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【Pancrase289】高木健太にリベンジを果たした佐藤天―01――「ウェルター級に風穴を開けたい」

Takashi Sato【写真】試合を終えた佐藤天の表情は晴れやかだった(C)KAORI SUGAWARA

20日(日)、東京都江東区のディファ有明で開催されたPancrase289で佐藤天は2015年8月にKOされた高木健太と再戦し、TKO勝ちを収めた。

高木にリベンジを果たした佐藤に大会後日、改めて試合に賭けていた想いと、これからの目標について訊いた。


──試合から2日経ちました。改めて今の気持ちを教えてください。

「今はホっとしていますね。たくさん応援してくださっている方がいるので、昨日は応援してくれた皆さんに1日中、ご挨拶に周っていました」

──高木選手へのリベンジを果たしたことになります。

「良かったですね。唯一負けていたので『負けられない』という気持ちもありましたし、ちゃんとフィニッシュ出来て良かったです」

──今回のリベンジ戦に向けて対策をしていたのでしょうか。

「前回、自分が当てた後にカウンターの右フックをもらってぶっ飛ばされてしまい、逆転みたいな感じで負けているので、当てても行き過ぎないというのには注意していました。

高木選手は一発があるんで、ああいう風にひっくり返される展開は予想できます。自分のペースで戦いつつも、本当は5分3R使っても良いくらいの練習はしていました」

──長期戦も想定していたのですね。

「ギリギリまでしっかりと良い練習が出来ていたし、スタミナにも結構自信があったので、長くなればなるほど自分の方が有利になるなとは思っていました。そんな練習では焦らないようにしていました」

──高木選手の勢いが失速したような瞬間がありました。

01「最初はもうちょっと様子を見たかったんですけど高木選手が嫌がっているのが分かったので、行き過ぎないようにと言いつつも、ちょっと気持ちが前に出ていたなと思います。それが良い方向に転んだというか、良くプレッシャーをかけられたので良かったです」

──佐藤選手がバックに付いた時、高木選手はケージ際まで歩いて行く場面がありました。

「結構冷静だったっスね。自分は力を使わないポジションだったので、そこでちょっとずつ体力を削って行っても良いなという感じでした」

──テイクダウンを仕掛けていた時も、高木選手は耐えていました。

02「粘られましたね(苦笑)。組んだ感じはプレッシャーがなかったのでそこは予想通りでした。組めば自分の方に分があるなとは思っていたので、そこも練習していた事が出せたと思います」

──作戦通りでしたか。

「(TRIBE TOKYO M.M.A代表)長南(亮)さんとかフィジカルトレーニングでお世話になっているニック(永末貴之)さんからもこの前はぶっ飛ばされているんで『あまり打撃に拘りすぎるな。総合格闘技をやれ』と言われていました。気持ちとしては立ちでリベンジしたかったというのもあるんですけど、『総合力で勝とう』という作戦通りでしたね」

──高木戦が決まった時の気持ちは?

「2カ月前に高木戦が決まり、練習にも気合が入りましたし、ずっと燃えていました。高木選手には完璧にぶっ飛ばされているじゃないですか。唯一、しかもKOで負けているんで、同じ相手に2回は負けられない。

ランキングは高木選手が4位、自分が5位で1回負けています。高木選手にはあまりメリットがない試合です。パンクラス側はそういう選手を自分に当ててくれたということは『勝たなければいけない試合だな』という認識があったので、良いプレッシャーになりました」

──そのような状況下での試合で、気持ちのコントロールは如何でしたか。

「あとで映像を見たら当てに行ってしまっていましたけど、周りの声も聞こえていたので、冷静には戦えました。当てに行きたい気持ちをセコンドの長南さん、ニックさんやチームメイトの声が聞こえて、ちょっと引っ張られて我慢出来た。ギリギリですね(笑)」

──対策練習ようなモノはありましたか。

「試合がなくても一貫してペースは週6回で練習をしているので大きな変化はないんですけど、試合前になったら対策を練ったりとか、息を上げたりとか追い込みトレーニングをします。今、(格闘技道場)パンクラスイズム横浜に出稽古に行かせて頂いているんですけど、そこでMMAスパーに入れて頂いて試合に近い練習を増やすという感じですね」

──パンクラスイズムにはウェルター級やミドル級の選手も練習していますね。

「ハイ。うちのジムにも大きめの選手が出稽古に来てくださるので、それと並行してパンクラスイズムさんには(ロッキー)川村さんとか大きい方がいらっしゃるので、稽古をつけてもらっています」

──出稽古に行くようになったきっかけはあるのですか。

「一箇所、出稽古にいきたいと思っていたんです。トライブも凄く環境が整っていて練習では緊張感があるし、青木さんだったりとか凄く強い選手が出稽古に来てくれるんですけど、自分にとってはホームじゃないですか。ホームのジムでずっとやっていると慣れて来てしまう部分もあります。

出稽古は緊張感があって試合に感覚が近くなるので、疲れ方も違いますし、トライブで練習するのとは違った緊張感を持ってやれます。それに大きい方がいるのでありがたいなと思います」

──パンクラスイズムは北岡悟選手の献身的な声掛けも印象深いです。

「出稽古の人間にも凄く細かく見て下さるので、パンクラスイズムはめちゃくちゃ良い環境ですね。今回一緒に出場した北田さんとかも一緒に練習をしていたんですけど、トライブと同じくらい良い環境でやらせて頂いています」

<この項、続く>

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