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【Pancrase340】12・24を読む 王座決定T準決勝でV.V Meiと対戦、沙弥子「苦行を乗り越える」

【写真】「ベルトは選ばれた人間にしか乗り越えられない苦行の先にある大事なもの」。こんな言葉でベルトへの道のりを語った。(C)TAKUMI NAKAMURA

24日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE340。女子アトム級王座決定トーナメント準決勝で沙弥子がV.V Meiと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2022年9月にパンクラスでMMAに復帰し、その時から「アトム級のベルトが欲しい」と発言していた沙弥子。今回の王座決定トーナメント開催は、自分の発言がきっかけになったという自負と共に「私はパンクラスでチャンピオンになりたい」という強いこだわりがある。

準決勝の相手は進退をかけてトーナメントに挑む第3代DEEP JEWELSフェザー級王者のV.V Mei、逆ブロックからは第2代修斗女子世界スーパーアトム級王者のSARAMI×昨年12月に一本負けしているジェニー・ファンの勝者が勝ち上がってくるという茨の道が待っている。沙弥子は厳しい戦いだからこそ「このベルトには価値がある」と言う。


――7月のPANCRASE 335ではMIYU選手に判定勝利という結果でした。改めてあの試合を振り返っていただけますか。

「周りからも快勝を期待されていた試合で、『勝たないといけない』『試合をしなきゃいけない』という気持ちが強すぎて、気負いすぎていましたね。試合を楽しむということを忘れていた試合でした」

――昨年12月にジェニー・ファン選手に一本負けして以来の試合ということで、固くなってしまった部分もあったのでしょうか。

「MIYU選手は年下かつキャリアも下で、どう転んでもフィニッシュしなきゃいけない試合だったと思うんですよ。そこを考えすぎてしまい、自分でもどうしていいか分からなくて焦ってしまいました」

――再起戦ならではのプレッシャーがあったんですね。

「あとは相手がキック出身ということで、テイクダウンしたら暴れて立ってくると思っていたんです。それで打撃から組んで投げる、立たれても組んで投げる、暴れるところで一本取る、そういう展開をイメージして練習していたんですね。でもいざ試合になるとテイクダウンした後、スクランブルの攻防にならず、しがみつかれる時間が長かったんです。それが自分的には想定外だったので、余計に何やればいいんだろう?と混乱してしまって、何回もセコンドの(伊藤)盛一郎くんを見てしまったり……。自分らしさが出せない試合でしたね」

――どんな局面が訪れるか分からないことがMMAの奥深さだと思いますが、まさにそれを痛感した試合だったようですね。

「はい。かなり勉強になったし、自分の課題やできないことをジムで共有できたことが大きいです」

――そして今大会から沙弥子選手が待ち望んでいた女子アトム級王座決定トーナメントがスタートします。最初にこの話を聞いた時はどう思いましたか。

「やっと来たか!って気持ちと自分のために創られたベルトだという高揚した気持ちがありました。パンクラスのアトム級は選手が少なかったので、私が『ベルトが欲しい』と言わなかったら、参戦選手も増えないし、ベルトが創られることはなかったと思うんです。私は他団体に行くつもりはなくて、パンクラスでチャンピオンになりたかったから(ベルトが欲しいと)言うだけ言おうと。それがこういった形で実現してよかったです」

――記者会見のコメントを聞いていても、沙弥子選手は他の選手とは違う意気込みでトーナメントに向かっている印象です。

「他の選手は『ベルトが欲しくて、パンクラスからチャンスが来た』だと思うんですけど、私は『パンクラスに出て、パンクラスのベルトが欲しい』なんです。だからこのトーナメントへの気合いの入れ方は別格ですね」

――ずばりパンクラスのベルトが欲しい理由はなんでしょう。

「パンクラスは歴史がある団体ですし、ベルトもかっこいいですよね。グランドスラムに移籍して復帰する時にも自分から勝村(周一朗)さんに『パンクラスに出たいです』とお願いしましたし、一度はあのベルトを巻きたい。そのくらい強い想いがあります」

