【Pancrase314】アントリンと暫定ストロー級KOP決定戦、砂辺光久「40代でもベルトを持っていたい」
【写真】パンクラス王とシーサー。まるで四十路を感じさせない砂辺だが、彼自身はそこに拘りを持っていた (C)MMAPLANET
3月8日(日)のPancrse313で組まれていたストロー級KOPT=北方大地✖アダム・アントリン戦が、チャンピオン北方が練習中に拳を骨折したことで中止に。そして昨日、4月12日(日)=Pancrase314で、アントリンと前KOP砂辺光久の相手で暫定王座決定戦が組まれることが発表された。
昨年7月にストロー級王座から転落した砂辺が、このタイミングで暫定王座に絡む。少し意外な気がしたので、沖縄にいるパンクラス王にインタビューを試みた。
──昨日、4月12日にアダム・アントリンとストロー級暫定KOP王座決定戦の発表があった砂辺選手です。ここで砂辺選手が暫定王座決定戦に出てくるのかという驚きが、実は少しありました。
「そうなんですか?」
──今の砂辺選手は7月の沖縄大会もあり、タイトル戦線などとは違うフェーズを突き進んでいるのかという気がしていたので。
「まず、一つはパンクラスでタイトル戦が2試合も飛んで、チャンピオンは不在だとか、えらいことになってしまっているので。暫定王座戦を組んで、必死に盛り上げてようとしても負傷欠場が続いている。そういう時に本物の王様が出ていくというストーリ―を創りたかったんです」
──自己賛美が素晴らしいですね(笑)。
「アハハハハ。でも、ホント何とかしないとっていう気持ちはあります。タイトルの価値も下げちゃいけないですしね。最初は3月大会でという話もあったのですが、減量のこともありますし、色々と間に合わないと判断しました。すると4月でも大丈夫だと言ってもらえて松根(良太)さん、勝村(周一朗)さんと話をして受けさせてもらうことにしました。ただ、このタイミングで試合を受けたのは、暫定でもベルトが掛かっていたからだというのはあります」
──そうだったのですか。今もベルトに拘りを持っているのですね。
「僕、最初は29歳でベルトを獲ったんです。そしてあと1カ月で40歳になる時にベルトを失った。20代、30代、40代でベルトを持っていたヤツなんていないだろうし、人がやっていないことに魅力を感じているので。それを意識したまま去年の7月に防衛戦を戦って、北方にベルトを獲られてしまったんです。あれから『達成できなかった』という心残りのようなモノを持ち続けてきました」
──パンクラス・ストロー級で一番だということで、ベルトが巻きたいというわけではないと?
「違います。40歳になってもベルトを持っていたい。だいたい越智(晴雄)に負けた時点で、僕はナンバーワンではないですから。パンクラス・ストロー級ナンバーワンって言っても、越智に負けているので『DEEPより下のね』──って言われるだけで。
だから、もうストロー級で一番とかではなくて、もうとっととパンクラス王になりたいんですよ。違う場所に居たい。その一つとして、殿堂入りというものがあるのかもしれないですけど、負けた人間に与えられた称号が殿堂入りなのかという……しっくりこない部分もありますし。
殿堂入りの人間って何をするのか。それって殿堂入りした人間しか決められない。逆にいえば俺は決めることができる。それは引退かもしれないし、興行を打つ側に回ってフェードアウトすることかもしれない。でも、俺は現役にこだわりたいから、ベルトを40歳になっても巻くことを目指そうと」
──殿堂入りは、どこかお疲れさまでした感がありますしね。
「そうそう、そうなんですよ。あの殿堂入りが2人目で、前の人が引退していたら俺は断っていました。でも、俺が最初だったので、何をするのかは俺が決めることができる。『アイツ、殿堂入りしているのにピンピンしているわ』って言われようって思ったんです」
──7月に沖縄で自主興行を行いますが、それまでに試合を挟む気でいたのでしょうか。
「もともとはなかったです。イベンターとしてもプレイヤーとしても、そこに集中しよう──成功させようという気持ちでいました。それが年末にRIZINを見ちゃうと、あそこに戻るには4月に試合を挟んで、例えばアダム・アントリンが北方に勝ったら7月に沖縄に呼んで挑戦してベルトを取り戻す。そこから12月はRIZINに出ようとか──そういう感じに年末には思いました」
──アントリンが勝つのは決定事項だったのですか。
「いえ、そうではなくて。アダムが勝った場合だと、この青写真は有りなんですよ。俺は北方には負けたばっかりだから、実績を残さず北方に挑戦はできないんです」
──そこの筋は通すということなのですね。ではアントリンの印象を教えてください。ニンジャチョークがトレードマークになりつつあります。
「やっていますねぇ。でも、掛からないですよ。僕には勝村さんというニンジャチョークの達人と、松根さんがついていてくれるので。ニンジャチョークを貰わないよう、伸び伸びと戦おうと思っています
ただアントリン自体は本当に素晴らしい選手です。フライ級でTUFに出てUFCに手を掛けた男ですから。自分が挑戦するに当たり、最高の相手だと思っています」
──挑戦するという感覚なのですか。
「いつもそうです。ベルトを持っている時も、常に挑戦する気持ちでいました。40歳を目の前に挑戦するとか、自分は横綱のように受ける立場ではないです。挑戦する王様でいたいので」
──王座を失ってから初めての試合ということにもなります。
「もう皆が落ちたと思っているんですよ、俺のこと。越智に負けて、北方にも負けた。それを『まだコイツ、行けるんじゃない?』と思わせるのが、アントリンとの試合だと思っています」
──では改めて、最後に改めて決意のほどをお願いします。
「毎度、毎度ですが──パンクラス王になる。そういうことです」