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【World NO GI 2019】ルースター級、澤田伸大─02─「より価値のあるトーナメントになった」

Sawada【写真】澤田には澤田のノーギ観があり、そこがまさに柔術の多様性と面白さを表している(C)SATOSHI NARITA

カリフォルニア州アナハイムのアナハイム・コンベションセンター・アリーナにて、12日(木・現地時間)からスタートしているIBJJF主催の世界ノーギ柔術選手権・黒帯ルースター級にエントリーしている澤田伸大インタビュー後編。

道衣を着て行われる世界最高峰の戦い——ムンジアルと同様、大会終盤の2日間(14・15日)に分けて開催されるアダルト黒帯各階級だが、澤田伸大(トライフォース)が参戦するルースター級は7人トーナメントのため、全試合が日曜日に進行されることが発表されている。

ホドネイ・バルボーザ、タリソン・ソアレスという超強豪の参加をどのように捉えているのかを尋ねた。
Text by Satoshi Narita

<澤田伸大インタビューPart.01はコチラから>


——澤田選手が右足を捉えて引き込みましたが、ほぼ同時にパイヴァが繰り出した足払いがテイクダウンと見なされたようでした。

「あれは微妙だったと思いますけど、そう見えたらしょうがないですからね」

——昨年は優勝したものの、「内容的には微妙だった」と話されていました。この1年、どんなことを課題にされていたのでしょうか。

「う〜ん……去年はトップポジションにおける自分のゲームが明確になっていなくて、上半身を固めてパスする、というくらいアバウトでした。ところが、決勝の相手の足が長過ぎてアクセスできなかった。身長が180センチくらいあって、僕が対戦したルースター級の選手の中では一番デカいんです。

紫帯の時にも試合をしたことがあるんですけど、階級を間違えてないかと確認したくらいで(笑)。で、ちょっとアバウト過ぎたので、今年は足関節とのコネクションとか、足関節を散らしつつ上半身を固めにいくとか、上半身を固められない場合のスピードを生かしたパスガードとか、いくつかオプションを用意しています。自分の中ではトップポジションを取るのが楽しみだなと」

——既に発表されているブラケットを見ると、シードとなった澤田選手の山にはホドネイ・バルボーザ、そして、もう一方の山にはタリソン・ソアレスが入っています。

「タリソンがどう並ぶのかわからなかったんですけど、僕のほぼ予想通りでした。ホドネイとは茶帯の時に世界ノーギで対戦していて、その時は腕をぶっ壊されて終わってます。極められて、タップはしなかったんですけど、脱臼した腕をハメて試合を続けて」

──なんと……。

「彼はその時に優勝していますし、今年もヨーロピアンノーギのライトフェザー級でしっかり決勝まで進んでいる。上の階級でも決勝まで上がる実力があるし、そもそもギでは2年連続で世界柔術2位ですから、試合をして勝ちたいですね」

——バルボーザ対策は?

Barbosa「基本的にはハーフガードの選手だと思っていて、僕もハーフを潰すのは得意なほうなので、そこがどう噛み合うか……。いったん勝負をして、難しかったら違うルートから攻める。

ただ、けっこうクセが強くて、僕が腕をぶっ壊されたように瞬間的な極め技が上手いし、試合終盤でビハインドの時に、トーホールドを仕掛けてアドバン差で勝つとか、思い切りがいいんですよね。

今年の世界柔術、クレベル(・ソウザ)との準決勝がそれで、残り30秒くらいでイーブンだったところから飛び込んで足を狙い、アドバンをもぎ取って勝っていました。だから、仮にポイントで勝っていても油断できない。勝ちへの執着と、そのためのルートをしっかり見つけてくるタイプなので」

——そのバルボーザを突破できれば、もう一方の山にいるソアレスと決勝で顔合わせになることが濃厚です。

(C)JIUJITSU NERD/KINYA HASHIMOTO

(C)JIUJITSU NERD/KINYA HASHIMOTO

「僕も2 人との試合をイメージして、この1カ月練習してきました。特にタリソンは早めにエントリーしていたし、彼はIBJJFルールでずっと負けてないですよね? 

アブダビとかその他のグラップリングルールでは負けているかもしれないけど、少なくともIBJJFルールでの勝ち方を知り尽くしている選手です。当たり前ですけど、ギほどベリンボロは撃たない。ただ、ノーギでも高い精度でバックを取ることがあるし、彼のスイープへの確実なルートがけっこう面白くて」

——というのは?

「いったんXガードに入ってからフットロックを取るんですよね。で、50/50に移行して、そこから上になった後はのっそりと足を抜いて2ポイントを取る、みたいな。去年の試合はほとんどそれで逃げ切っていましたし、そのシステムにハマらないようにしたいですね。

もちろん、それ以外の基本もしっかりしている。この前のパンパシフィックでウチの山田(秀之)さんと対戦したんですけど、例えばガブリからバックに周るとか、ああいうこともしっかりできるんだなと」

——最後に、澤田選手にとっては連覇が懸かる大会ですが、だからといってそのために闘志を燃やす——というタイプではありませんよね……(苦笑)。

「そうですね(笑)。以前も話しましたけど、この大会で優勝したいというよりも、強いヤツを倒したいとずっと思っているので。もちろん試合には勝ちたいけれど、自分がイメージした自分になれているかどうかのほうが重要だし、結局、格闘技ですから、誰を倒すかってことが一番大切だと考えています。

去年はエントリーリストを見た瞬間に、これは優勝しないとヤバいなという感じでしたが、今年はホドネイとタリソンが来てくれたことで、より価値のあるトーナメントになったと感謝しています」

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