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【WJJC2019】ルースター級優勝は準決でマルファシーニを止めた、マイキー・ムスメシ=最強競技柔術家

Mikey Musumeci【写真】マイキー・ムスメシ、法律家を目指しラスベガスで勤勉中の22歳。恐るべき柔術家に成長した(C)MMAPLANET

5月30日(木・現地時間)から2日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。競技柔術世界一を決定するムンジアル・レビュー第5回はライトフェザー級2連覇から、ルースター級に階級を下げて通算3連覇という偉業を達成した22歳──今や競技ブラジリアン柔術を代表する最強柔術家となったマイキー・ムスメシらの準決勝&決勝を振り返りたい。


01<ルースター級準決勝/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
Def. by 10-8
ブルーノ・マルファシーニ(ブラジル)

02ルースター級世界5連覇のマルファシーニと、ライトフェザー級世界2連覇中のムスメシによる大注目の初対決は、まずお互い座り込む。マルファシーニが上を選択してアドバンテージを取ると、ムスメシはすかさずベリンボロを仕掛け、そこからシットアップして上に。この攻防で。マルファシーニにアドバンテージが、ムスメシに2点が与えられた。

03が、マルファシーニはすぐにシットアップで上を取り返してアドバンテージ1つ分逆転すると、再び背中を付けてダブルガードに。「最後に上を取った方が勝ち」のシーソーが成立しているなか、マルファシーニは先ほどのテハ戦同様に両腕でムスメシの両足を掴んでおり、たとえ下になってもいつでも上を取り返す用意ができている。その後両者が一度ずつシットアップし、スコアは4-4となった。

05アドバンテージで負けているムスメシは、再びベリンボロから上になり6-4と再逆転する。ここでムスメシは、マルファシーニが上を取り返しに来る前に自ら上から飛び込んでのベリンボロ。マルファシーニがそれを逃れると両者場外に。アドバンテージこそ付かなかったが、スタンドから再開となり、シーソー状態が崩れたことになる。

06残り5分で再開。お互い失点をしたくない状況でタイミングを見計らうなか、ムスメシの引き込みより一瞬早くマルファシーニはダブルレッグで飛び込み、上をとって2点獲得。6-6でアドバンテージ分逆転し、シーソー状態を回復したマルファシーニは、すぐに自ら背中を付けるダブルガードに戻った。その後ムスメシがシットアップして8-6で再逆転するものの、上になりさえすれば逆転できるマルファシーニは慌てずに下を受け入れた。

07マルファシーニはここで、ムスメシの帯を掴んでのバタブライガードに。ここから煽って浮かすが、ムスメシはうまくバランスを保つ。が、さらにマルファシーニは後転しながらムスメシの体を舞わせて上になり、8-8でまたリードした。

08が、下になったムスメシも、マルファシーニの右足にデラヒーバフックと左腕を絡めると、またしてもベリンボロ。これでマルファシーニの体勢を崩して10-8と逆転した。

09残り2分。ムスメシはここで体勢を低くすると、今まで使っていなかった両足担ぎ(ダブルアンダー)の体勢に。マルファシーニが両足を抉じ入れると、ムスメシはすかさず前方に体重移動し、マルファシーニの上半身を抑えてのパスを仕掛けてゆく。マルファシーニがそれに対応して動くと、ムスメシは再びマルファシーニの下半身に重心を移動して低いかみつき(オーバーアンダー)へ。そのままムスメシはマルファシーニを場外まで押していった。担ぎパスを用いて上をキープし切る作戦に打って出たムスメシに対し、マルファシーニはこれまでのように好きな時にスイープで上を取ることができないでいる。

残り1分での再開。同時に、上から膠着気味のムスメシにはペナルティが与えられる。それがなくても、アドバンテージを一つ先行しているマルファシーニは上になれば勝ちだ。相変わらず低く噛み付いてゆくムスメシに対し、マルファシーニは足を中に入れてシッティングへ。そのまま後方に返しにゆくが、ムスメシはさらに重心を低くして耐える。

10さらに時間は進み、歴史的なムスメシの勝利まで30秒と迫る。ここでムスメシはマルファシーニの両足の中に自分の体を抉じ入れてクローズドガードの中に入り、両脇を締めてマルファシーニの腰を固定。マルファシーニは背中越しに帯を掴んでなんとかスペースを作ろうとするが、ムスメシは漬物石の如く動かず。露骨なホールド戦法を繰り出すムスメシにさらにペナルティが入るが、これは2つ目なのでマルファシーニが獲得したのはアドバンテージのみ。そのままマルファシーニは動けず、ついに試合終了──5年間にわたって無敗を誇った絶対王者を相手にムスメシは、柔術競技におけるポイント争いにおいて、誰の目にも明確な形で競り勝ってみせたのだった。

11歓喜のムスメシは──ティーン・エイジャーの3年間、指導を受けた師匠でもあるマルファシーニに握手の手を差し出す。が、マルファシーニはしばしそれを無視する。それでもムスメシが手をひっこめずにいると、マルファシーニも握り返すと思いきや、なんと動かした手を頭に持っていって汗を拭う仕草。両手を広げて心外の意を示したムスメシは、レフェリーから勝利の宣告を受けるために中央へ。その場で座り込んだままのマルファシーニは、レフェリーとムスメシを中央で待たせたまま、ゆっくりと時間をかけて帯を結ぶのだった。

12やがて立ち上がって中央に行き、レフェリーによる勝敗宣告を受け入れたマルファシーニは、ムスメシと握手はしたものの何やら不満げにまくしたてていた。すでに栄光の全てを手にしたはずのマルファシーニが見せた小学生の如きこの負けず嫌いぶりは、絶対王者がいかに真剣に勝利を目指してこの試合を戦ったかの証左であり、ムスメシの勝利の価値の大きさを示すものだろう。

とまれ、この試合で3度ベリンボロを決めただけでなく、いかなる敵であろうと、いつでも好きな時にスイープで上を取る自信を持つ絶対王者相手に、終盤2分間上をキープしきったムスメシ。計り知れない地力と抜群の戦略の冴えを見せつけた24歳は、昨年準優勝者のホドネイ・バルボーザとの決勝戦を迎えたのだった。バルボーザは準決勝で、橋本知之を倒したクレベル・ソウザに競り勝っての決勝進出だ。

<ルースター級決勝/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
Def.0分12秒 by ストレート・フットロック
ホドネイ・バルボーザ(ブラジル)

13試合開始するとハグする両者。お互いにすぐに引き込んでダブルガードの状態。そこでバルボーザの右足を掴んだムスメシは、それを、左腕で抱えて右手で補助する形のアキレス腱固めに。

するとバルボーザはあっという間にタップ! わずか12秒でムスメシが圧勝し、一昨年、昨年のライトフェザー級での優勝に続いて、世界3連覇を果たした。

14クラシカルかつシンプルな柔術の仕掛けで芝本を追い詰め、ベリンボロやトラックポジション、50/50等を駆使したモダン柔術戦も無類に強く、下からはパス不可能なガードを使いこなし、上からは絶対王者マルファシーニすら封じ込めてしまうプレッシャーを持ち、バックからのコントロール力も抜群。

準決勝では恐るべき戦略の冴えを、決勝では凄まじい極めの強さを見せつけて優勝したムスメシ。全てを兼ね備えた恐るべき22歳を、誰が止めることができるのだろうか。

■ルースター級リザルト
優勝 マイキー・ムスメシ(米国)
準優勝 ホドネイ・バルボーザ(ブラジル)
3位 ブルーノ・マルファシーニ(ブラジル)、クレベル・ソウザ(ブラジル)

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