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【UFC181】激戦制したのは〝逃げない”ローラー。鬼神の表情で前に出続けスプリットでベルト巻く

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
ロビー・ローラー(米国/1位)
Def.2-1:49-46, 48-47, 47-48
ジョニー・ヘンドリックス(米国)

いきなり左から右を伸ばし、ヒザをボディに入れたローラー。一瞬、たじろいだ表情を見せたヘンドリックスを首相撲に捉えてヒザを突き上げていく。続く首相撲をケージに押し込んだヘンドリックスだが、ローラーはここで左エルボーを入れる。右オーバーフックからヒザをローラーが放つと、ヘンドリックスは頭を下げてシングルレッグへ。崩せないヘンドリックスは、再び胸を合わせてヒザを腹から顔面に受ける。シングルから、頭を股間の下に入れてダブルに移行するが、ローラーはここでもしっかりと守り切る。オーバーフックからヒザ蹴りをボディに続けるローラー、これは後に響く攻撃だ。

ついにヘンドリックスは自ら離れ、距離を取り直すと右ローを入れる。左ストレートから前に出て、ローにつなげる王者。ローラーはローを受け流す。ケージに詰められ、スタミナをロスしたのか手が出なくなったローラーから、ヘンドリックスがすかさずテイクダウンを奪う。上体を固めてエルボーを入れるヘンドリックス、ここでタイムアップに。ラウンドは失ったかもしれないが、5R戦を考えると悪くないヘンドリックスの終盤だった。

2R、動きが戻っているのか気になるローラーは、左ハイキックや右ミドルと切れのある蹴りを見せる。ヘンドリックスは中間距離での打撃戦に応じ右ジャブを伸ばす。ローラーは縦肘を繰り出すも、ローを受け過ぎるきらいがある。ワンツーから前に出て、左ローで攻撃をまとめたヘンドリックスが、再びフックの連打で前に出る。やはり動きが落ちているローラーに対しチャンピオンはケージに押し込んでグライディング・ゲームへ。太腿の裏でクラッチし、左に回ると、ついにローラーに尻餅をつかせたヘンドリックスは、ボディにヒザを蹴り込む。

離れたヘンドリックスは、ローラーの左前蹴りをアゴに被弾する。それでも一気呵成に攻めることができないローラーにヘンドリックスの右フック、左右のローが決まる。続くローラーの左にヘンドリックスがカウンターを入れ、ミドルの蹴り合いからハイでスリップしたローラーにギロチンを仕掛けたところで2Rが終わり、王者がラウンドを確実に取った。

3R、ローラーは前蹴りをボディに蹴り込む。さらに右ミドルと1Rの腹への攻撃を思い出したかのような攻めを見せる。しかし、ヘンドリックスも右フックから重い左ローを蹴り込むと、ショートの連打から左ローを入れ、パンチ+ローのコンビネーションで優位に立つ。左だけでなく右からインサイドローを繰り出すチャンピオン。ローラーは待ちの態勢で、攻撃を受ける展開が多くなる。自分から攻めることができないチャレンジャーに対し、ヘンドリックスは軽めのパンチの連打から右フックへ。

と、アッパーから右ストレートと勢いのあるパンチを受けたローラーは、顔面を守るような防御で動きが止まる。残り90秒でダブルレッグを決めたヘンドリックス。上体を抱えて、柔術立ちでスタンドに戻ったローラーをヘンドリックスはケージに押し込む。シングルからダブルに移行し、ヘンドリックスはローラーに再度、尻餅をつかせる。ケージ際でも粘れなくなってきたローラーは、エルボーをいれるもこのラウンドも失った。

4R、左右のフック、ヒザ蹴りで前に出るヘンドリックス。ローは前足だけでなく後ろ足を蹴るケースも見られる。ローラーは王者のアッパーからのドライブでケージに押し込まれると、腹を突き出して防御も、頭を低く入れられ初回のようにヒザを入れることができない。と、ここでレフェリーがブレイクを命じ、ケージ中央で試合再開となる。自らの庭に戻れたはずのローラーだが、ここでも手を出すのはヘンドリックスの方。アッパーを受けそうになったローラーは、左ハイへ。ヘンドリックスの右アッパーに、左アッパーで対抗するローラーは、左ストレートをヒットさせる。さらに左ハイにつながるが、やや攻撃が軽くなっている。と、残り100秒でヘンドリックスはテイクダウンへ。3Rと同様、上体を抱え立ち上がったローラーが、ここでパンチの連打で前に出て反撃へ。しかし、前進をシングルレッグで遮断され、思うように挽回できない。逃げのドライブという風にも取れるヘンドリックス、最後まで足にしがみついていたが、そのままパンチを受け続け4Rが終了し、ローラーがラウンドを取り返した。

初回と4Rはローラー、2Rと3Rはヘンドリックス。UFC世界ウェルター級選手権試合は最後の5分間に縺れ込む。4Rに動きが落ちたヘンドリックスは、最終ラウンドのためにエネルギーを残していたのか。そして、勢いを取り戻したローラーは?

ローラーのパンチの回転数が上がると、ヘンドリックスも左右のフックで応える。そして、シングルでドライブ、ケージに押し込まれたローラーは頭を押してディフェンス。ブレイクが掛かり、再開後にローラーが前に出る。ヘンドリックスも右を出すが、疲れは隠せない。ローラーはここで右ミドルも、ヘンドリックスもフックから右を見せる。力のない打撃、そしてダブルで押し込むヘンドリックスにブーイングが送られる。片膝をついてシングルに出たヘンドリックスは、ブレイク後にすぐに動けない。

残り2分、ヘンドリックスの左を受けてもローラーが前に出る。と、ここでもシングルに出たヘンドリックスは、明らかにケージに押し込んで時間を稼いでいる。パンチを被弾しなければ、テイクダウンアテンプトでラウンドを取れるという判断か。しかし、両膝をついたヘンドリックスにローラーがパンチを入れる。パンチを入れるためのスプロール、ついにローラーが強みを発揮する。それでも押し込み続け、パンチを打ちにくいポジションに移行したヘンドリックスだが、ローラーはエルボーを入れ残り15秒で起き上がってパンチを見舞っていく。

続いたヘンドリックスに鬼神の表情でミドルやヒザ蹴り、拳を入れるローラー。ヘンドリックスは下がるのみ。ここで5Rが終了し、ローラーは厳しい視線でヘンドリックスの背中を睨み続ける。気になるジャッジの裁定は、48-47で一票ずつ取り合うと最後の一人は49-46でローラーに凱歌が挙がった。口を真一文字に結び、感極まった表情を見せたローラーは「多くの人が僕を後押してくれたアメージングな旅だったよ。勝ち続け、タイトルを守り続ける」と語った。

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