――なぜそこまでパンクラスが好きなのですか。

「団体の雰囲気がかっこいいというか渋いというか、独特のものがあるじゃないですか。あれが好きなんですよね」

――以前MMAPLANETで取材した亀井晨佑選手は「僕はパンクラスの硬派なところに誇りを持っている」と話していました。それに似た感覚でしょうか。

「まさにそうですね。その硬派な雰囲気が自分には合っていると思います」

――対戦相手のV.V Mei選手にはどんな印象を持っていますか。

「トータル的に何でも出来る、バランスのいい選手だと思います。あとはベテラン選手らしく、力の使い方や試合運びも上手いですよね。試合の中で相手に合わせて戦う時間もあれば、自分から積極的に戦う時間もある。伊達にキャリアが豊富で、色んな強豪と戦ってきた選手じゃないな、と。Mei選手と戦いたい選手もたくさんいる中で、自分が試合出来るのもうれしいですし、色んなことを学びたいです」

――トーナメントの準決勝であると同時に、今の沙弥子選手がトップファイターのV.V Mei選手に勝てるかどうかが試される試合です。そういう意味でもこの試合はターニングポイントだと思いますか。

「まさしくそう思います。私とMei選手のキャリアや経験の差は埋められないものなので、そこは気力と体力で対応します。色々と対策を練っていますが、いざ自分と向き合った時にMei選手がどんな戦い方をしてくるかは、その時にならないと分からないので、大まかな流れとイメージは持ちつつ、臨機応変な戦いもしようと思います。自分が想定していないことをやってくることも想定して、自分がやりたいことをやって勝ちます」

――決勝はどちらが上がってくると予想、もしくはどちらと戦いたいですか。

「誰が来ても勝たない限り、ベルトが手に入らないので、どちらが来ても誰が来ても勝ちます」

――キャリア的には準決勝・決勝ともに厳しい戦いが続くことになりますが、それも覚悟の上ですか。

「簡単に手に入ったら面白くないですからね。ベルトは選ばれた人間にしか乗り越えられない苦行の先にある大事なものなので、このくらい厳しくしてもらわないと。自分自身、この苦行を乗り越えないとベルトを巻く価値はないと思います」

――12月も色んなMMAの大会がある月ですが、沙弥子選手はどんな試合を見せたいですか。

「今回ベルトという大きな目標があって、ベルトを巻きたいという一心で、無駄な感情を捨てて練習することが出来ました。7月の試合からこんなに人は成長できるんだって姿を見せたいです」

2023年12月24日(日)
横浜市中区
横浜武道館
Pancrase340

■視聴方法(予定)
2023年12月24日(日)
午後1時15分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ

■ 対戦カード

<ウェルター級KOPC/5分5R>
[王者] 林源平(日本)
[挑戦者] 住村竜市朗(日本)

<フライ級暫定王座決定戦/5分5R>
伊藤盛一郎(日本)
有川直毅(日本)

<バンタム級王座決定戦/5分5R>
河村泰博(日本)
透暉鷹(日本)

<ライト級次期挑戦者決定戦/5分3R>
粕谷優介(日本)
雑賀“ヤン坊”達也(日本)

<女子アトム級王座決定T準決勝/5分3R>
沙弥子(日本)
V.V Mei(日本)

<女子アトム級王座決定T準決勝/5分3R>
ジェニー・ファン(台湾)
SARAMI(日本)

<フェザー級/5分3R>
亀井晨佑(日本)
平田直樹(日本)

<フェザー級/5分3R>
高橋遼伍(日本)
キム・サンウォン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
Ryo(日本)
栁川唯人(日本)

<フライ級/5分3R>
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)
松井斗輝(日本)

<71.5キロ契約/5分3R>
近藤有己(日本)
美木航(日本)

<バンタム級/5分3R>
田嶋椋(日本)
笹晋久(日本)

<ウェルター級/5分3R>
川中孝浩(日本)
佐藤生虎(日本)

<フライ級/5分3R>
眞藤源太(日本)
梅原規祥(日本)

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