミングと距離の勝負──接近戦では空手と違いクリンチの攻防でティルのヒザ蹴り、ウィティカーのダーティーボクシングからのアッパーが交錯する。ウィティカーが間合意を外すやシングルレッグへ。押されながら離れたティル、そのままタイミングの取り合いとなり、ラウンド終了となった。
最終回、右を振るって踏み込むウィティカー。続くステップインはシングルレッグだが、ティルが切って左ハイ、直後に左ストレートとリズムを変えた攻撃を繰り出す。ウィティカーはあくまでも踏み込み勝負を続ける。ティルのハイに軸は支払いのようなローを蹴ったウィティカーは、テイクダウン狙いを切られて左フックを狙う。テイクダウン狙いにもステップインに左エルボーを合わせていくティルは、自ら前に出てワンツーを入れる。
ウィティカーは重い左カーフ、ティルは懸命にポーカーフェイスを貫こうとしているのか──それでも動きは一瞬止まる。続いてウィティカーはニータップを仕掛けて、左を打つという動きを見せる。ならばとティルは、前に出てエルボー。耳の辺りから大量の流血が見られるウィティカーが、ついにシングルレッグでテイクダウンを奪い、バックに回る。
もう一度前方に崩したウィティカーに対し、スクランブルでティルが胸を合わせたが、最終回はウィティカーの巧みさが上回った。結果、間とタイミングの勝負はジャッジ3者とも48-47でウィティカーにつけ、名乗りを受けた。
「凄くストレスのたまる試合だったはず。ファンに感謝しているよ。この試合は僕にとっても最もテクニカルな試合の一つだ。互いにフェイントを多用していたし、彼の戦い方と僕の戦い方のぶつかり合いだった。多くのフェイントがあって、テイクダウンを織り交ぜた試合だったんだ。俺、エルボーを貰ったの? 最後に耳がカットして、生温かい感じがした(笑)。彼はしっかりと僕のことを理解していて、とてもテクニカルなファイトでカウンターが凄くハードだった」と勝利を振り返った。