【ONE】3月度・大沢ケンジ勝手にランキング─03─発表、勝手にベストバウト&フィニッシュ、そしてMVP
【写真】 「ガーといって、バーンと殴って、ドン」とガフロフに勝ったラピクス(C) MMAPLANET
2020年3月1日付ONE Championship非公認・大沢ケンジ監修非公式ランキング。
大沢ケンジがONEの1カ月を振り返って作成する非公式ランキング。そしてONE観戦のおともに、勝手にファイト・オブ・ザ・マンス、勝手にパフォーマンス・オブ・ザ・マンス、勝手に月間MVPを選出。
<大沢ケンジ2020年3月度ONE勝手にランキングPart.02はコチラから>。
──では3月の大沢ケンジONEチャンピオンシップ非公認アワード、まずベストフィニッシュは?
「ベストフィニッシュはウチの江藤です。アミール・カーンに対して、何もさせずに自分の形に持っていってのRNC。
江藤は青木君と同じで、道ができていてハマった時の強さは抜けています。グラップラーの強さってそこだと思うんです。ハメた時の強さはとんでもない。ハマったら負けない。ここを持って、こうなったら絶対に負けないというのがあります。青木君もそうじゃないですか? 道が見えていると、ハイ今通りますっていう感じの」
──その道の数、抜け道など選択肢の多少というのはグラップラーでも違いは出てくるとは思いますが……。
「色々なところに対応するグラップラーもいると思います。それができるグラップラーは極まらないという感覚もあって。極め系とコントロール系がいる。江藤とかは青木君と同じで。ハマった時の強さは、格上のアミールを相手に戦っても大丈夫。試合前からハマれば勝てると思っていて……結果、ハメました」
──ではベストバウトは?
「これは松嶋君とキム・ジェウンの試合ですね。僕のなかで松嶋君は相手の弱いところが見えると、そこに集中する。そうでないと、向きあえない。相手の良いところでは勝負しない、そういう脆さがあると思っていました。
それが今回の試合では向きあった。このベストバウトという試合内容は、松嶋君の心の成長がったからこそできたものです。絶対に良いモノをもっているので、しっかりと向き合って逃げない──距離は取っていても相手に『コイツ、俺の打撃を怖がっている』と思わせない距離の取り方でした」
──最初にテイクダウンを見せて、そこから打撃もテイクダウンも駆使して戦いました。
「総合力で勝負した本当に良い試合でした」
──キム・ジェウンのロープ掴みも気にならないほど、割り切って集中できていたようでした。
「そこに関して言うと、ONEやRIZINに出ている選手には『ロープは使うモノだ』と僕も伝えています。それは北岡君も受け入れているし、しっかりと指導できているんじゃないでしょうか。僕も江藤とかにも『ロープってそういうものだから。掴まれても気持ちがブレたらダメ。ロープはそうやって使われるものだから』と言っています。
そういう状況で松嶋君も戦い、効かせると一気にいく良い面……良い面ばかりが出た試合でしたね。心の部分が上がるっていうのは、技術が上がることよりも難しいです。だから技術が上がっても強いヤツと戦えない選手はいます。僕は松嶋君もそういう選手かもしれないと感じていたので、今回は心が成長するという滅多にできないことをやり遂げたと思います。
いや、上から目線で失礼な話をしていますけどね」
──いえいえ、そこをお願いしているわけなので(笑)。
「キム・ジェウンも折れないし、頑張った。松嶋君がばてているように見えたし、そこで流れが変わりつつあった。でも、松嶋君が打撃でそれを許さなかった。素晴らしい試合でした」
──では最後にMVPをお願いします。
「超新星ラピクスですね」
──平田樹選手ではなく?
「平田さんに関しては、凄く良いキャラクターで見る者を魅了したと思います。ただし体重オーバーというか、決められた尿比重をクリアできず、キャッチウェイトになった。この一点において、そういう対象にはできないです。そこは計量をクリアした選手から選ばせてもらいます」
──押忍、そしてラピクスに。
「台風のようでしたね。マラット・ガフロフがライト級ではどうなのかという部分で試合を見ていると、あっという間に勝ってしまって。あのローにしても勢いが違いました。ただ、ガフロフがダメ過ぎたのか……そこは気になるところですが」
──モルドバというヨーロッパ最貧の国の選手、ハングリーさも違っているのか。
「ガーといって、バーンと殴って、ドンとやる(笑)。凄い、期待できますよね。様子見のローでなく、思い切り蹴っていたし。センセーショナルな試合でした」
──5月にクリスチャン・リーの持つライト級王座への挑戦が早くも決まっています。
「試合が長引くとどうなるのかっていう部分はラピクスにはあるので……クリスチャンと戦うと、ギャンブル的な勝負を仕掛けるしかないという感じはします。競ったらクリスチャン。ただ、ここで勝つようなことがあれば、ヤバイ存在になるでしょうね。
だから真価が問われる戦いになりますが……まぁ、そこまで期待して良いのか。面白い選手であることは間違いないです」