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【EJJC2017】ライトフェザー級は新鋭イアゴ、ベテラン=モラエスを倒し、ムスメシが頂点に

Musumeci【写真】三強揃うルースター、強豪揃いのなかで頭一つ抜けたパウロ・ミヤオがいるライトフェザー級。ヨーロピアンを制したムスメシはどちらで世界を狙うのだろうか(C)IBJJF

17日(現地時間・火)から22日(同・日)にかけて、ポルトガル、リスボンにあるパヴィラォン・ムルチウソス・ジ・オジヴェラスにてIBJJF(国際柔術連盟)主催のヨーロピアンオープン柔術選手権が開催された。ヨーロッパを中心に、各国から強豪が参戦した今大会。レビュー2回目は、ジョアオ・ミヤオやマイキー・ムスメシ等、世界的強豪がこぞって出場した最激戦区、ライトフェザー級の模様をお届けしたい。

<ライトフェザー級準決勝/10分1R>
ガブリエル・モラエス(ブラジル)
Def. by 5-4
ジョアオ・ミヤオ(ブラジル)

昨年優勝のミヤオは、一回戦を順調に一本勝ちで突破。準決勝にて、04年と13年と2度に渡り世界王者に輝いた大ベテラン、ガブリエル・モラエスと対戦した。

序盤のダブルガードの攻防から上を選択し、ミヤオに内回りで上を取られて2点を献上したモラエスは、その後ダブルガードの攻防から体を起こして同点にすると、その後は両足かつぎ等を用いてミヤオに低く体重をかけてゆく戦法に。対するミヤオも距離を作ってのベリンボロでモラエスを返しかけるが、モラエスはすぐに立ち上がってポイントは回避する。

やがてミヤオのクローズドガードの中に入ったモラエスは、低く胸を合わせてミヤオの道着の裾を引き出すと、それをミヤオの背中越し回して両手で掴んで体重を掛け、ミヤオの体の動きを止める。危険を感じたのか、ミヤオはクロスチョークを仕掛けるなど抵抗するが、モラエスはしっかりとアゴを引いて防御。

やがて、背中越しに裾を掴んでいる左手のグリップをキープしているモラエスは、体重をかけたまま左ヒザを立てる。体を丸め、自分の左ヒザと左ヒジがくっつくような体勢で大きな「塊」を作ったモラエスは、それを用いてミヤオの右足を押しつぶすように前進、左ヒザでミヤオの足を超えると、すぐに左足を外に伸ばし次には右ヒザもミヤオの右足を完全に超えてサイドを取ることに成功する。 レフェリーが3本の指を高々と上げて、パスガードの完遂を宣言。なんと大ベテランのモラエスが、難攻不落のミヤオのガードを突破してみせたのだった。

5-2でリードされたミヤオは、すぐにハーフガードに戻し、やがてクローズドの体勢に。するとモラエスは先ほどと同じようにミヤオの裾を背中腰に掴み、漬物石のごとく体を丸めて体重をかけ、その動きを封じる。ミヤオはクロスチョークを狙うが、モラエスは動かず、時間が過ぎてゆく。やがて膠着によってミヤオに2点が与えられるが、それでもモラエスは動こうとしない

残り時間が30秒を切り、ミヤオが必死で動いて隙間を作ろうと試みているところで、モラエスは前回と同じパスを仕掛け、ミヤオの右足を再び突破! 今度はすぐにモラエスの右足を掴み、すかさずハーフに戻してみせたミヤオだが、ここでタイムアップに。

ミヤオ得意のモダン柔術戦で渡り合ったモラエスが、後半は自分の体型の特徴を活かしたパス攻撃で、あのミヤオのガードを攻略するという離れ業に成功。ジョアオ・ミヤオが試合でパスガードをされたのは、黒帯を巻いてからは初めてのことだという(最後にパスガードされた時は茶帯無差別級の試合で、相手はヘビー級だったようだ)。

モダン柔術というものが存在していなかった14年前に世界を初制覇したベテランが、新世代のもたらした技術進化にしっかり対応した上で、その上を行く──全ての柔術競技者に勇気を与えるような、モラエスの快挙だった。

<ライトフェザー級決勝/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
Def. by 2‐0
ガブリエル・モラエス(ブラジル)

準決勝で快挙を成し遂げたモラエスを決勝で待っていたのは、ミヤオよりさらに新世代の旗手のムスメシ。ミヤオ・キラーとしても名を馳せるこの若者は、準決勝ではミヤオの同門のイアゴ・シウバに競り勝っての決勝進出だ。ちなみにそのシウバは、初戦でこれまた新世代を代表する強豪、アイザック・ドーダーラインとの激闘を制していた。

開始後しばらく、両者下を譲らないモダン柔術戦が続いたこの試合。やがて上を選択したモラエスは、ミヤオのガードを突破したのと同じ要領で低く体重を預け、ムスメシの裾を引き出して背中越しに取り、膝で右足を押しつぶしながら突破するパスガードに。しかしここでムスメシは、自らの右足を手で抱えて上のほうに引き寄せることでモラエスに超えさせず。ミヤオのガードを陥落させたパスを、見事に防いでみせたのだった。

やがて距離を作ることに成功したムスメシは、モラエスの右足を引き出して揺さぶるなど下からの攻撃を開始。右足こそ戻すことに成功したモラエスだが、ムスメシは後転しながらモラエスを前方に崩すと、そのまま50/50をロックオン。そして上を取って2点先制。終盤にて見事にポイントを稼いでみせた。下になったモラエスも懸命にムスメシを崩しにかかるが、時すでに遅し。2-0でムスメシがヨーロピアン初戴冠を果たしたのだった。

ミヤオ兄弟をことごとくアウトスマートし、若くしてモダン柔術におけるポイントゲームの達人ぶりを見せつけているムスメシ。大ベテランのモラエスが相手でも、まんまと勝負を自分の専門分野に持ち込み、翻弄しての優勝だった。

さらに見逃せないのは、ジョアオのガードを攻略したモラエスの膝割りパスを見事に防ぎ、自分の得意な形を作ったその技量。ポイント争い云々を抜きにして、柔術家として超一級品の自力を持つ天才がルースター級かライトフェザー級、どちらの階級に出てくるのか。ムスメシの存在は台風の目を越えた本命になりつつあることは間違いない。


■リザルト

【ライトフェザー級】
優勝 マイキー・ムスメシ(米国)
準優勝 ガブリエル・モラエス(ブラジル)
3位 イアゴ・ジョージ(ブラジル)
3位 ジョアオ・ミヤオ(ブラジル)

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