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【Special】諦める選択肢はない。芝本幸司<01>「抜けそうで、抜けない。いけそうで、いけない」

Shibamoto vs Terra【写真】リバースハーフ、右足が抜ければ3点。試合終盤なら決定的だし、中盤で奇数ポイントを取るとこれ以上ないほど有利になる。それが芝本の狙いだった (C)MMAPLANET

2日(木・現地時間)から5日(日・現地時間)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドに開催されたブラジリアン柔術世界選手権。

世界に最も近い日本人柔術家、芝本幸司は準々決勝でカイオ・テハの前にポイント4-4、アドバンテージ0-6で敗れた。

世界最強の一角として、世界最強に挑み、その試合がクォーターファイナルで行われたため表彰台に上がることがまた、ならなかった。

大願成就ならなかった芝本は最終日当日、決勝戦すら済んでいない会場で取材に応じてくれた。「言葉が出てこない」状況で、彼は言葉を振り絞って声にしてくれた。あれから3週間以上が経過した。芝本の頭も気持ちもずっとクリアになり、前向きになっているだろう。

だからこそ、敗北直後の彼の言葉を今、伝えておきたい。

──まさに今年のムンジアルが終わったばかりの芝本選手です。今の気持ちを聞かせてください。

「ホントに試合直後ということもあって、正直なところ何も言葉は出てこないです……」

──そのような状況で申し訳ないです。準々決勝でカイオ・テハと当たる。そのトーナメント表を見た時はどのような気持ちでしたか。決勝で当たる、準決勝で当たるのとはまた違うかと思われるのですが。

「今回、ルースター級のトーナメントは凄く良いメンバーが揃っていました。組み合わせに関しては、クォーターファイナルで誰と当たっても同じだけの集中力、闘志を持って戦わないと──カイオ・テハでなくてもジョアオ・ミヤオであれ、ブルーノ・マルファシーニであれ、パン選手で負けたルーカス・ペネイロもいますし、イヴァニエル・オリヴェイラもそうですけど、誰と当たっても気は抜けないトーナメントでした。

なので準々決勝でカイオ・テハと当たったことに関しては、どうのこうということはないのですが……あるとすれば、ヨーロパッパ選手権で試合をしたばかりで、あの時に勝ち切れなかった相手に対し、う~ん、なんていうんですかね。かなり間近の大会で戦い勝ち切れなかった相手に、今回は勝ってステップアップという流れに持っていきたかったという意識はあったかもしれないです」

──最初にアドバンがトントンとカイオに入った展開は?

「アドバンテージは、これまで通り気にしていなかったです。ポイントを如何に取り合うか。そのなかで、どのタイミングでパスかバックを取るかという展開、そのチャンスを狙っていました。

最初の引き込み合いで20秒が経過しても、レフェリーに何の動きもなかったので、僕の引き込みが遅れたという判断はできていました。なので、ただ起き上がるのではなくてパスガードのセットアップ、バックを取るための準備をして次の展開に進みたかったので、ダブルガード的にゴロゴロとしているなかでカイオ・テハに一手、二手先をいかれました。

そこでアドバンを積み重ねられたのですが、結果的には2点、2点、2点という攻防になりましたし、最終的にポイントで上回る展開を考えていました。それが今回はパスガード、もしくはバックだったんです」

──つまりスイープ合戦から、一歩抜きんでてトップでリードすることを考えていたのですね。

「ハイ。そう考えていました。それが一番最後のハーフガードのパスを狙った局面ですね。リバースハーフで抑えて足が抜けるか、抜けないかというところだったのです。アレはイメージしていた展開だったのですが、もっと早くあの展開を作らないといけなかったです。

それが……う~ん、ヨーロッパの時とは違い、今日の試合ではカイオ・テハにかなり動きを固められてしまいました。私が明確にトップを取った時に、動きを固められましたね」

──カイオの仕掛けがなかったということでしょうか。

「仕掛けがないというより、リバース・デラヒーバとアンダーフックで足を固定されてしまって」

──文字通り、固められたということですね。でも、ホントに見ていて、もう少しで右足が抜けるようにも見えたのですが……。

「抜けそうで、抜けない。いけそうで、いけない。バックも取れそうで、取れない。そういう感覚が今回の試合では何度かしました。猛烈なプレッシャーだとか、凄くコントロールされているということはなかったのですが、そのあと僅かな部分が詰められない。そこを試合中に感じていました」

──世界を取ることに全てを掛けていて、このあとカイオ・テハが優勝するのか分からないのですが(※インタビューは各階級の決勝前に行われた)、今年の戦いで世界が近づいたという感触を得ることはできましたか。同じカイオ・テハに敗れるとしても、準決勝だと表彰台に立てる。それは視覚的に世界に近づいたように私達の目にも映るのですが……。

「さすがに……これで5年連続でベスト8なんです。毎年、毎年、トップとの差を縮めている自信はあります。試合のなかでもソレを感じることはできます。今日、カイオ・テハと3度目だったのですが、自分のなかでは初めて戦った時とは全然違います。

距離を詰めることができているという感覚はあるんです。でも、結果に繋がっていない。勝ちきれない……。その点に関して結局、組み合わせがどうであれ5年間、ベスト8という位置から動けていないわけですから。

表彰台に上がるまでの最後の詰めが……もちろん、組み合わせということがあったとしても、何か別の要因があるのではないかと考えさせられます……」

<この項、続く>

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