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【Pancrase311】いよいよ王座獲りへ、藤野恵実─02─「昔は自分のために戦っていたけど──」

Emi Fujino【写真】Come to fruition!! タイトルマッチまで1週間と1日 (C)PANCRASE, SHOJIRO KAMEIKE, WSOF, KAORI SUGAWARA, KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

12月8日(日)に東京都江東区・新木場スタジオコーストで開催されるPancrase311 のメインで暫定ストロー級クィーン・オブ・パンクラシストの座を賭けてチャン・ヒョンジと対戦する藤野恵実インタビュー後編。

王座奪取に集中するこの時期に……彼女に尋ねさせてほしいことがあった。戦い続ける女にとっての子作りとは。ルールもレギュレーションも男社会であることは否定できないMMA界で、彼女が持ち続けてきた葛藤を──この時期だからこそ──話してもらった。

<藤野恵実インタビューPart.01はコチラから>


──そのような想いがある試合前に尋ねることではないと承知しているのですが、試合を終えて結果が出てから思う部分でなく、試合前だからこそ聞いておきたいことがあります。

「えっ、そんな改まって何ですか(笑)」

──藤野選手は以前、子供も欲しいと言われていましたよね。

「そこですか(笑)。ハイ、言いましたね(笑)」

──MMAは規定があるわけではないので、対戦相手の質は変化していきますが、自分が続けたい限り続けることができます。母親になるということも、もちろん規定はありませんがリミットは現役を続けるより近くなってくる。現役生活と子供を創るという2つがせめぎ合っていると、時間がどんどん過ぎてしまいますよね?

「結局、私も長い間ピルを使っていますしね。ピルに関しては生理痛が重くて、格闘技を始める前から使用していたんです。ただ一度、体のことを考えて止めた時期がありました。そうしたらホルモンバランスとか……試合の1週間前に8キロぐらい体重がオーバーしたりして、怖くなってしまったんです。

それと子供……妊娠に関しては絶対にできるというものじゃないじゃないですか」

──ハイ。医学で解明できているモノでないというのは、私も家内の出産を経験して学びました。

「藤井(恵)さんが39歳で引退して、私も2週間ほど前に39歳になりました。40歳を過ぎて生んでいる方もいます、私自身、タイムリミットが迫ってきていることも分かります。ただ、今はそういう気持ちは置いて連続で試合をしていますね」

──現役を続けている間、どこかで子供ができても構わないと思ったことはありましたか。

「それは……ないです。いっそのこと、できちゃえば状況は変わっていたのかもしれないですが……そこは津田自身が選手だったので、『ファイターが妊娠しちゃって、試合に出られません──なんてことは絶対に嫌だ』っていう考えだったので。

さっきも言いましたが、体のことと将来……妊娠することを考えてピルを止めている時期もあったのですが、その時はどこか凄く慎重になっていたという部分はあります。まぁ、要は選手を優先してきたということなんですよね(笑)。津田も『俺はもう子供はいいよ』なんて言うこともありますしね」

──それは……津田さんはファイター藤野恵実の最大の理解者なのですよ。SNSでファイトファームの子供たちを可愛がっている様子を伺うと、部外者ではありますが……藤野選手を尊重しているからこそ、そう言ってくれるのだと思います。

「津田とは話し合って、何度も引退すると伝えてきたので『引退詐欺だろ。もう信じられない』って言われましたよね(笑)。でも、オファーがなければ試合に出たい気持ちが強くなり、オファーがあったら絶対に受ける……そうやってきましたからね。格闘技が楽しい、楽しむことを優先してきたんだなって思います」

──そしてMMAファイターとして充実の日々があるのも確かですし。どちらか……とは割り切れるものではないのでしょうね。

「子供がいて戦っているファイターもたくさんいます。9月に戦ったエジナもそうですし、マッケンジー・ダーンなんて出産してから4カ月で試合をしている。それは子供を産んだことがある子に聞いたら『絶対に無理だ』って言っていましたけど(笑)。

それに山口で頑張っている佐藤絵実ちゃんは私と同い年で3人、お子さんがいるんですよね。う~ん、子供がいることで幸せそうな人はたくさんいるけど、私はできていないから何も言えないですしね……。

それに私が今回のようにパンクラスのメインを戦えることが、これからの女子MMAのために役立てるなら……『私も頑張れば』と思ってくれる子たちが増えるなら、ここまで続けていて良かったという気持ちもありますし、『もうちょっとやりたい』という想いも出てきます」

──何かを選択するときは、どちらを選んでもその先にちょっとした後悔があると思います。そして、自分が歩まなかった人生がどうだったのか思い描くことも。でも何かを選ぶ時は熟考する人もいるだろうけど、その答は直感のように決まっている人も多いのではないかと思います。

「そうですね……(苦笑)。戦えるうちはやりたいとなるので、そことのせめぎ合いがずっと続いています。だから、この試合が終わるとまた津田と話し合おうと思っています」

──チャンピオンになって、話し合ってください(笑)。

「100パーセントの試合はないですからね。どんな強い選手も、そんな風に負けるのかって思う試合があるじゃないですか。だからMMAは何が起こるか分からない。それでも、この試合でこれだけ皆が応援してれくるということは『お前、いい加減にやれっ!』って言われるということですしね(笑)。

そこがプレッシャーにはなってくるのですが……。昔は自分のために戦っていたけど、今回は応援してくれる人たちに喜んでほしいという気持ちでも戦えます。プレッシャーにはなるのですが……」

──2度繰り返しましたね(笑)。頭を振って、しっかりと戦う姿を拝見させてもらおうと思います。

「そうですね……。成長した姿を見せたいとは思いますが……。うん、真っ向勝負します(笑)」

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