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【ONE41】勢いは本物、実力は未知数の19歳=アンジェラ・リー戦でV.V meiは如何に戦うのか

Mei Yamaguchi【写真】技術やフィジカルで圧される可能性があっても、気持ち的に臆することはない──に違いないV.V Mei (C)MMAPLANET

6日(金・現地時間)にシンガポール・カランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE41「Ascent to Power」。世界ミドル級選手権試合が中止となり、日本からV.V Meiが出場するONE世界女子アトム級王座決定戦がメインで組まれている。

DEEP JEWELSアトム級王座を返上し、ONEチャンピオンシップ4年8カ月の歴史で初の女子王座決定戦に出場することとなったV.V Mei。キャリア25戦目(15勝8敗1分)の彼女と対戦するアンジェラ・リーは今やシンガポールで一番人気の高いMMAファイターといっても過言でない。

1996年7月8日生まれの19歳──シンガポール系の父と韓国系の母の間で、バンクーバーで生まれハワイで育ったリーは、その父がテコンドーベースのトータル・ディフェンス・システムの指導者であり、3歳のときよりマーシャルアーツを始めた。

プロキャリアは5勝0敗、何より昨年5月のデビューで実質は1年未満のプロ生活しかおくっていない。過去5試合は全てが一本勝ち。うち3試合が1R、2試合が2Rで仕留めており、そのフィニッシュも腕十字、RNC、ツイスターと多種多様だ。とにかくアンストッパブルの異名通り、動きを止めることをしらないかのようなアグレッシブさが最大の持ち味といえるだろう。

ただし、過去5戦の相手はリーと対戦する以前の戦績が1勝2敗、2勝2敗、1勝2敗、デビュー戦、3勝5敗。V.V Meiと比較にならない。いってみればシンデレラストーリー・ラインに乗って売り出されたといっても過言でないリーだが、逆に実力が掴みにくいとこころがる。

確かに対戦相手は役不足で、勝つべきして勝った試合だろう。ただし、あの躍動感あるアンストッパブルの仕掛けが、どのレベルにある相手に通じるのかは未知数だ。過小評価をすれば、これまでの相手だから可能だった。逆にいえば、世界トップのレベルにあるファイターにも通じるかもしれない。なんせ、これまで通じない試合が見られなかったのだから、誰にも分からないことだ。

V.V Meiの空手、ブラジリアン柔術、シュートボクシングで培った経験、研磨してきた技能の前にストップされる可能性も、凌駕していく可能性も持つ。ゆえに未知数のリーというわけだ。リーチも長く、テイクダウンも強い。ただし、打撃のみの攻防ではパンチを被弾するシーンもある。対戦相手が寝技に不安を持つケースが続いたことで、グラウンドに持ち込めば何とかなる──過去2戦はそんな風に映るシーンもあった。

ではV.V Meiを相手に、リーが寝技に絶対の自信を持ち、そのためにテイクダウンを通じる──アグレッシブな打撃戦を仕掛けるのか。打ち合いになれば、V.V Meiの勝機は広がる。他方、浜崎朱加、ジナ・イニオンとテイクダウン、あるいはスクランブルで遅れを採ったV.V Meiだけに、組まれるまでのプロセスが大切になってくる。そのまえにスタンドで先手を取り、イニシアチブを握ることが必須だ。そしてテイクダウンの攻防では下になっても、ダースやぺルヴィアン・ネクタイに十分に注意を払い、スクランブルに持ち込むこと。

リーはまだ下がって打つという技術を身に着けているとは思えない。V.V Meiが打撃で試合を支配すれば、リーのテイクダウンも強引かつ、距離が遠くなることが考えられ──十分に対処できるだろう。リーチの長さと勢いに飲み込まれないで、V.V Meiが試合の立ち上がりをクリアできれば、日本人5人目のONE世界王者誕生の可能性はグンと高くなる。

■ ONE41対戦カード

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)王座決定戦/5分5R>
アンジェラ・リー(シンガポール)
V.V Mei(日本)

<ONE世界ライトヘビー級(※102.1キロ)王座決定戦/5分5R>
ホジャー・グレイシー(ブラジル)
ミカル・パスタルナック(ポーランド)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
ジョン・ジャン(台湾)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
水野竜也(日本)
ムハンマド・アリ(エジプト)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キャリー・バロス(フィリピン)
クリスチャン・リー(シンガポール)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ジャダンバ・ナラントンガラグ(モンゴル)
朴光哲(日本)

<88キロ契約/5分3R>
ブラッド・ロビンソン(米国)
アギラン・タニ(マレーシア)

<ライト級(※77.1キロ)級/5分3R>
サイー・フセイン・アサリエフ(ロシア)
マー・ジャワン(中国)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ベネディクト・アン(シンガポール)
ジミー・ヤボ(フィリピン)

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