この星の格闘技を追いかける

【Special】増刊、青木真也。ONE100総括─03─「変な話。誰でも良い(笑)。だからチャンス」

ONE【写真】さぁ、誰に愛があって、考えることができて、歴史を創ることができるのか(C)MMAPLANET

ONE100「Century」。ONEにとっての2度目の日本大会を青木真也の総括、第3弾。

選手のセルフプロモーションの重要性を説き続ける青木は、今回は3月大会よりも苦労したという。言ってみれば外資、そのなかで日本らしさを如何に取り入れるのか。それこそが青木がいう歴史を感じさせることなのかもしれない。

<増刊、青木真也。ONE総括Part.02はコチラから>


──平田選手は日本MMA界で唯一無二のキャリアの積み方をしていて、その点においても特別です。彼女はONEで戦うべくして戦っているので、この場にいても普通にハングリーで。プチ満ち足りた感がないかと。

Hirata「エンジョイできていて、良いですよね。結局、どれだけ格闘技が好きかによってくるかと思います。僕は何だかんだと言って、今回のメンバーの誰よりも格闘技が好きだし、このファイトビジネスを通して人に魅せることも好きだけど……究極は格闘技が好きなので」

──それが青木選手の個性で、それがスペシャルな存在に通じているのかと。そのなかに日本のMMAの歴史がある。と同時に、岡見選手はUFCで自分のキャリアを築いてきた日本のMMAの裏歴史を持つ選手です。そこにスペシャル感があった。

Okami「高島さんのMMAを見てきた、歴史ですよね──それこそが。岡見選手に対しては、多くの人がソレを持っているわけではない。でも、UFCを見てきた人のなかにはファンも含め岡見選手に対して、積み上げていた感情がありますよね」

──ONEとはそういうモノではないしょうか。青木選手のプロモーションが届く人、平田選手が格闘代理戦争を経て既に持つ求心力、そしてずっとMMAを見ている人にとって岡見選手の歴史。それらが合わさって、普及していく。

「だから、変な話。誰でも良いんですよ(笑)。今、名前が出なかった世代から誰が来るんだって。誰でも良いから、上がって来いよって。誰でも良いからこそ、チャンスなんだと思います」

──今回、日本大会に選ばれなかったメンバーも含めて。

「ジャカルタがすぐにあって、そこからマニラ、そして北京とシンガポール。ここが怖いです」

──怖いというのは?

「すぐに大会が連発されて、自分のことに精一杯でそっちに頭が回っていなかった。それで他の大会に頭が回らなかったことに対して、申し訳ないという気持ちが正直ない。いまさらながらだけど、8月のフィリピン大会みたいに急遽、現地に行ってイベントを盛り上げる必要があるかもって思って、スケジュールを空けましたもん(笑)」

──そこまでやりますか(笑)。

「受け身を取れる準備はほとんどしました。日本大会に精一杯で他のこと、何もやってこなかったので──何か来た時に受け身を取ることができる準備はしておきました(笑)」

──青木選手を投入するほど、シンガポール大会のカードが揃うのか。

「だからこそ、Abema特派員の弾丸ツアーが入る覚悟をしています(笑)。クリスチャンとマーチン・ウェンとか、ぶっこんで来るかもしれないし」

──そこにどう日本人選手が絡んでくるのか。和田竜光選手、竹中大地選手(※11月16日の北京大会に出場決定)、長谷川賢選手──それに日本大会で楔を打った佐藤将光選手、猿田洋祐選手の名前が見られるのか。

「ホント、日本人選手も詰まってきましたよね。安藤(晃司)とかもいますしね」

──リリースが始まる気配もあります。

「それは健全ですよ。ただチャンピオンになったことのある選手は大切にしてほしいですよね」

──それが歴史を重んじることですね。何れにしても日本人選手への思い入れはあるなかで、ONEの売りと合致しない部分も往々にある。この二重構造が伝える側としては難しい課題です。

「あぁ、そうですか。そこは今一つピンと来てないです。僕は思うのは、僕でなくて良いことは他の若い子たちがやっていったほうが良いということですよね。解説だって、俺じゃなくて良いことがあると思う」

──ゲスト解説なのか、解説なのか。選手の立場でありながら俯瞰してモノが見えている人が解説に適しているかと。

「僕は考えているつもりです。でも、若い子たちも座れる椅子は、座っていった方が良いですよ」

──青木選手のいう大会のプロモーションをしなかった選手は出場選手だけでなく……ONEと契約しているけど日本大会で試合が組まれなかった選手も同じだと思うんです。それじゃ、解説の仕事というか金はもらえませんよと。

「あぁ、あるある。それはありますね。それでいうと同じ大会に出ている選手のマネージャーから『青木のね、出ていない選手もプロモーションしろっていうの分かるよ』っって言われて。違うよ、俺が言っているのはお前の抱えている選手のように、出ているのに何もやらないから俺はやっているんだよって。凄くムカついたけど、『押~忍』って言っておきましたよ(笑)。あれには負けた……バカ負けしましたよ。その現実に。

大会に出る選手、出ていない選手、もっとできる。できるし、それをやることで返ってくることがある。結局、格闘技のイベントだって団体戦ですからね。そういう意味では3月よりしんどかったですね。テーマがないから物量作戦になって……。3月大会より、頭も体も使いました。3月は自分の本の出版と重なったから、向こうからプロモーションの機会が巡ってきたので。今回はそういうことも当然なく、タイトル戦でないからプロモーションには苦労しました」

──RIZINとONEが連続でイベントを開催した。それが相乗効果をもたらせば良いのですが、青木選手と川尻選手のSNSでのやり取りが良かったです。

「あれは助かりました。川尻は佐藤大輔さんとか一緒に仕事をしていたメンバーで……こういうキャリアの終盤になって離れているのに、協力というか……彼に助けてもらい、僕も何かする。アレは良かったですね。そして、僕は川尻はまだ辞めないと思っています」

<この項、続く>

PR
PR

関連記事

Movie