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【DEEP JEWELS23】浅倉カンナと対戦、アトム級王者・前澤智「いよいよ。カンナちゃんはオイシイ相手」

Tomo Maesawa【写真】髪の色も会長仕様に合わせたそうだ。強い師弟の絆 (C) TOMO MAESAWA

3月9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP JEWELS23で前澤智が浅倉カンナと対戦する。

12月に黒部三奈を下し、JEWELSアトム級チャンピオンとなった前澤にとって、ここで戦う相手は浅倉しか考えられなかったという。崇拝する金原正徳の指導の下、ケージでのファイトに前澤は浅倉を「オイシイ」相手と言い切った。


──浅倉カンナ選手との試合が迫ってきました。この試合のオファーがあった時は、どのような気持ちになりましたか。

「3月に後楽園ホールで大会があるということを聞いた時、金原代表と相談をして『浅倉選手以外だとメリットはないのでないか』という話になったんです」

──おぉ。それは前澤選手も同じ考えだったのですか。

「ハイ、代表が言われることはもう正解しかないですから。だから代表もそういう姿勢で動いてくれたと思います。なので私の頭のなかにはカンナ選手の存在がずっとありました。ただカンナ選手の大晦日の試合結果にもよってきますし。正月が終わったくらいですかね、カンナ選手というオファーを正式に貰って、『いよいよか』っていう気持ちになりました」

──燃える対戦相手だったわけですね。

「はい、オイシイなって」

──オイシイ?

「格闘技歴やJewelsで戦ってきた数は私の方が多いですが、知名度でいえばカンナちゃんの方があるので……そこまで下手に出るわけじゃないですが、勝ったらオイシイ相手ですよね」

──もう浅倉選手しかいないという状況は、やはり12月に黒部三奈選手に勝ちチャンピオンになったからこその心境だったのでしょうか。

「私が誰と戦いたいということより、私の格闘家人生をより考えてくれる代表に一任しています。私自身は3月大会がタイトル戦になるのであれば、まだ勝っていない選手がいるのでその選手との防衛戦になるのかなって思ったりしていました。

だからベルトはすぐに渡したくないなって考えたり、黒部選手とのリマッチもあるかなとは思っていました。いずれにせよ、私は自分がどうしたいということはなく、寄ってきた波にどう乗っていくか……金原代表にどう操縦してもらおうかなって感じでした」

──勝てていない相手とは、ずばりSARAMI選手ですね。

「アハハハハ、ハイ。そうです」

──SARAMI選手には2度負けているので、やはり勝ちたい?

「3度ですっ!! 負けたままでいるのは……。SRAMI選手からすれば4度目なんて必要がない試合かもしれないですが、チャンピオンベルトは私のところにあるので、それなら挑戦しようってなるかもしれないですし。私としてもSARAMI選手は、かさぶたの跡が気になるような感じにはなっています。

それに私もSARAMI選手も勝ち負けは違いますが、黒部選手とは判定で拮抗していて。次にやれば結果は違うということはお互いに考えられると思います」

──そのSARAMI選手に一昨年の12月に敗れた時に、1年後にJEWELSの頂点になっている自分を想像できていましたか。

「アハハハハ、こんなに早くタイトル挑戦ができるなんて思っていないですし、あの時は絶望感しかなかったです。これだけ練習しているのに、勝てないのかって格闘技が辛く思っていた時期です。それでも格闘技を離れても良くないってことは分かっていたので、練習だけは続けていました。

ちょうとその頃に仕事を変えたんです。アルファが2店目を出し、それまでは市役所の嘱託職員として働いていたのですが、代表から『もう少し、格闘技と向き合ってみないか』と言ってもらえて。それからジムで働かせてもらえることになったんです」

──より練習に集中できる環境を手に入れたと。

「でも最初の頃は時間がある、自由だからこそ何をして良いのか分からない状況になっていました。その時も代表から『1年でも良いから本気なって、ベルトを目指してみたら。その後のことはもう好きにすれば良いから、やり切ったと思って死にたいだろう?』と言っていただいたんです」

──金原選手だからこそ、重みのある言葉ですね。今はイクメンで大変そうですが(笑)。

「本当に大変そうです(苦笑)」

──MMAPLANETでは国内のリングの大会を追えていないのですが、戦績を振り返ると、SARAMI戦の敗北からまず再起し、その後にパク・ジョンウンに勝った。そこがタイトル戦に向けて、大きなキーポイントになったかと思われます。

「パク・ジョンウンには前澤は勝てねぇだろうという声は、私の耳にも届いていました。試合動画とか見ても、打撃も凄いですし『これはぁ』って思っていたのも事実です。それにパク選手と試合をした選手からも『強いよ』と……。

でも、あの試合はやりたいことが凄くできて。リングの上で自由だったんです。解き放たれた感じがしていました。楽しいという表現ではないのですが、代表が私の足枷を外してくれたんだなって感謝しています」

<この項、続く

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