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【RIZIN50】YA-MAN戦の正当性を主張。鈴木千裕戦前のダウトベック「バンタム級に落とす選択も」

【写真】一度、声を挙げて大笑いするところを見てみたい……(C)MMAPLANET

30日(日)に香川県高松市のあなぶきアリーナ香川で開催されるRIZIN50で、鈴木千裕と対戦するカルシャガ・ダウトベック。
Text by Manabu Takashima

2024年は日本で4勝を挙げたダウトベックが、いよいよキャリア最大のビッグファイトに挑む。強烈な打撃の強さを見せつけていたダウトベックだけに、大晦日のYA-MAN戦のテイクダウン&コントロールの勝利で、勝ちながら評価を下げた一面もあった。

ただし、本人はテイクダウンを駆使することは当然という──MMAとして当たり前の思考を持っていた。勝ち上がることも大切だが、生き残ることの大切が身に沁みついているダウトベックのファイター心理。

そして、タイトル挑戦に向けてまさかのバンタム級転向という言葉も聞かれた。MMAファイターとしての軸と核が、日本人とは違う。そんなダウトベックからは野生と理性と合致しているような、静かに自信のほどが感じられた。


――インタビューを受けていただき、ありがとうございます。今はタイに滞在中なのでしょうか(※インタビューは15日に行われた)。

「カザフスタン、ホームタウンのシムケントにいるよ。トゥラン・オルダ・ジムがあって、練習仲間もここにいるしね」

──タイガームエタイで最終調整をしているということではないのですね。

「日本に行く1カ月前はビザを取るために、他の場所で練習することはできない。パスポートが戻ってきた時には、もう時間がなくてタイガームエタイに行ってもしょうがないという感じなんだ。

シムケントではさっきもいったトゥラン・オルダ・ジムを中心に、ボクシングでは出稽古もしている。僕のボクシングコーチはカザフスタンでも最高の指導者の1人だ。五輪出場経験があり、国内のチャンピオンに何度もなっている。トゥラン・オルダ・ジムのムラット・ヤスタノフはRIZINでの試合では、毎回コーナーに就いてくれているよ」

──ビザだからしょうがないのですが、タイなら時差も2時間で飛行機の移動時間もカザフスタンからやってくるより短くて済むのに歯がゆいところですね。

「もう日本には5度も行っているけど、カザフスタンからだと1日は見ておかないといけない。シムケントからアルマトイへ行き、そこから中国か韓国経由で日本に向かう。前回の試合ではシムケントからウズベキスタンのタシケントに車で2時間移動して、韓国経由で日本に行ったよ。韓国でのトランジットもあるし、だいたい20時間から24時間かかる」

──なんとも……。中央アジアからの来日は大変ですね。しかも3月30日の試合は高松。日本についてからも、また一つ行程が増えるわけで。いや、本当に尊敬してしまいます。

「その言葉に報われるよ、ありとう。でも、タイから日本に行くにしてもカザフスタンとタイ、タイと日本という時差の調整が必要だから直接行ける方が良いかもしれないしね」

──では鈴木千裕選手との試合に向けて、今の気持ちを教えてください。

「もう一番大切なキャンプも終わっているし、今は日本に行くために練習の強度を下げて日本に行く調整に入っているんだ」

──ところで大晦日のYA-MAN戦ですが、あの勝利にどれだけ満足できましたか。

「あの素晴らしい大晦日のショーに参加できて、凄く光栄だった。他の大会とは規模が違った。そんな舞台で、YA-MANという素晴らしい相手と戦うことができて良かった。あの試合で勝てたことで、RIZINのベルトが近づいたと認識している」

──打撃戦からテイクダウン&トップコントロールに戦い方を変えました。

(C)RIZIN FF

「僕らが戦ったのはMMAの試合だ。

MMAにはレスリングが含まれている。その時に有効な技を使って勝つのは、当たり前のことだと思う。あの試合は……コンディション的に問題があった。だから勝利を手にするのに、最適な手段をこうじる必要があったんだ」

──MMAとして当然のことなのに、打撃戦で劣勢だったという見方が残ったのも事実です。

(C)RIZIN FF

「打撃で僕が劣勢だった?

