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【2017~2018】浜崎朱加─01─「格闘技は好きだし、練習がしたくなって(笑)」

2017-2018 07【写真】2017~2018、ファイター達の足跡と一里塚。7人目は浜崎朱加に話を訊いた(C) TERUTO ISHIHARA & MMAPLANET

2017年を終え、2018年が始まった。情報化社会の波のなかで格闘技の試合も一過性の出来事のように次々と生産&消化されている。

日本女子MMA界のトップどころか披露してくれたエマニュエル・シリーズ。最後の1人は、ほとんどガンを垂れている状態になってしまいました……

日本女子MMA界のトップどころか披露してくれたエマニュエル・シリーズ。最後の1人は、ほとんどガンを垂れている状態になってしまいました……

しかし、ファイターにとってその一つの一つの試合、ラウンド、一瞬は一過性のモノでは決してない。大袈裟でなく、人生が懸っている。

試合に向けて取り組んできた日々は何よりも尊いはず。そんなMMAファイター、そしてブラジリアン柔術家が2017年をどのように過ごし、今年を如何に戦っていくのか。

MMAPLANETでは9人の選手達に2017年と2018年について語ってもらった。その7番手は前Invicta世界アトム級チャンピオン浜崎朱加に話を訊いた。

UFCを目指し、アトム級世界王座を2度防衛。世界最高峰にその階級がないために昨年の3月には1階級を上げて、ストロー級でリヴィア・ヘナタ・ソウザと対戦するもTKO負けを喫した。

あれから9カ月、今何を想い、これからのキャリアのどのように考えているのか──2017~2018、浜崎朱加の足跡と一里塚。


──浜崎選手の今と今後が、どうにも気になります。その前に2017年は改めてどのような1年でしたか。

「負けの1年ですね。1試合しかしていないですけど。初めて負けた時、色々と考えることができて集中できたこともあります。今回も同じで、勝った時よりも負けた時の方が成長できるんじゃないかなって、綺麗ごとでなくて本気で思っています。

色々と考えさせられたというか……凄く悔しかったけど、これからのことも考えることができました」

──アトム級で勝ち続けてもUFCとの契約はならなかった。そしてストロー級で勝負を賭けてヘナタ・ソウザと戦った。しかし、試合直前にギックリ腰になり、敗北に終わった。この経験を経て、UFCという選択肢は?

「ハッキリいうと、なくなったというか……アトム級の私が無理をしてストロー級で戦い、ああいう結果に終わった後にUFC JAPANでジェシカとクラウジアの試合を見て……UFCからオファーを貰って出場したとしても、出るだけで終わると感じました。

ジェシカに尋ねたら、試合当日に62キロあるって言っていて。私は頑張って増やしても、53キロか54キロなんです。その時点で、もう同じ階級ではないですし。彼女たちとスタート時点は違うと感じました」

──レベルも上がっているなかで、それは危険な行為になってしまいますしね。

「格闘技人生はもうそれほど長くない。その状況でUFCは夢だったけど、出るだけで終わるのってどうなんだろうと思いました。ぶっちゃけ、この体格でも勝てそうな相手は何人かいます。でも、タイトル戦線に食い込めるかといったら、食い込めないですよね……多分。

3月の試合で勝っていたら違っていたのかなって……考えることはあります」

──……。

「なんで、あのタイミングでギックリ腰になったのなかって……。それが浜崎ですよ、持っているなって(苦笑)。1週間前とかだったら、ある程度は痛みが引いていただろうに、なんで2日前の夜だったんだろうって」

──いやいやいや。試合前にその話を聞いて、ぎっくり腰になったことがある人間なら、どうすれば戦うことができるのかと驚きでしかなかったですよ。だいたい、一人で歩けないだろうって……。

「今からすると、よく出たなって自分でも思います(笑)。あの時の無理が関係しているのか、今も腰が痛くなりますし」

──……。こんなこと言ってもしょうがないのですが、新設された女子フライ級のTUFを見ていて、この選手たちがUFCで戦うことができるのに、浜崎朱加が戦えないなんて……と思うしかなかったです。階級がない、その理由だけで。

「やっぱり悔しいです。でも、もうそこは割り切れましたかね。体の大きな人はどれだけ競馬の旗手になりたくても、なれない。CAになるにも身長が足らない人はいる。

リヴィア(ヘナタ・ソウザ)に負けた時は、まだUFCを目指していたし、インヴィクタのストロー級で戦っていくって考えていました。ただ、それからUFCに出ている人のなかに絶対に勝てるなって選手が契約できているのを見て……もう良いかなって思うようになりました。

体重が足らない以上に、私はUFCに求められていないんだって。こういうとダメなんですけど、終わりが見えている……終わりのことを考えてしまっているので」

──そうなってしまいますよね。それでもAACCに別件の取材できても、浜崎選手は練習し続けているなと確認させてもらっていました。

「少し前まで凄く疲れちゃっていて。ただ、練習しているだけで、なかなか次が決まらない状態が続いて。で、思い切って練習を休んでいた時期もあるんです。でも、そうなると格闘技は好きだし、練習がしたくなって(笑)。やっぱり試合がしたいですね。

それにUFCだけがMMAじゃないですし、実際にUFCでなくても強くなり、応援してくれる人と一体になれて勝負できる場があるわけですし。そういう意味でも、UFCでなくてもと考えることができて、凄く視野が広がり、自分だけで戦っているんじゃないって思えるようになれたんです」

<この項、続く>

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