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【AJJC2016】ウルトラヘビー級優勝=関根秀樹とミドル級優勝=ホベルト・サトシの絆

sekine-satoshi【写真】師弟揃ってムンジアルへの切符を手にしたホベルト・サトシとシュレック関根 (C)ITO TSUBASA

10&11日、東京都足立区の東京武道館で国際ブラジリアン柔術連盟=IBJJF主催のアジア柔術選手権2016(Asian Jiu-Jitsu Championship 2016)が開催された。日本で開催されるブラジリアン柔術で最大級のトーナメントであるアジア選手権。ウルトラヘビー級を制した関根“シュレック”秀樹が、盟友ホベルト・サトシ・ソウザとムンジアル出場を決めた。二人の活躍の背景には、日々の鍛錬と互いを信頼し合う深い絆があった。
Text by Takao Matsui


静岡県磐田市にあるブルテリアボンサイの道場で、関根とサトシは窓を閉め切っての過酷なスパーリングを繰り返してきた。今年の夏も、例年通りに暑さの厳しい日は多かったが、暗黙の了解で窓を開けない。もちろんエアコンは、オフのままだ。道場の室温は上昇し、想像するだけでも息苦しくなりそうだが、それでも関根は「10分間を2本。4本やる時もありました」と平然と振り返った。

世界の舞台で活躍するサトシは、関根にとって手本のような存在といっていい。そのサトシのスパーリングパートナーを務めるのは、誇りでもあるようだ。そして、大きな自信にもなっている。関根は、サトシへの信頼を次のように語る。

「実はアジア選手権の前日に、仕事の関係(警察)で柔道の大会に出場したんです。団体戦だったので優勝はできなかったんですが、柔術の大会が翌日にあるからといって断ることはできませんからね。でも、サトシ先生と厳しい練習をしてきたので(スタミナやダメージには)、とくに問題はありませんでした」

sekine柔道の大会では5試合をこなし、アジア選手権当日を迎えた。それでも自信が揺るがなかったのは、猛特訓によって技術だけではなく精神力も鍛えられたからだ。

アジア選手権で関根は、準決勝のマーティン・ゴベル戦をアームロックで一本勝ち。決勝戦では、ハワイのジョセフ・モク・カウアイと対戦することとなった。パンで準優勝の経験があるカウアイに対して、「レスリングベースなので組手でしっかりと道着を持てば大丈夫だと思っていましたが、規格外で訳の分からないパワーがありました」と関根は驚愕した。ポイント8-0の圧勝に終わったが、サトシとの練習がなければどうなっていたのかは分からない。

satoshiそれはミドル級で優勝したサトシも同じで、ポイントを着実に重ねた上でホドリゴ・マルティンスから腕十字で快勝して頂点に立ったが、内心は不安でいっぱいだったと言う。優勝候補の一人であるマイケル・リエラJrの欠場があったものの、今年のムンジアル初戦敗退のショックは大きかった。「外見がこんなだから周りは分からないかもしれないけど、内面は緊張している(笑)。でも、関根さんと練習しているので問題なかったよ」とサトシの表情が緩んだ。

ともに優勝したことにより、関根とサトシは揃ってムンジアルへの出場権を獲得した。最強のコンビとも言えるだろう。最後に関根は、来年の抱負を語った。

「サトシ先生のようなプロの柔術家と自分らアマチュアでは、一つひとつの技の重みが違います。結果が生活に左右してくるわけですから、そのために反復練習を何度も何度もやっているんです。自分も柔術は遊びになりますけど、真剣にやっています。遊びを遊びで終わらせないつもりです。酒も付き合い以外は、飲まないようにしています。来年のムンジアルの出場権を得たので、メダルを獲りたいという気持ちだけではなく、何色のメダルになるのかと思えるまでサトシ先生と高めて行きたいですね」

■リザルト

【ミドル級】
優勝  ホベルト・サトシ・ソウザ(ATOS)
準優勝 ホドリゴ・マルティンス(GFチーム)
3位  アレッシャンドリ・オガワ(小川柔術)

【ウルトラヘビー級】
優勝  関根“シュレック”秀樹(ATOS)
準優勝 ジョセフ・モク・カウアイ(ATOS)
3位  マーティン・ゴベル(GCP)、パク・ヒュンカブ(フランクル)

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