【Special】柔術と共に──X-TREME EBINA柳澤哲裕─03─「楽しく練習してもらって笑顔で道場を出る」
【写真】明るい色使いのX-TREME EBINAの外観。重々しい雰囲気は一切ない (C)MMAPLANET
MARTIAL WORLD Presents 日本の道場のマット事情を尋ねて巡る──旅、第三弾=X-TREME EBINA柳澤哲裕代表インタビュー最終回。
サラリーマンとして柔術道場を開いた柳澤は、ついには道場経営と指導を生業とする人生を選んだ。そして複数の道場を持つようになり、マーシャルワールドのロールマットを導入した。
それがマーシャルワールドのロールマット導入第一号となり、プロトタイプとしてトライ&エラーを繰り返した。生産&販売側と購入側が協力し、品質&ケアの向上に努めた──そんな日々を柳沢に振り返ってもらい、けれからの-TREME EBINAについて語ってもらった。
<柳澤哲裕インタビューPart.02はコチラから>
──私がまるで理解していないのですが……海外からロールマットを購入した場合は、マットを敷く作業やたわみのような問題が起こったら、どうするのですか。
「僕も海外から購入したわけではないですが、マーシャルワールドの担当者の方に話を聞いたら、国内の代理店さんが敷き込みまでするということでした。ただ結局はお金が掛かってしまうので、道場の人間で敷くことも少なくないようでした。
やっぱり海外のモノを買って、何か問題があるとコミュニケーションが取れない人間にとっては大変ですし、国内でトライ&エラーになっても、互いに色々と学べたのは良かったです」
──それはある意味、第一号の特権といえますね。
「アフター・サービスに関しても、本当に安心していました」
──ところで、この大和支部ができて3年ということですが臭いがないですね。
「多分、ウチはブラジリアン柔術だけだからだと思います。グローブとかシンガードとか打撃用の道具がある道場と違い、練習が終わって道着を放置されなければ臭いは気になることはないはずです。道着は持ち返りますし、奥に洗濯機があるのでプレミア会員の方は、洗ってかわかしロッカーに道着を掛けておくというシステムになっています」
──おぉ、やりますねぇ(笑)。やはり柔術はセレブリティのスポーツでもあるわけですね。
「お昼のクラスは社長さんだとか、お医者さんとか来てくれていますね」
──サラリーマン時代は、利益はそれほど追及することはなかったと思うのですが、道場経営一本となると日本の生活習慣でお昼をどう遊ばせないかなど、考えることはありましたか。
「昼はそうですねぇ……僕も考えました。大和ではオープンした時から火曜日と金曜日に昼クラスがあり、海老名はやっていないです。実は海老名でも以前は毎日やっていたのですが、分散してしまって参加者が1人か2人のことも少なくなかったです。大和では週に2度としたら、集中して人が集まってくれるようになりました。生徒さんも『火曜と金曜日だけなら、時間を作って通えます』って言ってくれて。今は昼クラスでも7、8人とか集まっていますよ。
それに道場を複数持っていると、負担の軽減というか両方で利益を出せばよいので、一方はお昼を寝かせていても良くなりました。柔術道場って、そんなに儲かるものではないですが、上手くやっていけるものでもあります」
──相模大野に3つ目の道場も開きました。
「相模大野はフランチャイズで、経営は自分ではないのですが、やはりロールマットを敷くことにして、施工もマーシャルワールドさんのお世話になりました。勉強していただいて(笑)。
そして、トライ&エラーをしてきたことで大野の方からは一切、ロールマットに問題が出たという話はありません。それがあれば、ちょっとマーシャルワールドさんに文句を言わせてもらいます(爆)。大和はプロトタイプで、一緒に洗い出してきたつもりなので(笑)」
──プロトタイプがガンダムで、量産型がジムでは困るということですね。まぁ、ロールマットの量産があるかということですが(笑)。
「それに大野の施工のときには、起こりうることに関してはしっかりと説明を受けました」
──起こりうることというのは?
「力を入れて説明してもらったのは環境の管理でしたね。やはり気温と湿気ということで。気温と日差しだけは、読み切れないことがあると言われていましたね。実際、この大和のジムも僕ですら西日で、これだけ暑くなるのかとか、その時にならないと分からなかったです。契約したシーズンしか、結局分からないんですよね」
──なるほど、そうなりますよね。
「気温と湿度の管理の仕方で、やはり耐久性には違いが出てくるようです。地下の道場とか、そうでなくても水道管が走っていたり、風通し、柱の位置、そういうことで全然違ってくるようです。気温と日差しに関しては、今も研究中だと担当者は言われていました。
思いもしなかった環境の変化って、ようは道場でもマーシャルワールドさんでも、ビルの管理会社の責任でもないですからね。そうなった時は、しっかりと話し合って対処をしましょうという姿勢でいてくれましたね。
それと気にされていたのは、打撃があるかどうか。キックとかボクシングがあると、やはり柔術だけよりも摩耗するようです」
──ただし、MMAでも寝技もありますし、やはりロールマットを敷くところもできたようですね。何より、事前にそのような説明があると分かって使用するということですからね。柳澤さんも、次にもう一つ出す時は問題なしですね。
「そうですね、それこそ窓のある方角、日差しの強さを考えることができますしね。何よりもマット自体も良くなっていると思って注文させてもらえます!!(笑)」
──アハハハ。今回は貴重な話を色々とありがとうございました。最後に柳澤さんの柔術道場代表としての目標を教えていただけますか。
「目標というものは、決めていないです。この道場で会員さんが増えているのは、さきほども言ったように『雰囲気良いよ』とか『楽しいよ』という口コミなんです。そういう人達が集まってくれているので、本当に運が良かったと思っています。なので、僕がやり続けたいことは毎クラス『今、来てくれている人達に楽しんでもらう。そして、良い汗をかいて家路についてもらう』ということです。
柔術といっても多くの会員さんにとって趣味なんです。リフレッシュしに来てくれている人たちが、格闘技だからって厳しくしすぎて嫌な想いをして帰られると意味がないと僕は思っています。笑顔で帰ってもらえるようなクラスを続けます。
もちろん、選手としてやっている人、試合に勝ちたい人には厳しい練習も乗り越えて行ってもらいます。そうでない普通の会員さんは、楽しく練習してもって笑顔で道場を出る。そういう道場を続けたいです」