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【ONE97】ファイトクェスト。岡見勇信と対戦するジェイムス・ナカシマ「本当に尊敬している。でも……」

Nakashima【写真】非常に物静か。しかし、その言葉は自信に満ち溢れれているジェイムス・ナカシマ (C)MMAPLANET

2日(金・現地時間)、フィリピン・マニラのMOAアリーナで開催されるONE97「Dawn of Heroes」で、岡見勇信と対戦するジェイムス・ナカシマ。

Nakashima vs SappoLFAからONEへ戦場を移し、4月のルイス・サッポ戦の勝利でサークルケージ2連勝、さらに通算戦績も10連勝としたナカシマ。日本の姓を持つファイターは、徹底的に自分の動きを見つめなおし、イタリアでジョルジオ・ペトロシアンと練習するほどの探求心を持ち主だった。なにより岡見を過去最強の相手と認めつつも、自身に対し揺るぎない信頼感を持っていた。


──岡見勇信選手との試合のオファー受けた時、まず何を想いましたか。

「オファーがあったのは2カ月半前だった。ちょうどバケーションでコロンビアを訪れていた時に、ホテルでUFCのヘンリー・セフード✖マルロン・モラエス戦を視ていて。その時にマネージャーからメッセージが入った。『ユーシン・オカミと戦うか?』ってね。

僕としてはベルトに挑戦するか、コズモ・アレッシャンドリと戦うことになる思っていたけど、ユーシン・オカミというビッグネームとマニラで2万人の観客の前で戦えるのは大きい。試合間隔を空けたくなかったし、ビッグショーで戦えることは良いことだよ」

──岡見選手は過去最大のビッグネームだと思います。

「その通りだね。そして過去最強の相手になるはずだ。僕は彼のことを尊敬している。体も大きいし、柔道の技も健在だ。ただし、彼はキャリアの下り坂にある。5年前のユーシン・オカミとは違う。僕はここからピークが待っていて、ハングリーだ。何より僕は自分を信じている。彼が僕を止めることはできないだろう」

──どういう点で岡見選手の力が落ちていると思っているのでしょうか。

「う~ん、前の試合でダウンしてTKO負けした。その前のUFCでの試合も、やられまくっていた。確かに対戦相手は強いロシア人だったけど、僕は彼らに負けていない。あと数試合こなせば、カマル・ウスマンにだって勝てると信じている」

──相当な自信ですね。そんなジェイムスが岡見選手の攻撃で最も警戒しているのはどこですか。

「アッパーボディ・クリンチだ。彼の柔道ゲーム、四つの状態からのアウトサイドトリップは強力だよ。身長もリーチもあるので、そこは十分に警戒が必要だろう」

──ジェイムスのレスリング能力の高さは誰もが認めるとことですが、最近は打撃も相当にパワフルになっているように見受けられます。

「そこなんだ、ユーシンに対して付け込もうと思っているのは。僕はコンプリート・マーシャルアーチストだから、テイクダウンからグラウンドに持ち込まなくても構わない。寝技の方が、打撃よりも強い。それは確かだ。でも打撃も強化してきた。

去年、ミラノに行ってジョルジオ・ペトロシアンと練習してきたんだ。9月から11月にかけて1カ月ほどまた訪れようと思っている」

──ペトロシアンは当代きってのキックボクサーで、ジェイムスと同じくサウスポーです。ただし、キックボクシングとMMAでは距離もスタンスも違うと思うのですが。

「ジョルジオは左利きのサウスポーなんだ。ペンを握るのも左手だ。僕もナチュラル・レフトハンドだ。う~ん、そうだね……僕も含めてMMAファイターの打撃って、やっぱりレベルが低いんだよ。

それは基本をやりこんでいない人間が多いからだ。僕はジョルジオに基礎から教わりなおした。ベーシック・ポジショニング、ベーシック・ジャブ、ベーシック・ローキック、基礎練習を繰り返してきたんだ。ジョルジオは距離のコントロールについても教えてくれた。そしてカウンターアタックもね」

