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【UFC249】UFC世界バンタム級選手権試合、前哨戦=舌戦はドミニク・クルーズがヘンリー・セフードを完封

Cruz【写真】前哨戦は冷静かつ引き出しの多いドミニクに凱歌が挙がった(C)Zuffa/UFC

5日(火・現地時間)、9日(土・現地時間)にフロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナで開催されるUFC249のメディア・カンファレンスコールが行われ、トニー・ファーガソン、ジャスティン・ゲイジー、ヘンリー・セフード、ドミニク・クルーズの4名が出席した。

まずUFC世界バンタム級王座を賭けて戦うヘンリー・セフードとドミニク・クルーズが記者の質問に答える形でカンファレンス・コールは進んだが、セフードの挑発をまるで意に介さず、静かな口調でドミニクが追い込むという流れになった。以下、ドミニクの質疑応答から両者のやりとりを振り返りたい(※要約)。


「肩のリハビリが数カ月かかったけど、しっかりとトレーニングは積んできた。チームメイトのジェレミー・スティーブンスとカルヴィン・ケイターの試合があったから、ジョゼ・アルドの代役になることが決まる2週間前から凄くハードな練習をジェレミーとしていたんだ。こんな状態になっても、1人でいてもしっかりと調整はできるからね。6週間のキャンプをやったようなものだから、5Rを戦うだけの状態は十分に創ってきた。

無観客試合? 静かだってことは珍しい状況だけど、日本で試合をすると多くの観客がいても彼らは黙って試合を見ている。そういう感じで戦えるはずだ。それに今、ジムには人もやって来ないし、最小限の人数でやっている。ジムには最大で6人ぐらいしかいない。だからジムで戦うような感じだし、既にTUFでそういう状況は見てきた。それでもTUFではチームメイトが叫んでいたから状況はまるで同じじゃないけど、まぁ似たようなものだと思う」

「この試合は、僕にとって歴史を創る試合だ。このような状況で五輪金メダリストと戦う価値って何だろうか。今、この国では多くの人がコロナウィルスで亡くなっている。五輪金メダリストと戦う価値を問われても、モハメッド・アリは5年間刑務所に行く覚悟で、平和を願って金メダルを捨てた。僕にとって、この試合はまた違うチャンピオンと戦うというもの。今ベルトを持っている人間より、自分の方が優れていると証明したい。人、それぞれの価値観は違うからね。

3年振りの試合でも、準備を正しく行えば何の問題もない。トレーニングをすることは僕にとって人生の一部だし、ずっとエンジョイしてきた。この状況で初めて開催されるメジャーなスポーツイベントで戦う選手は勝つためにここに来ている。僕も自分がやってきたことを出す。楽しみでならないよ」

このように記者の質問に答えていたドミニクに対し、セフードが割込み「2Rで倒す」と挑発すると「OK、ヘンリー。クールなストーリーだ。すぐに自分が厳しい状況に置かれることが分かるから。言っておくよ、すぐに違いが分かる。本当にすぐに」と返答する。

ここからはセフードがエキサイトしていくも、ドミニクは何を言われても嫌味を返すという展開に。キレ気味のセフードが「お前、コディー・ガーブラントと戦った時にどうなった?」と啖呵を切るや、「そうだ。コディーはお前みたいにイージーじゃないんだよ」とピシャリ。

「お前は異次元のアニマルを知らないんだ」と食い下がるセフードに対し、「ベナビデスとの試合はどうだった? デメトリウスと戦った時は何が起こった?」と返す。「それは4年前だろう?  今は違う」というトリプルCだが、ドミニクは「僕とコディーの試合も3年前だ。もう過ぎたことを話し始めたのは、そっちじゃないか」と完全に理論武装ができている。

「王女様、トライしなよぉ」と趣向を変えて挑発するセフードだったが、「また繰り返しか。同じようなことを言っているだけだ」とクールに反応し、「その通りだ。お前はケガばっかりして、自分で自分を壊しているけどな」と言われても──「肩の手術をしてどうだった? 自分が脆くなったと思うのか? 本当にバカだな、自分に聞いてみると良いよ」と、ドミニクは一度足りともエキサイトすることなく、冷静にセフードを封じ込めた。

結局、ここで進行役が両者を制したが、この前哨戦は明らかにドミニクがイニシアチブを握っており、セフードを翻弄し続けた──といっても過言でない舌戦だった。

■UFC249対戦カード

<UFC暫定世界王座決定戦/5分5R>
トニー・ファーガソン(米国)
ジャスティン・ゲイジー(米国)

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ヘンリー・セフード(米国)
[挑戦者]ドミニク・クルーズ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
フランシス・ガヌー(カメルーン)
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)

<フェザー級/5分3R>
ジェレミー・スティーブンス(米国)
カルヴィン・ケイター(米国)

<ヘビー級/5分3R>
グレッグ・ハーディー(米国)
ヨーガン・デ・カストロ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ドナルド・セラーニ(米国)
アンソニー・ペティス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク(ロシア)
ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
サム・アルヴィー(米国)
ライアン・スポーン(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
カーラ・エスパルザ(米国)
ミッシェレ・ウォーターソン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ホナウド・ジャカレ(ブラジル)
ユライア・ホール(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)
ニコ・プライス(米国)

<フェザー級/5分3R>
ブライス・ミッチェル(米国)
チャールズ・ロサ(米国)

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