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【ONE100】ホノリオ・バナリオ戦へ、青木真也─01─「MMAグラップリングに逃げている」

Iwamoto & Aoki【写真】岩本がADCCへ向け、最後の練習を行った日に収録は行われた。ゴツゴツ、そして青木の横でポケットに手を突っ込む太々しさを持つ岩本 (C)MMAPLANET

13日(日)に東京都墨田区の両国国技館で開催されるONE 100 Century。4月の日本大会でメインを張った青木真也はPart.02のセミでホノリオ・バナリオと戦う。そんな青木をAbema TV公式YouTubeチャンネルのドキュメンタリー番組「THE WONDER」が密着した。

MMAPLANETでは同番組内でも見られた青木の岩本健汰や住村竜市朗とのグラップリング練習、そしてホノリオ・バナリオ戦、さらにNEW ERAからCenturyまで日本のONE──その6カ月について話を訊いた。

──ホノリオ・バナリオ戦まで2週間強、IGLOOで住村竜市朗選手や岩本健汰選手と行っている練習は試合用になるのでしょうか。それとも自身のアップデート用でしょうか。

「どうなんだろう……僕は試合用、試合に向けて重きを置いていますけど、回りから見たら試合から遠いことをやっているように見えるかもしれないですね」

──ピュア・グラップリングの比重を増やしてきているのは、どのような理由から?

「それは……やっぱり、技量の錆びつきを避けるためですかね。MMAグラップリングと純粋グラップリングは全く別物です。でも、純粋グラップリングのアップデートというか、そこをやっていないと厚みがなくなってくるんです。組み技が味気のない、出汁のないモノになっていってしまう。

そうならないための工夫というか……国内で行われているMMAの試合を見て、自分が何をやっていくのかを考えると、このままでは危ないという気がして。バランスを取る意味で純粋なグラップリングの練習を凄く大切にしています」

──国内の試合と海外の試合を見比べて、純粋なグラップリングが必要だと感じたということですか。

「どうしても今、組みを疎かにしている部分があると思います。でも、何とかなってしまう。これではチョットなと。国内で打撃からちょっと倒してという戦い方が氾濫しているけど、打撃とテイクダウンももってできる海外勢がグラップリングもそれなりにできます。

人の試合をそういう例に出すと嫌がられるでしょうけど、このあいだの修斗の田丸匠と魚井フルスイングの試合で、今の日本だと田丸がグラップラーになってしまう。でも、魚井選手に対してサブミッションのアタックはなかった。コントロールもパスもできているわけじゃない。

これは今、田丸の名前をだしただけで、そういう試合が本当に多い。それでグラップラーって言われていても、その技量でかよって思ってしまうんです──正直な話。そう感じた時に、自分を顧みると粗さがあった。僕にも粗さが目についたので、もう少ししっかりとやりたいと思いました」

──それは原点回帰なのが、流れに追いつけていないという想いだったのか。どちらでしょうか。

「う~ん、MMAグラップリングに逃げている。MMAグラップリングをやっていると、とりあえずやっていけるというところに落ち着いてしまったと思いました。それは周囲の選手を見ても、感じたことです」

──そこで練習相手に岩本選手を選んだというのは?

「岩本選手は凄く頑張ってくれる。際の攻防……ガードの攻防を頑張ってくれるんですよ。下からも攻めてくるし、来いよって股も割ってきます。凄く価値ある練習パートナーです」

──それだけ岩本選手も技術力が備わっているということですね。

「そういう風に僕がいうのはおこがましいです。一つのパートを切り取ると、僕より秀でているところがたくさんある選手なので。見て、触って、見返して、彼の凄さがしっかりと理解できています。尊重し、尊敬しています。

彼のことを尊敬しているという人がいても、彼の凄さをそうやって見て、触って、見返して言っているのかと。ただ尊敬しているという言葉を使っているだけじゃないの?って。最近の格闘技界の傾向で、尊敬という言葉が使われていても、その凄さを理解していない場合が多いですよね。

ただ技量がある人と練習をすると、見合ってしまうことも少なくないです。そうなると練習にならない。動かない相手はコントロールが簡単になる。それは純粋グラップリングもMMAもグラップリングも同じで、寝かせて頑張りのない人のコントロールは簡単になってしまいます。

そういうスパーリングは、僕自身の停滞を招くなることになる。だから岩本選手とのスパーリングは楽しいです」

──そういう場合、MMAファイターではなくて柔術家の岩本選手が適しているわけですか。日本のMMA界はボクシングやレスリングと比べても、柔術とのリンクは多くないように感じます。

「それはありますね。その状況にあること、そして自分の状態を危惧しています。それは寝技も打撃も同じです。それと……僕は彼のことは柔術家とは思っていないかもしれないです(笑)。外掛け、ヒールフック、ネックロック、テイクダウンの攻防がない競技柔術の人とは思っていないですね。

スラムはなくても、背中をつけるための投げ、テイクダウンの攻防も一緒にやっていますし、彼をIBJJF的な柔術家とは見ていないです。そういう意味で柔術がイコールIBJJFだったら、僕のなかで岩本選手は柔術家じゃない。2Pで勝った、負けたとかそういう練習にはならないですから。まぁADCCが近いと、そういうことは頭にいれてやっていますけど。柔術家の枠ではないですね。その一方で柔術家としてあるべき姿かとも思います」

──オーセンティックなわけですね。

「オーセンティックは便利な言葉ですよね。本質ってことですからね。職人ですね、岩本選手は」

<この項、続く>

■ONE100 第1部対戦カード

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者] シィォン・ヂィンナン(中国)

<ONEフライ級(※61.2キロ)ワールドGP決勝/5分3R>
デメトリウス・ジョンソン(米国)
ダニー・キンガド(フィリピン)

<ONEライト級(※77.1キロ)ワールドGP決勝/5分3R>
クリスチャン・リー(米国)
ザイード・フセイン・アサラナリエフ(トルコ)

<キックボクシング女子アトム級/3分3R>
ジャネット・トッド(米国)
エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ(ベラルーシ)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
キム・デフォン(韓国)

<ムエタイフライ級/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
ダレン・ローラン(フランス)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
岡見勇信(日本)
アギラン・タニ(マレーシア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(タイ)
リカ・イシゲ(タイ)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
仙三(日本)
リト・アディワン(フィリピン)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
プー・トー(ミャンマー)
ユン・チャンミン(韓国)

<68キロ契約/5分3R>
スノト(インドネシア)
クォン・ウォンイル(韓国)

■ONE100 第2部対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ブランドン・ベラ(米国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ホノリオ・バナリオ(フィリピン)

<ONE世界バンタム級(※65.8キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
[挑戦者]ケビン・ベリンゴン(フィリピン)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者]ヴァウテウ・ゴンカウベス(ブラジル)

<ONE Super Series キックボクシング・フェザー級ワールドGP決勝/3分5R>
ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)
サミー・サナ(フランス)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
マウロ・チリリ(イタリア)
アージャン・ブララ(カナダ)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
山口VV.芽生(日本)
ジェニー・フアン(台湾)

<修斗✖パンクラス王者対抗戦ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
猿田洋祐(日本)
北方大地(日本)

<修斗✖パンクラス王者対抗戦バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
佐藤将光(日本)
ハファエル・シウバ(ブラジル)

<修斗✖パンクラス王者対抗戦ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
エルナニ・ペルペトゥオ(ブラジル)
手塚裕之(日本)

<修斗✖パンクラス王者対抗戦ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
松本光史(日本)
久米鷹介(日本)

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