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【Pancrase308】日曜日にソリホンと戦う粕谷優介─02─「僕には経験値、免疫があります」

Yusuke Kasuya【写真】現UFCファイターのフランク・カマチョ、現RIZINファイターのダミアン・ブラウンに一本勝ちしている粕谷(C) MMAPLANET

28日(日)に東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催されるPacrase308で、サドゥロエフ・ソリホンと暫定ライト級王座決定戦を戦う粕谷優介インタビュー後編。

人生における優先順位で決してMMAが第一でなかった粕谷のMMAへ拘り。弱気と負けん気が複雑に絡み合う、MMA好きの粕谷──タイトル戦前の心境をさらに尋ねた。

<粕谷優介インタビューPart.01はコチラから>


──そんな一戦には暫定王座が賭けられた試合となりました。

「正直、タイトル戦はまだ先の話だと思っていました。暫定王座があることも意識していなかったですし。勿論、やるからには久米(鷹介)選手のところへ辿り着きたいという想いはありましたが、たかだか1勝を挙げただけですし。それも4連敗からの1勝だったので、オファーが来た時は正直なところ間違いじゃないかと思い、ピンとこなかったです。

そんな時にMMAPLANETで僕とソリホンの試合が発表された記事で『タイトル戦として相応しいのか』と書かれて、アレでムッとした自分がいました」

──おっ!!

「ホント、人にどう思われようが気にしないでMMAをやってきたのに……アレを読んだ時は、正直なところ『うるせぇな』って心の中で思いました」

──申し訳ありません(笑)。

「いえ、全然構わないんです。客観的に見て『おかしいだろう?』って他のランカーも思うでしょうし。ただアレで一番、火がつきましたね。自分でもそう思っていたし、でも自分以外の人にそこを指摘されると、何かムッとしてしまって」

──フフフ。

「本当に他人の意見を気にせず、自分がどう思うのかで道を決めようと思っているので。そう思われているのも分かっていたけど、ムッとしたのは事実で『見返したい』と思いました」

──なるほど(笑)。そういうなかでソリホンですが、前回の上迫博仁選手との試合は敗れましたが、強い選手です。

「僕のなかではソリホンの勝ちだと思っています。結果からではなく、どっちと戦いたくないかといえばソリホンだからです」

──あの試合ではサッカーボールキックは顔に当たっていないですが、試合が中断されるということがありました。

「そこは確認しました。可哀そうだと思っていたら、あそこでゴメンっていう表情をしているし、良いヤツなのかなって(笑)」

──ケガをしていたという情報もありましたが、あそこで試合を投げるのも驚きました。

「いつケガをしたのか。ケガをしていて、あの動きができるから脅威です。だから嫌な相手なんです。基本的に試合はしたくない……でも、試合をしないことで自分に自信が持てなくなることを天秤にかけてしまいます。

それでも自分より強い選手とはこれまでも戦ってきましたし。アレックス・ヴォルカノフスキーが今度、マックス・ホロウェイに挑戦するじゃないですか?」

──ハイ。12月24日に挑戦することが発表されました。

「それも知って……男として、悔しかったです。自分をぶっ飛ばした人間がUFCでタイトルに挑戦する。ここも見返したいという気持ちになります」

──相当な負けず嫌いであることは確かですね。

「なるべく戦場には立ちたくないですが、戦うからには勝ちたい……です。勝とうが負けようが、努力している時の自分が好きなんじゃないかと最近は思うようになりました」

──それは……やはりMMAを戦うことが好きだとしか思えないです。

「最近は辞めることはできないのかなっていう想いもあります(笑)。だから今回の試合は……僕のなかでも久米選手への挑戦権を懸けた試合だと思っています。ベルトが巻けることは素直に嬉しいですけど、暫定なので。本当のチャンピオンは久米選手です。ここでベルトを巻いても、僕は本物じゃない。だからこそ、勝って先に進みたいです」

──その久米選手は今後ONEと専属になるのか。パンクラスでも防衛戦を行っていくのか、この辺りがしっかりとした情報で伝わってこないのは選手としても今後のことを想定し辛いですね。

「久米選手が本物のチャンピオンです。ただONEに行ってくれるなら、久米選手と戦わないで済むという気持ちも半分あります(笑)。ずっとONEで戦えと念を送っています。どっちにしても、ここで勝つのと負けるのでは今後が違ってくるという意識でいます。

仕事をして、ジムをやっていてトップ選手からすると『格闘技を舐めるな』って思われてきたと思います。それはUFCで戦っている時から。でも俺は俺で精一杯やってきた。俺は俺なりに『社会を舐めんな』、『会社員を舐めんな』、『父親を舐めんな』と思ってきました(笑)。

人のためにやっているわけじゃない。如何に自分が納得するかという感情でしか戦ってきていないので、そういう想いは口にしてこなかったですけど、こっちにだって色々とあるんだよというのはありました。ただ、メインイベントは荷が重いです(笑)」

──……。それでもメインで、相手はソリホンです。どのような試合をしたいと思っていますか。

「パンチもフィジカルも凄く強い相手です。ただし、そういうタイプとやってきた経験値は僕にあります。もらうと効くと思いますが、免疫はあります。ヴォルカノフスキーやフランク・カマチョとやって来た……自分を信じたいです」

──デミアン・ブラウンにも勝っていますからね。

「そういえば、そうですね(笑)。あっ、これは家庭内の会話でしたが、引退しようと考えていた1年で一つだけ続けたいという拘りがあったんです」

──おっ、それはどういう拘りだったのでしょうか。

「漠然と川尻選手と戦いたい。それだけはずっとありました」

──おぉ!! ならパンクラスの王者からONEでなく、RIZINで良いじゃないですか! 目指すところは。

「そういう風に言われると、いや……やりたくないなって思ってしまうんですけど」

──オイッ!!(笑)。

「これからがどうこうより、あの1年でMMAを続けるならという理由のなかで揺らぎなかったのは川尻選手の存在だったことは確かです。自分のことだけを考えて戦ってきたので、何かが起こって川尻選手の相手に抜擢されないかなって……。そこが最後の最後で心が折れなかった要因だったことを話させてもらいたかったです」

──いやいや、ここまでやってきたMMAだし憧れの選手との対戦を実現させましょうよ。

「そうやって言われると……怖くなってきたので、ツーショットの写真を撮影してもらえればそれで構わないです」

──バカヤロー(笑)。そこで逃げたと思われたくない気持ちがムクムクと頭をもたげるようになりますね、きっと。

「川尻さんだったら、逃げたと思われても構わないです」

──相変わらずの粕谷選手でした(笑)。もうファンに向けての一言とかなしで、試合に集中してください。

「ハイ!!  やることはやってきました。自信はあります」

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