この星の格闘技を追いかける

【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月編─その参─ムンジアル ─03─「本来は並び立たないといけない」

Aaoki talks BJJ【写真】要は青木は現状に危機感を抱いてるということだ(C)MMAPLANET & KAORI SUGAWARA

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ6月の一戦=その参はMMAではなく、ムンジアル=ブラジリアン柔術世界選手権だった。青木が柔術について語る=最終回。

反論、距離を置いて無視する。賛同、やはり柔術界からのリアクションが多い今回の青木論。最後にその牙は向けられるのは──。

<青木真也の日本黒帯ブラジリアン柔術家論Part.01はコチラから>
<青木真也の日本黒帯ブラジリアン柔術家論Part.02はコチラから>


■『柔術の根幹をなす技術が創造されたのは何でも有りがあったから』

──えぇ? マラソンで五輪を目指している人に100メートルを走れなんていう必要じゃないじゃないですか。

「いや、だって柔術は世界で最も効果的な格闘技ってことを証明するためにバーリトゥードを始めたんでしょ。ここに源流があるんだから、柔術家はこれをやるべきでしょう。それはマラソンと100メートルとは違いますよ」

──横暴から横柄な意見になりましたね。

「横柄でしょ(笑)。でもね、柔術の根幹をなす技術が創造されたのは何でも有りがあったからじゃないですか。僕は柔道ですら、そう思ってしまう」

──あぁ、青木ワールドの渦に巻き込まれてしまいそうです(苦笑)。

「だって、高島さんだって岩﨑達也さんと武術空手ってやって、極真はMMAから目を背けるのかっていう風に動いているじゃないですか。それなのに柔術家はMMAを戦わなくて良いなんて矛盾していますよ。

極真だってルールは極真ルールで勝つものになっている。彼らはそこで世界一を目指しているはずでしょ」

──う~む。

「そうでしょ?」

──ムンジアルで勝つこと、それが全局面で強いこととイコールだと柔術家は言っていないことはあるかと思います。史上最強とは言っていない。

「だからMMAを戦いたがらないんでしょうね。さっきもいったけどGOZOとか中山(タクミ)さんとかどっちもやっていた。それって潔いですよ。なんか気持ち良い。まぁ、でも横柄ですよ。自分でも横柄だって分かっています(笑)」

──そういうことが、青木選手を支えているのでしょうね。

「そう、自分のやっていること、自分の生き方を維持するために言っていて。それがおかしいことも理解しています。これ、柔術の人も分かってくれると思うけど僕、一応は柔術の試合で勝っているから」

──それはズルい、それを持ち出すと何も言えなくなる。

「だってそれなりに一応、形になっているし。柔術をやっても。僕は『柔術をやったことはないだろう』とは言われない。何の気なしにできるから」

──柔術家は誰も青木選手の生き方を批判することはないけど、青木選手は挑発が必要になってくる?

「だから別のスポーツだから、上下はない。同じ位置にあるという意見は凄く分かっています。それは正しいとも思う。でも、俺はMMAが一番だと思っている。

どうしても僕は殴られたらって思っちゃうの。そのなかで組み技、寝技をやっている。殴られないから取れるポジションにいて戦うのが、今の柔術。ルールに打撃はないからそうするっていうのは、そりゃあそうなんです。

でも僕はMMAファイターだから、全ての格闘技をMMA軸で考える。そしてMMAでもKO決着よりも、一本決着が楽しくてドキドキする。柔術で勝つデミアン・マイアって最高だし。

北岡さんとも話していたんですけど、岩崎とか嶋田が柔術の試合を語っているじゃないですか。それを読んで、『何を語っているんだろう、お前』って」

■『ただMMAの試合に出ている連中には言われたくない』

──柔術の試合を語っているんじゃないですか。MMAでなくて。自分の土俵について話してくれているんですよ。

「分かりますよ、そこは。でも、俺は何を偉そうに語ってんだってなっちゃうの(笑)」

──何も偉そうに語っていないし(笑)。

「いや、アレを読むと何を語ってんだ。そんな語る口を持っているのかって思っちゃうんです。ホント、北岡さんと岩崎のインタビューを読んで、『むかつくよなぁ』って(笑)」

──そこに噛みつきますか、今となっても。

「怒りが原動力っていうの、まだ全然あるんです。逆にこんなにあるのかってぐらい。まだ怖さを感じているんです。だからこそ、『ふざけるな、俺たちのやっていることの方が凄いんだよ』っていう気持ちになる。

どれだけ反論されても僕は僕を維持するために、これを言い続ける。でも、他の意見の方が正しいのは分かっています。決して『お前ら、俺のようになれ』とは言っていない。俺はこう思うって話で。

でもね、俺や北岡さんのように懸命にMMAをやっていない、ただMMAの試合に出ている連中が『MMAがキング・オブ・スポーツ』、『柔術よりMMAが上。MMAをやれよ』なんて口にしたら、間違いなく切れる。そいつらには言われたくない」

──思春期の青年のように複雑ですね(笑)。

「『お前らMMAすらやっていないだろう』って。お前ら、苦労してないし、苦しんでもない。お前らに何が分かるんだっていうモノは抱えている。

何が言いたいかっていうと、それはMMA側の問題でもあるんです。今の日本のMMAとノーギと柔術、本来は並び立たないといけないモノが完全に分断されている状況は、全てにおいて良くないんです。

もっと枠を広げると、日本はムエタイとレスリングもMMAと溝がある。この状況が続く限り、日本は強くなれない。ただムエタイとレスリングはMMAをやることで、個々のスポーツで強くなるのか、それは何とも言えないけど、柔術とノーギは違う。

MMAファイターも柔術、ノーギが必要で柔術家もノーギとMMAが必要だと俺は思っている。だからもっとリンクしないと、今の状況は良くないです。

岩崎が宮田(和幸)さんとレスリングの練習を柔術で勝つために取り入れて、ノーギに興味を持っているのは凄く良いこと。ならヒール有りの試合に出ろって。

嶋田がリコ・チャッパレリの所に行ってカレッジ・レスリングを学ぶ、エディ・ブラボーのところにいってノーギを学ぶ。それは本当に良いこと。

アイツらが強いのは俺も分かっている。バイトせず、指導、柔術でやっている、気合が入っていることも知っています。でも、MMAをやっていないから大きくは認めない(笑)」

──チャンチャンということで(笑)。いや、青木選手の真意は誤解、反論の渦の下に存在することが理解できました。ありがとうございました。

PR
PR

関連記事

Arzalet

Road FC43

Movie