 そんな風に思われているんだな……。スタンドの展開でも、ヒット数は僕の方が多かっただろう。RIZINがYA-MANとボクシングをマッチで組んだとしても、それでも勝つのは僕だ。全く問題ない」

──前回の試合でテイクダウン&寝技を見せたことで、鈴木選手陣営も以前よりも組みの展開を警戒してくるかと思います。

「彼もバックグランドはキックボクシングだ。チャンピオンだということも知っている。まぁ、どっちの打撃が上か30日にははっきりするだろう。ただ、自分の打撃の疑ったことはない。

チヒロ・スズキはファイトIQが高い。テイクダウン防御も巧妙だ。ただし、その組み技や寝技よりずっと打撃の方が優れている。彼がクレベル・コイケに敗れたことで、寝技は大したモノではないという声も聞く。でも、クレベルはRIZINでトップのグラップラーだ。

どれだけ準備をしても、ファイトっていうのは何が起こるか分からない。あの試合でチヒロが負けたからといって、彼の評価が変わるのはおかしな話だ。チヒロはベルトに簡単に手が届かないRIIZNという大会で、チャンピオンだったファイターだ。間違いなく日本のトップファイターの1人だろう。でも精神的にも肉体的にも、戦術的にも今回の試合に勝ってトップになる準備はできている。だからこそ、ベストバージョンのチヒロと戦えることを期待している」

──この試合で勝てばタイトル。そのように考えるのは当然ですが、ファンの支持も大きな追い風になると思います。つまりファンが喜ぶ試合内容が求められる。

「過去に退屈な試合をした覚えはない。いつだってファンがエキサイトできる試合をしてきた。この試合に勝てば、タイトルに挑戦できる。それだけの試合を見せる」

──カルシャガの目標であるベルトは、5月4日に王者クレベル・コイケがラジャブアリ・シェイドゥラエフの挑戦を受けることが決まっています。もし可能なら、勝利者予想をしてもらないでしょうか。

「ラジャブアリはキルギスの選手で、カザフスタン人の僕にとって兄弟のような存在だ。ラジャブアリが勝って、チャンピオンになることを信じている」

──そうなると兄弟の持つベルトが、カルシャガの目標になるわけですね。

「今はチヒロ・スズキとの試合にフォーカスしているので、次は誰と戦うのかということをあまり口にしたくはない。自分にはチヒロとの試合があって、ラジャブアリも試合がある。ただ僕はバンタム級に落としてタイトルを狙うという選択もできる」

──なんとバンタム級転向もあると!! とはいえカルシャガが言われたように今は鈴木選手との試合が控えています。この試合を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

「皆のサポートがあって日本で戦うことができるようになった。次の試合はファイト・オブ・ジ・イヤー候補になるような試合をする。いつも応援してくれてありがとう」


■視聴方法(予定)
3月30日(日)
午前11時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■対戦カード
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] 元谷友貴(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木千裕(日本)
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)

<ライト級/5分3R>
ルイス・グスタボ(ブラジル)
野村駿太(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
泉武志(日本)

<59キロ契約/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<59キロ契約/5分3R>
前田吉朗(日本)
横内三旺(日本)

<フェザー級/5分3R>
横山武司(日本)
木村柊也(日本)

<ストロー級/5分3R>
越智晴雄(日本)
中務修良(日本)

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
エドポロキング(日本)

<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
赤田プレイボイ功輝(日本)

<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
トビー・ミセッチ(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
万智(日本)
パク・ソヨン(韓国)

<キックボクシング67.5キロ契約/3分3R>
稲井良弥(日本)
加古稟虎(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
龍生(日本)
香川刻(日本)

<フライ級/5分2R>
高岡宏気(日本)
飴山聖也(日本)

<キックボクシング63.5キロ契約/3分3R>
吉岡龍輝(日本)
切詰大貴(日本)

<キックボクシング63.0キロ契約/3分3R>
大谷翔司(日本)
足利也真登(日本)

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