【UFC】リリース宣告直前、水垣偉弥は何を語っていたか<01>「辞めるなら辞めた方が良いのかなって」
【写真】水垣はWECのTシャツを着て、取材に現れた。こんなことは初めてだった……(C)MMAPLANET
「今、マネージャーから『UFCからは再契約できないという連絡があった』というメールが来ました!! インタビュー前だったら話せたのですが、どうしましょうか??」。25日(水)、午後3時58分に水垣偉弥から携帯にメッセージが入った。実はこの直前にMMAPLANETでは水垣のインタビューを行っており、その時点で「契約が更新されることは2対8の割合でないとは思っています」と言いう彼の現在の心境や今後、さらに体の症状について話を聞いていた。
ページトップにあるポートレイトが撮影されたのが、午後3時41分。それから僅か17分後に水垣偉弥とUFCの契約が切れたことが分かった。
この日、水垣はWEC Tシャツを着て取材の場に現れていた。本人もひょっとしてUFCファイターとして最後のインタビューになるかもしれないという想いがあったのかもしれない。
2009年4月にWECに初出場して以来、世界最高峰で戦った試合数は日本人最多の19戦を数える。常に世界のトップと戦い続け、10勝9敗という戦績を残した日本のエースのUFCでのキャリアはここで取り敢えず幕引きとなった。
UFCファイターとして、現時点での最後の水垣の声を本人の了承の下、余すことなくお伝えしたい。
──今日の円相場の方は?
「113円60銭前後ですね。トランプ大統領が経済面に関して明確な方針を口にしていないですから、円相場も株価も安定しないです。少し、イライラしますね(笑)。これから半年ぐらいはこんな感じだと思います。
そこから化けの皮が剥がれてくるのか。それとも化けるのか。今は持ち株も少しずつ手放している状況です。トランプが選挙で勝った時に持ち直しているので、損をしないうちに売ってしまうのが現時点での判断です」
──なるほど(笑)。では、その半年後なのですが水垣選手は、まだMMAファイターでいるのでしょうか。
「いや、それはちょっと分からないです。それは分からない。もう引退しているかもしれないですね」
──つまりUFCから次の試合に関して話は来ていないということですね。
「前回の試合で契約が切れているので、更新されるのかどうかという状況です。まぁ、2×8ぐらいでダメでしょうね」
──ダメだった時はどうするのかなど、考えていますか。
「その時点で他からオファーがあり、自分にモチベーションが残っているなら受けたいという気持ちもあります。なので一応、最低限の練習は続けています」
──契約がまた結べたとしても、昨年12月の試合前に突発的に起こった症状……投薬を認められて数値を落としエディ・ワインランド戦に臨むことはできました。その後、体の調子は如何なのでしょうか。
「先週ですかね、検査をして結果も出ました。投薬なしで数値は問題ないレベルまで回復しているので、そこが問題になることは現時点ではないです」
──数値は上がったものの原因は分からないままなのですか。
「その症状は難病指定されている病気で、原因不明で突発的に起こるものなんです。だから原因は分からない。僕自身、今は数値が平常値に戻っていても、またいつ下がるかは分からないんです」
──契約更新の問題、体の問題がクリアしたとします。ただし、12月のエディ・ワインランド戦の敗北を受けて現役続行に関しては、本当にシリアスに考える必要があるかと思います。
「あの時、病院に行く救急車のなかで映像を見せてもらって、すぐに高島さんに連絡を取ったんですよね。『俺、打たれ弱くなっていませんか』って」
──ハイ。まだイベントが続いている時でした。
「そう……そして、ちょうど奥さんに僕が打たれ弱くなっていると話したばかりだって返事をもらったんです」
──ハイ。そうでした。すぐに倒れて、すぐに気づくというパターンはやはり怖いです。
「映像を見て、あのパンチで倒れるのかって思ったので、連絡させてもらったんです。だからMMAを続けるとしても、夏ぐらいまでは試合はしないでおこうと思っています。
戦っている時は、パンチは変なところから飛んで来て、あまり見えていなかったです。気付いた時には、また立って構えている状態で……。『やばい、これ貰っているな』って思いました。で、そこからまた記憶がプツンと切れていて、次に気付いた時はレフェリーの足を取ってテイクダウンを狙っていたんですよね」
──そんなに自分の記憶のなかに空白区間があるのって、怖くならないですか。
「いやぁ、どうなんですかね。僕は大丈夫ですけど。でも、辞めるなら辞めた方が良いのかなっていう気持ちもあります」
──ファイターとして運動能力の低下を感じることは?
「打たれ弱くなった以外は、全然衰えは感じられないです。ガーブラントとの試合ではハードな一発を貰ったので、打たれ弱くなったという気はしていなかったです」
──あれを被弾すれば、誰でも倒れるだろうと。
「ハイ。でもエディ・ワインランドと戦って、初めて打たれ弱くなったと思いました」
<この項、続く>