──しかし米国のMMAファイターが、イタリアへキックの練習にいくとは、相当にレアケースだと思います。

「僕はフィジカルだけでなく、メンタルのトレーニングにも力を入れているし、毎日のようにメディテーションをして、スピリチュアルな部分も大切にしている。過去の映像もちゃんと分析してるし、毎日のように練習内容もノートに書き記しているんだ」

──なんと、小まめな。

「そして、自分の試合だけでなく他の選手の試合、MMAだけでなくキックボクシングの試合もチェックしている。そのなかにジョルジオの試合も含まれていた。ただ、彼と練習する以前と練習してからでは、彼の試合映像から学べることは全く違っている。今では彼の動きが理解できるようになったよ」

──まるでファイト科学者ですね。

「アハハハ。学ぶことが好きなんだよ。でも、変わることは難しいよ。僕は変われていない。誰も僕を変えることはできないんだ」

──どういうことですか?

「僕は自分の打撃を何とかしたくて、ジョルジオの所へ行った。そして、所属するMMAラボは世界で最高のジムだ。素晴らしいコーチが揃っている。レスリングや柔術もMMAラボで成長し続けることができている。今回の試合に向けて、しっかりとやるべきことをやってきた。遠距離でいかに打撃を当てるか、そこがユーシンと戦ううえで大切になってくる。

でもキャンプが始まったばかりの時……8週間前に、ベンソン・ヘンダーソンのヒザ蹴りでダウンさせられた。パンチを出しても、距離が遠すぎたんだ。同じミスをLFAのタイトルマッチで3年前に経験している。あの時はフックを当てられダウンした。リカバーして勝てたけど、3年前と同じ失敗を8週間前にも繰り返してしまった。

僕はまだ変わることが出来ていなかった。だから映像でも自分の動きをずっと確認してきた。ジョン・クランチとも、そこに重点を置いて練習したきたんだ」

──修正はできたのでしょうか。

「完璧じゃないけど、上々だよ」

──この試合はサウスポー✖サウスポーになります。

「サウスポー同士でもジャブは僕の方が少し上手いだろう。前々回の試合から前回の試合まで半年間のインターバルがあり、ペトロシアンと練習した。左同士だ。確かにオーソの選手と試合をするのと、サウスポー同士は違う。でもアドバンテージがあるのは、僕の方だよ」

──なるほど。試合直前に試合の行方の鍵を握るポイントまで教えていただきありがとうございます。では最後に日本のファンに一言お願いします。

「みな、ユーシンの勝利を願っているだろうけど……そうだね、ユーシン・オカミのことは本当に尊敬している。ずっとUFCで戦ってきたなんて信じられないキャリアの持ち主だよ。でも、ユーシンだろうがルイス・サッポだろが僕は勝利を目指すことは変わらない、この試合も勝って、世界チャンピオンに近づきたい。対戦相手が誰だろうが、僕が戦いたいように戦えるのかが大切になってくる」

■ONE97対戦カード

<ONE世界フェザー級選手権試合(※70.3キロ)/5分3R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]松嶋こよみ(日本)

<Super Seriesムエタイ・世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョナサン・ハガディ(英国)
[挑戦者] ロッタン・ジットムアンノン(タイ)

<ライト級 (※77.1キロ)ワールドGP準決勝/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
エディ・アルバレス(米国)

<フライ級(※61.2キロ)ワールドGP準決勝/5分3R>
デメトリウス・ジョンソン(米国)
和田竜光(日本)

<フライ級(※61.2キロ)ワールドGP準決勝/5分3R>
ダニー・キンガド(フィリピン)
リース・マクラーレン(豪州)

<Super Series ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ロドレックP.K.センチャイムエタイジム(タイ)
クリス・ショウ(英国)

<フライ級(※61.2キロ)ワールドGP補欠戦/5分3R>
ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)
若松佑弥(日本)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
マウロ・チリリ(イタリア)
アージャン・ブララ(カナダ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ホノリオ・バナリオ(フィリピン)
パク・デソン(韓国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
竹中大地(日本)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ジェイムス・ナカシマ(米国)
岡見勇信(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドワード・ケリー(フィリピン)
シエ・ビン(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ポンシリ・ミートサティート(タイ)
ミャオ・リータオ(中国)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
サマラ・サントス(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
スノト(インドネシア)
ムハメド・アイマン(マレーシア)

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